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年表

時系列表


 物語が極めて長くなってしまいましたので、ここで物語を整理する一環として年表を挟みます。



[数千年前]


 現在の魔界にとっては神話の時代。

 高度に発達した魔法文明は大戦に突入。

 最終兵器『嘆きの矢』を用い、世界各地に巨大クレーターを残して全勢力が壊滅。勝者なきまま戦争は終結。

 成層圏まで舞い上がった粉塵により太陽光は遮断され惑星平均気温は一気に15度以上低下。極地と高地の氷河が拡大し海水面も数十m低下。

 地上も海も多くの生物が死に絶える。

 敗残兵の乗る残存艦隊は各地で生存者と多くの生物を救出、シェルターとして地下深くに築かれ被害が少なかったロムルス空軍基地にて氷河期を生き延びる。


 氷河期終了後、各種族は不毛の大地を蘇らせるため各地に散る。

 ロムルス空軍基地は大戦時の被害と老朽化から機能低下と崩落が著しく、復旧の見込みも実益もないため、持ち出し可能な物品を回収したのちに放棄される。

 ゴブリン族はロムルス周辺に居を構え、崩落の危険がある空軍基地と真上の土地を立ち入り禁止とする。





[千年前]


 過去の大戦はすでに魔王伝説へと変わり、真相は忘れられる。

 ゴブリン族はロムルス地上に墓所を築き、墓所管理のため付近に寺社を建立。神聖不可侵の地とする。





[90~70年ほど前]


 ロムルス近くのパラティーノに暮らす人間族、黒目黒髪の人種が建国したフォルノーヴォ王国にて。


 第七代国王、マウロ=フォルノーヴォ。

 通称、夢想王、偏屈王、愚鈍王、穴掘り男、借金もぐら、狂人。

 幼いころに聞かされた魔王伝説が真実であると信じ、夢を膨らませてフォルノーヴォ王国の各所を掘る。

 たまたま過去の遺物をいくつか掘り当て、魔王伝説が真実であるという確信を持ち始める。

 政務は家臣に任せきり、こっそりと隣国のゴブリン達から金まで借りて、手当たり次第に掘りまくり、国中を穴だらけにする。

 結果、ロムルス空軍基地へと続く地下通路を偶然に掘り当てた。同時に借金の期日が来て、ゴブリン達から借用書を突き付けられ、あり得ない金額と利率の借財が国中にばれる。 


 マウロ国王、急逝。

 理由については、国王自らの寝食を忘れた穴掘りで体を壊したとも、見限った家臣団や王侯貴族の共謀による毒殺ともいわれる。

 死亡理由について臣下の誰も調べようとしなかったため、不明。

 ただ、「その死に顔は満ち足りた笑顔だった」とのみ史書に記されている。





[70~50年ほど前]


 第八代国王、ガエターノ=フォルノーヴォ。

 通称、返済王、勤勉王、沈黙王、蟻の王、王国最後にして最高の王、黄昏の王。

 マウロ国王には他にも上位の王位継承者はいた。が、全て辞退したり出家して僧院に引きこもる。彼以外に借金まみれで穴だらけな王国を継ぐ者がいなかった。

 率先して身を粉にして働き、マウロ国王が発見した古代の遺構から資材と技術を秘密裏に回収し、蓄積し続ける。

 常に眉間にしわを寄せて仏頂面をしていた。冗談を言うことはほとんどなく、酒・煙草・女、家庭にまで目もくれず政務に没頭。

 それでも借金の返済は困難を極め、王妃と第二王子シモンをゴブリンに借金のかたにとられ、結局返済が間に合わずアベニン半島南方のナプレ王国へ売却されてしまう。

 フォルノーヴォ城内に古代技術を研究する工房を集め、その運営は第一王子アダルベルトと補佐の家臣団に任せる。


 その献身的な働きと堅実な人柄から国民の信頼を集める。

 ただし人気取りには興味がなく、あまりに隙の無い禁欲的生活と笑顔の無さから、生真面目すぎ堅苦しすぎと煙たがられてもいた。





[50~45年ほど前] 


 ガエターノ=フォルノーヴォ王、ゴブリンからの借金完済に目途を付ける。

 第二王子シモンはナプレ王国で僧院に入り、修行の毎日を送る。

 アダルベルト王子、古代技術の研究を進め、魔力炉の実験段階に入る。このため王国周辺の魔族を集め、実験に使用する。

 ナプレ王国の狂王、ゴブリンから資金を得て周辺各国各種族への征服と虐殺を進める。


 半島南部制圧を終了したナプレ王国は、ロムルス攻略を目指す。

 元フォルノーヴォ王妃たるナプレ王妃を人質として、ガエターノ=フォルノーヴォ王へロムルス攻略への協力を命じる。

 ガエターノ王はナプレ王に協力、ロムルスを制圧する。だがゴブリン族は財貨を抱えて逃走済みだった。

 同時に狂王、ガエターノ王、王妃が急逝。原因について史書には「ゴブリン族の邪術による呪い」と記されている。

 ナプレ王とフォルノーヴォ王から王位を譲られたアダルベルトは第九代フォルノーヴォ王となる。

 政務に没頭し人付合いも悪いガエターノ王には妾も第二王妃も後妻もおらず、他に王位継承権者は第二王子シモンだけのため、フォルノーヴォ王国に問題はなかった。


 ナプレ王国ではアダルベルトへの禅譲に納得しない者達が反旗を翻す。

 狂王に制圧された南部諸王国も独立回復へと動く。

 北部諸王国と諸部族は結束して狂王の侵攻に備えていた。

 が、すでに古代技術を幾つか復活させていたアダルベルトは、その技術力を背景としたうえで人間族の和合と他種族の排除を提唱する。

 狂王の侵攻で疲弊した南部諸王国は、古代技術を用いた国力回復を切望。北部諸王国も異種族の排除による支配地域拡大に賛同する。

 僅か数年でアダルベルトはアベニン半島を統一国家、神聖フォルノーヴォ皇国へと変えた。自身は初代皇帝へ就任。この年が皇国暦元年となる。

 皇国国教会を創設し、ナプレの僧院から呼び寄せた第二王子シモンを初代教皇へ就任させる。


 同時期、精神の集中力を増大させる魔力炉実験が最終段階に入る。

 だが実験は失敗。魔力が被験者の意思を離れて増大し続け暴走。ついには被験者の意思を写し取り、魔力それ自身が魔力を生むという、過去に例のない状態となる。

 結果、研究所は完全に破壊される。

 意思を持った魔力の塊は、そのままでは急速に霧散し消滅してしまいかねない。そのため、付近で完全に意識も意思も失って倒れていた若者の肉体に乗り移る。

 同じ研究所で実験動物にされていた各種族の者たちを救出し、エルフの住む大陸ダルリアダへと逃亡する。





[45~40年ほど前]


 皇国、インターラーケン東西から侵攻を開始。

 アベニン半島北部からの避難民も押し寄せ、大陸全土が混乱を極める。

 統一性の無い各種族は各個撃破され、皇国は破竹の快進撃を進める。


 ダルリアダへ逃亡した被験者は、エルフと協力し混乱の平定を目指し決起する。

 自ら魔王を名乗り、各種族への協力を呼び掛ける。

 最初は相手にしなかった各種族だが、ダルリアダより海を渡って飛来した魔王の異形と威光に平伏し、かつ心のこもった話し合いの末に、その意思に賛同した。

 ここに人間以外の多くの種族が集まった軍事同盟組織『魔界』が誕生。この年が魔王暦元年となる。





[魔王暦以降]


 魔王暦六年。

 第一魔王直轄都市ルテティア完成。

 魔族融和政策実行。



 魔王暦十年頃。

 皇国軍とはインターラーケン山脈東端と西端を挟んで一進一退の攻防が続く。

 この頃から戦場がごく限定された地域に封じられ、その他地域は皇国魔界通じて政治的にも軍事的にも安定する。



 魔王暦二十年頃。

 魔王軍、インターラーケン山脈東西にて皇国軍の砦を攻略。皇国を半島内部へと押し返す。

 ヴォーバン要塞構築、トリグラヴ山の要塞化開始。

 魔王軍基本方針は専守防衛と定められる。



 魔王暦二十一年。

 リィン誕生。



 魔王暦三十年頃。

 ヴォーバン要塞構築、トリグラヴ山の要塞化完了。

 要塞攻略を目指す皇国軍との激戦が続く。

 だが同時に戦線は山中にある両要塞に限定された。消費される兵士数物資量とも減少してしまう。

 結果として両勢力内では戦火が消え、両世界の繁栄と国力増強、平和の時代となる。



 魔王歴三十五年頃。

 皇国軍、本格的軍事行動を停止。

 時折、示威行動を兼ねて皇国内部の不満分子・不要人員を要塞に突撃させ自爆させるのみ。



 魔王暦三十九年。


 春。

 第十二王子トゥーン、インターラーケンを拝領し領主として赴く。


 初夏。

 皇国より強行偵察兵として勇者がインターラーケンへ侵入。トゥーンにより討取られる。

 同時に道案内兼偵察登山隊同行司祭パオラが遭難、トゥーンに救出される。


 夏。

 パオラを皇国領内へ秘密裏に帰還させるため、ネフェルティ・トゥーン・リア・クレメンタインが飛翔機により皇国へ侵入するが、撃墜される。

 皇国北部で遭難した彼らは皇国軍のインターラーケン侵攻作戦を察知、皇国国教会の暗部を知る。

 激しい戦いの末にパオラを始めとした修道女達の協力も得て、侵攻軍へ潜入。インターラーケンへの帰還を果たし、奇襲部隊へ大打撃を与える。

 奇襲作戦は失敗、多数の人間族が捕虜となる。アンクが魔界へ渡る。



 魔王暦四十年。


 春。

 修道女達と捕虜の一部は魔界へ亡命、残りは皇国へ秘密裏に帰還させる。

 ダルリアダの魔王第二子第二王子ルヴァンより重力魔法実験が提案される。


 夏。

 ジュネヴラにて重力魔法実験開始。トゥーン・オグル・フェティダが魔力供給者として協力する。

 実験中、高重力から超小型ブラックホールが発生。異次元の地球、スイスのジュネーヴに存在する大型ハドロン衝突型加速器 (Large Hadron Collider)の暴走が生みだした超小型ブラックホールと接続。

 両世界を接続するワームホールが発生する。

 金三原京子・裕太の姉弟両名が巻き込まれ、魔界へ転移する。


 晩夏。

 アンク破壊を企んだリザードマン数名による飛空挺墜落事件発生。

 姉弟両名の持つ絶対的なまでの抗魔結界が明らかとなる。


 秋。

 物理法則の違いから魔力が通らない体質を買われ、姉弟は地球帰還への協力と引き換えに魔王城勤務を提案される。

 両名は新型魔力炉として開発された人間族の子供たちの世話役として、魔王城に就職する。

 同時に、僅かながら魔力の蓄積が確認される。


 冬。

 教皇シモン七世、魔界へ亡命。

 裕太、リィンと契りを交わし魔界への定住と対皇国戦への積極的協力を決意する。

 伝説となった古代文明の存在を京子・裕太が明らかとする。



 魔王暦四十一年。


 皇国から潜入した間者と勇者によるルテティア襲撃事件、及び魔王暗殺未遂事件が発生。

 裕太の活躍により勇者は撃退、魔王暗殺は阻止される。が、教皇は暗殺された。

 エンツォ・セレーニ=バルトロメイ、魔王殺害未遂への共謀共同正犯として死刑を求刑されるが、京子の弁護により懲役五年へ減刑となる。


次回、第二十二章『軍師』、第一話


『プロローグ:ラコナ島』


2012年3月9日00:00投稿予定



ただし、警告します。


起承転結の結は、戦乱の物語です。

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