閑話 ココアとチョコチップのパウンドケーキ
土曜日は学校の宿題をやりながら、明日は何を作ろうかなって考えていた。
食べてもらったときのことを思い浮かべるたびに、
谷口くんに「まい」って呼ばれることまで考えちゃって、手が止まったりした。
宿題が終わったのは、結局夕方ごろになってしまった。
お昼過ぎにはやってたのにね。
宿題を片付けながら、昨日のお昼を思い出した。
「たしか、甘いもので、バター系って言っていたっけ......?」
少し贅沢な気もするけどあれにしようかな。
「材料あったかな?」
宿題をしまい終えると、私はキッチンに向かった。
冷蔵庫を開けると、前に使ったココアパウダーとチョコチップが残っていた。
「うん。これなら明日パウンドケーキ作れそう」
少し楽しみになりながら、明日に備えた。
次の日、お昼を食べる前に、バターを冷蔵庫から出しておいた。
食べ終わるころには、少し柔らかくなっていた。
手を洗って、材料と調理器具を台所に並べた。
「足りないのはなさそうだね」
型にバターを塗った。
これ忘れると、焼いた後悲惨なんだよね......
ボウルと測りを使って粉類を量り、ふるいにかける。
牛乳は計量カップで量った。
ふるいにかけていると、ココアの少し苦い香りがふわっと広がった。
バターと砂糖を、白っぽくなるまで混ぜ合わせた。
卵を少しずつ入れて、その後に牛乳も少しずつ混ぜた。
「これくらいかな......」
全体の色が同じくらいになったから、粉類を入れよう。
粉類も少しずつ、さっくりと混ぜてあげた。
しばらくすると、色味が変わってきた。
「粉っぽさ、そろそろなくなってきたかな?」
谷口くん、よろこんでくれるといいな......
そう思いながら、チョコチップを加えて、軽く混ぜた。
生地を型に流し込んで、空気を抜いた。
この落とす音、少し大きいけど、これからだって感じするよね。
予熱を終えて、オーブンに入れた。
待ってる間に、片づけをしながら、
谷口くんに、「おいしい」とか「まい」って言ってくれたらいいな、なんて考えていた。
片付けが終わるころには、ココアとバターの甘い香りが部屋を包んでいた。
まだ時間じゃないのに、私はじっとオーブンの中を覗いていた。
覗いている間、谷口くんのことを思い浮かべてしまっていた気がする。
しばらくオーブンを眺めているうちに、焼き上がりの時間になった。
オーブンの扉を開けると、ふっくらと膨らんだパウンドケーキから、少し焼ける音が聞こえた。
竹串で中までちゃんと焼けてるか確認してから取り出した。
水分が逃げないように、ラップで包んでから粗熱を取った。
粗熱が取れたころ、私はパウンドケーキを切り分けた。
中、スカスカじゃなくてよかった......
少し安心しながら、1つずつラップに包んで冷蔵庫に入れた。
「よろこんでくれるといいな......」
そう思いながら、冷蔵庫を閉めた。
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