表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/20

第3話 クッキークランチと約束

今日も少し、朝早くに起きた。


昨日は寝る直前まで、クラスのことを考えていた気がする。


昨日は別に、変なことなんてなかったはずなのに......


どうしたんだろう。


そう考えながら、昨日作ったクッキークランチを袋に詰めた。


今日はさきちゃんもお昼いるから、その時にみんなに渡そう。


今日も、おいしいって言ってもらえるといいな。




教室に着くと、谷口くんたちが教室の端で楽しそうに話していた。


谷口くんは、教室に入った私に気が付くと、少し慌ただしく近づいてきた。


「おはよう、佐々木さん。今日もお菓子持ってきた?」


「お、おはよ。......持ってきたよ。」


「やった! 今日も佐々木さんのお菓子食べたい!......あ、あと今日よかったら一緒にお昼食べない?」


話の流れが速すぎて答えに困っていると、鈴木くんが助け舟を出してくれた。


「谷、また佐々木さん困ってるだろ。ゆっくり話せ」


谷口くんは一呼吸置くと、少し落ち着いて言い直した。


「あ、ごめん。えっと...... 今日も佐々木さんのお菓子食べたくて、お昼も一緒に食べたい」


「あ、うん。......あ、さきちゃんも一緒でよければ」


「伊藤さん?全然いいよ。またお昼!」


そう言って、谷口くんたちは戻っていった。


少し乱れた心臓を抑えながら、席に座った。


とりあえずさきちゃんに、お昼のこと伝えよう。


LINEを開いてさきちゃんに連絡した。


「今日のお昼なんだけど、谷口くんたちも一緒でいい?」


しばらくすると返信が来た。


「谷口くんたち?いいよ。まいちゃんから誘ったの?」


わかってて聞いてそう......


「谷口くんから誘ってくれたよ、またお昼ね」


からかわれそうな気配がしたから、会話を切った。


いつもより、お昼を少し楽しみにしている私がいた。




今日は授業中、時計を確認することが多かった気がする。


やっとのことでお昼のチャイムがなった。


席で待っていると、さきちゃんが来てくれた。

「まいちゃんお待たせ~。やっとお昼だね~。谷口くんたちは?」


私は首を振りながら答えた。


「さきちゃん来るの早かったね。谷口くんたちは......」


私は谷口くんたちの方を見ると、谷口くんは少し急ぎながらこちらに来ていた。


後ろでは鈴木くんと斎藤くんが、呆れながらついてきていた。


「佐々木さん、伊藤さんも一緒にお昼食べよ!」


そう言いながら、私たちの席の近くに立ち止まった。


それに気づくとさきちゃんは、少しいたずらを企む子みたいな口調で話した。


「こんにちは。谷口くん。まいちゃんの友達のさきだよ。いつもうちのまいちゃんがお世話になってるね」


「こんにちは、伊藤さん!俺は谷口舜。佐々木さんとは......なんだろう?」


「いや、そこはクラスメイトでしょ。俺は鈴木」


斎藤くんも「斎藤です」と自己紹介をした。


自己紹介が一段落すると、みんなで机を移動して、向かい合うようにした。


みんな席に着いて、私は持ってきたクッキークランチを配った。


「はい、今日のお菓子」


私はまず谷口くんに渡した。


谷口くんは目を輝かせながら受け取ってくれた。


「やった!今日は何だろう」


すぐに食べたいって顔に書いてる。


頬が緩んじゃってる気がする。


さきちゃんがなんかニヤニヤしてるし。


次にさきちゃんにも渡すと、笑顔で喜んでくれた。


「いつもありがとう、まいちゃん。」


そのあと鈴木くんと斎藤くんにも渡した。


2人も嬉しそうに受け取ってくれた。


お菓子を配り終わってから、お弁当を食べ始めた。


「そういえば伊藤さんって、佐々木さんといつから仲いいの?」


谷口くんは目を輝かせながら聞いてきた。


「中学くらいからだよね?学区が同じだからそれで仲良くなったんだよね」


さきちゃんは少し懐かしむように言った。


そう言って、さきちゃんは谷口くんたちに目を向けた。


「谷口くんたちは?3人とも仲いいよね」


「俺たちは小学校くらいからだよな。家も近所でさ」


「そうそう。こいつとは腐れ縁だな」


鈴木くんは谷口くんを指さしながら答えた。


斎藤くんも頷いていた。


「めっちゃいいじゃん。まいちゃんは谷口くんたちに聞きたいことない?」


「え?......えーっと、好きなお菓子、とか?」


思いつかなかったら、お菓子のこと聞いちゃったけど変じゃなかったよね?


恐る恐る谷口くんを見ると、嬉しそうに答えてくれた。


「甘いの!」


「もう少し具体的なの言え。こいつはバター系ばっかだな。俺はビター系かな」


斎藤くんはマドレーヌが好きだと答えた。


「バター系......ビター系......マドレーヌ......」


私は小声で反芻した。


「今度作ってくるね」


「ほんと?やった!」


私が約束すると、谷口くんはすぐに喜んでくれた。


鈴木くんと斎藤くんも、楽しみだと頷いてくれた。


さきちゃんは、からかいの表情で、小声で言ってきた。


「よかったじゃん。おいしいって言ってもらえるといいね」


少しくすぐったかったけど、小さく頷いた。


「2人はよく一緒に遊んでるの?」


谷口くんはまた、興味津々に聞いてきた。


「うん。お休みの日にショッピングモール行ったりするよね。谷口くんたちは?」


さきちゃんの言葉に頷きながら、私は谷口くんの顔を見た。


「俺たちは放課後に遊びに行くこと多いかな」


「ゲーセンが多いな」


鈴木くんが詳しく教えてくれた。


「昨日はみくたちと行って、それでさ~」


谷口くんが女の子の名前を親し気に呼んでいた。


谷口くんが、クラスの女の子グループと行ったことを話してるけど、


途中から頭に靄がかかったようになった。


さきちゃんが目線で「どうかした?」って聞いてくれたけど、うまく反応できなかった。


谷口くんたちの声は聞こえるのに、頭に入ってこなかった。


気が付いたら弁当を食べ終わっていた。


谷口くんが嬉しそうに袋からクッキークランチを取り出して頬張っていた。


谷口くんたちがおいしいって言ってくれてたけど、頷くことしかできなかった。


甘いはずなのに、よくわからなかった。

読んでくださり、ありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ