第15話 ゲームコーナーと違和感
フードコートで食べているときも、反応はできたけど、うまく笑えなかった。
さっきよりは落ち着いているはずなのに、胸の奥の引っかかりは、まだ消えていなかった。
何度も「大丈夫だよ」って、さきちゃんが目を向けてくれたけど、うまく返せなかった。
しゅんくんたちが話して盛り上がっていた。
次はゲームコーナーに行くことになったみたいで、みんなが立ち上がる気配がした。
少し遅れて、私も立ち上がった。
その話も、どこか遠いところのように感じた。
ゲームコーナーに着くと、鈴木くんが口を開いた。
「とりあえずぐるっと見て、気になるとこ行く感じでいいか?」
みんな頷いて歩き出して、私も後を追った。
ゲームの音が、少しだけ大きく聞こえた。
歩いていると、しゅんくんが声を出した。
「これやろう!」
しゅんくんの目を追うと、そこにはリズムゲームがあった。
「いいね~。まいちゃんもやろ。ね?」
さきちゃんが私の手を引っ張って、リズムゲームの前に連れて行ってくれた。
さきちゃんの手が、なんだか少しだけ優しかった。
どうしてそう感じたのかは、わからなかったけど......
しゅんくんと鈴木くんがリズムゲームを始めた。
斎藤くんはその隣で見ていた。
私とさきちゃんは少し離れて見ていた。
楽しそうだなって思うのに、なんだか近づけなかった。
しゅんくんたちが楽しんでいるのを見ていると、さきちゃんが口を開いた。
「私はまいちゃんの味方だから。......でも、それ、放っておかないほうがいいよ?」
さきちゃんの言葉は優しいはずなのに、冷たく感じた。
どういう意味なんだろうと考えていると、しゅんくんたちが楽しそうな声を上げていた。
「私たちもやろっか」
さきちゃんがリズムゲームの方に歩きだした。
一瞬遅れて、私もついて行った。
リズムゲームにお金を入れて、私たちも始めた。
マークに反応して手が動くけど、どうしてもフードコートのことが頭から離れなかった。
ぼーっとしながらやっていると、隣からしゅんくんの声が聞こえた。
「まいちゃん上手だね!」
一瞬体が固まって、マークを何個か逃してしまった。
手を動かしたけど、少しぎこちなかった。
なんでこんなに近くに、しゅんくんがいたの気がつかなっかったんだろう......
しゅんくんに褒められたのが一瞬だけ嬉しいと思った。
でも、すぐに心臓がうるさくなって、落ち着かなかった。
「あ、ごめん。集中途切れさせちゃった」
隣で、軽く手を合わせたのが見えた。
うまく言葉が出なくて、少しだけ間が空いた。
「......き、気にしないで」
声が小さくなりながら、私は答えた。
その後は、しゅんくんは何も言わずに見ていてくれたけど、集中できなかった。
ちゃんとやろうと思うのに、うまく手が動かなかった。
でも、嫌ではなかった気がする......
結果の画面が表示された。
いつもより良くないけど、いつもよりほんの少しだけ楽しかった。
「俺が話しかけなければもっとできたのに......ほんとごめん」
しゅんくんが悲しそうな声を出した。
「そうだぞ。今回もお前が悪いからな~」
少し楽しそうに鈴木くんが言った。
気がつくと、私も頬が緩んでいた。
その後も、ゲームコーナーをみんなと回った。
たまにフードコートのことを思い出したけど、さっきまでより楽な気がした。
それでも、さっきのあの感じは、まだ残っていた。




