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晩飯ゲット

湖までの道のりはあっという間だった。途中ヘビに遭遇したり、エナに何度も尻尾を踏まれたりと、小さなアクシデントはあったが、楽しい時間だった。

会話はできないからエナが一人で話しているのを聞いて、たまに相槌で俺が鳴くくらいだったが。

エナの笑顔を見ると自然に俺も笑ってしまう。俺って今幸せだなって…


「さて!無事湖につきました副隊長殿!美味しい果実はどこにあるかなぁ?」

湖は思ったよりも大きくて、周りには果実の生っている木がちらほらと見える


探すも何も、俺は果実の見た目を知らないからなぁ、教えてくれって言っても伝えれないし、、、


そうだ。

俺は近くにある果実の木のところまで行って、エナに声をかけた。俺のその姿を見て、しししとエナが笑う。

「ファストったら、それじゃないよ!」

「あ、もしかしてお腹すいてる?果実が見つかるまで我慢しよ!お腹がすいてる時に食べたらもっとおいしく感じるはず!」

食いしん坊だなぁ~とエナがまた笑う。


いや。違うんです。食べたかったわけじゃなくて

それじゃないよ!のついでに果実の見た目を聞き出そうと…って伝えるの難しいなぁ…


まぁ、エナは見た目を知っているし、着いていったら見つかるだろう。

俺はエナが探している間に周りの警戒でもしておくか…。


…ガサガサガサ

…ガサガサガサ


俺たちのいる後ろの森から物音が聞こえる。なんだ?森もザワザワしている

いや違う。森がざわついているんじゃなくて、森の奥で何かが動いているのか?

近い。

すぐそこに何かがいる。


俺は全身の毛を立てて威嚇モードに入る

「シャー」

くるならこい。っていっても戦えないから姿を確認したらすぐにエナに知らせて逃げる予定だが…


...ぴょこ...と森の中からウサギが顔を出す

う・・・うさぎ・・・?


ウサギは何度もこの森で見たことがある。たまにエナと捕まえたりもしている。

なんだうさぎかよ。変に警戒して損したな。俺の威嚇で立てた毛がすぐに戻る

いや。警戒するのは大事だ。今の俺は猫だから凶暴なウサギには勝てないかもしれない。エナを守るなんて夢の夢のまた夢だな。


ふぅと緊張した気持ちをぬく。

この森のウサギは臆病だからこんなに近くで見るのは初めてだな。ん?臆病なのに何で俺の目の前に出てきたんだ?

ウサギと俺の間に変な間ができる。

ど、どこもいかないのか?

ウサギはきょろきょろ周りを見渡している。

俺に対して恐怖心がないのか。今なら俺も一人でウサギを捕まえられるかも…


ーーーーーーファストの妄想ーーーーーー

「エナー見てくれ。俺が一人でウサギを仕留めたよ」

ウサギを咥えてカッコよくエナの前に行く俺

「ファスト一人で捕まえたの!!すごい!すごい!天才だよ!」

エナに褒められた後は、家に帰って美味しいウサギ鍋…いや、丸焼きもいいか…シチューなんても捨てがたい

「おいしいねぇ!ファストと暮らせて幸せ!」

しししと笑うエナ。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

よし。これだ。完璧だ。

そうと決まれば…こいつを俺の爪で一発KOしてと…

俺が妄想を膨らませている間もウサギは動かなかった。ありがとう。妄想に付き合ってくれて


なんの恨みもないがこの世は弱肉強食。俺とエナの晩飯になってくれ。

さらばだ、かわいい罪のないウサギよ


俺が爪を立ててウサギにとびかかろうとした

でも飛びかかろうとした時にはウサギはいなくなっていた。


いなくなっていたっていうのはちょっと違う。

体は・・・ある。体からウエがない・・・・頭。そうだ・・頭がないのだ。


え?あたまとんだ?いつ?おれ?俺がやったのか?

ウサギと自分の手を見るが、俺の腕は襲い掛かろうと振り上げた瞬間のままだ。

すぐに森側からガサガサと音がして男が現れる

「今日の晩飯ゲットーーー、なんで俺がこんな晩飯の材料集めなんて役しなきゃいけないんだっつうの。あいつら戻ったら覚えてろよ」

と言いながら男がウサギを袋に入れようとしている。


人間だ。黒いローブに腰に剣。黒色の髪の毛を一つにまとめている男が立っていた。

人間、やばい。何で気付かなかった?

エマ以外の人間なんて久しぶりに見たけど…こいつのこの黒いローブ。あの紫ローブのやつと同じ太陽マークが刺繍で入っている。


つまり俺を殺そうとしたやつらの仲間の可能性が高い。

逃げれるか。今ならエナのところに行って逃げれるか・・・2人で。いや。俺だけならともかく、エマの小さな足じゃ無理だ。逃げようって伝えるのにも時間がかかる。

すぐ逃げればよかった。ウサギが目の前で殺された時点で、俺は間違ったのだ。選択を


「あん?は?」

俺と男の目が合う。男はびっくりした表情の後に笑う

何がおかしいんだ。俺がこんなに焦っているのに

「まじかよ。黒猫って。俺ついてる。ついてるだろこれ」


「まさか探していた黒猫様に会えるなんてなぁ。黒猫が出たって聞いた時は、どうせ嘘だろって思ったけど、俺の!目の前に!黒猫がいる!あの黒猫が!」

「黒猫を一人で仕留めたなんて聞いたら…俺大出世しちゃうんじゃね?いや、俺がボスか!俺が組織のてっぺんになるってこともあるか・・うむうむ」


組織?あの黒猫?やっぱりこいつら俺を殺そうとしてるのか。絶対に猫違いなんだけどな…

てか、こいつ興奮しすぎだろ。


にげよう。


男が興奮している隙に俺はすぐに走り出した。猫だから足も速いし時間を稼げるか。男がすぐに何かを叫んでいたけど、関係なく俺は走った

エナのほうに行くのは違うよな。これは俺の問題だ。


エナがいた反対のほうに逃げよう。俺に何かあってもエナだけは逃げれるように



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