最後の夜
「「明日はハチミツ♪ハチミツ♪」」
俺たちが一緒に旅をするようになって3日が経った。
エナはすっかりみんなに打ち解けている。
特にセイナのことは姉のように慕っている
今も2人でハチミツ♪ってはしゃいでるしな。
最初は人間と一緒に行動するのは危ないんじゃないかって思ったが、
エナも沢山笑うようになったし、いい選択だったと思う。
「ハチミツを取った後は、やっぱり街に戻るのか?」
「あぁ、納品して金もらって、また他の仕事を探す感じかなあ…」
生きていくためにはお金が必要だもんな。
このまま森で暮らそう、なんて言ったら困らせる。
いや、まず俺とエナはクロのために魔女を探さないと…目的を忘れたらダメだ。
みんなと行動するようになって、中々クロと話す機会もない。
バルブに少し簡単な魔法を教えてもらってる時も、何も言ってこなかった。
クロには申し訳ないが、バルブのおかげで俺も魔法が使えるようになった
「ライトオーブ」
紫色の球がフヨフヨ周りに浮いている。
そう。これはディー二が使っていた魔法だ。
あいつのように鋭く飛ばすことは出来ないけど…
「使い魔で魔法も覚えれるってすごいですよ!」
ごめんな。俺は使い魔じゃないんだが…
バルブは教えるのもうまくて、
「将来はお金を貯めて魔法を教える学校を作りたくて・・」と、素晴らしい夢も持ってる。
俺がバルブの初めての生徒だな。
「先生!」とふざけて呼んだら、照れてたけど…
「みんなで寝るのも今日が最後?」
さっきまであんなにはじゃいでいたのに、夜ご飯を食べ終わってからエナが悲しそうな顔をする。
「最後じゃないぞ。少しの間お別れするだけで、また皆でいつでも冒険しよう」
セイトの言葉にセイナも大きく頷く。
「そうだよ!もうエナちゃんは私の妹みたいなものだからね!離れても一緒!」
ベタな冒険漫画のようなセリフ。でも、今の俺(?)たちには十分すぎる言葉だ。
みんなにはもっと感謝しないとな。
「じゃあ、今日はセイナさんの隣で寝てもいい?」
「もちろん!おいで!」
セイナとエナの隣にセイトも並んで寝ようとする。
「ちょっと!女子会するからセイトはあっち!」
トボトボと毛布を持って、俺とバルブのところに戻ってくる。
俺はお前のその勇気を買うぞ。
「俺たちも男子会するか!」
「男子会ってなんだよ…」
「そんなのコイバナに決まってるだろ!」
猫と男2人で話す恋バナってなんだ?
「ファストはまだ知らねえもんな。このバルブ君には婚約者がいるんだぜ」
婚約者!?お前・・・バルブ君。お前だけは仲間だと…。
「こ、婚約者じゃないですよ!ただ仲の良い女の子ってだけで・・・」
「ほう。仲の良いな。セイト、詳しく聞かせろ」
「こいつだけ2年間くらい魔法学校に行ってたんだけど、そこで出会った子に一目ぼれしたんだよなぁ」
「仲いいだけです!」
「学校から4年もたってるのに未だに文通してるんだぜ。マメだよなぁ」
この世界にも文通ってあるんだ。
「文通は…してますけど…。僕が2人と冒険に出てからも一週間に一回くらいで送って来てくれます」
「一週間に一回!?それはマメすぎるだろ」
確かにそれは友達の文通の域を超えてるな・・・
「な!な!こいつ昔からモテるんだよ」
セイトように自慢する。バルブを弟のように想ってるんだな。
「てか、冒険に出てからもって、どうやって届くんだ?」
家に届くならわかるけど・・・・。
「僕の杖から出ている魔力を辿って、手紙が届くんです。今日も届く予定なんですが・・」
携帯にメールを送るみたいな感覚か。それなら離れていても安心だな。
「あ!来ました!」
バルブの杖が少し光って、中から手紙が一通出てくる。
「ちょっとすいません…」
と言いながら、バルブは俺たちと少し離れたところに行く。
「あいつ手紙を読むときは絶対一人になるんだよ。見せてくれって何回も言ってるんだけどな」
好きな人からの手紙読んでる顔なんて見られたくないよな。
俺はお前の味方だぞ。
10分ほどしてバルブが戻ってきた。
「どんな内容だったんだよ」
俺とセイトがニヤニヤと聞く。
さっきは味方って言ったが、内容は気になる。
「いや・・えっと・・内緒です。」
バルブは座らずにすぐにテント中に戻ってしまった。
「んだよ。そっ気ねぇな。もしかして別れましょって言われたんかな」
セイト…お前は多分モテないだろ。イケメンなのにな・・・




