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俺らは使い魔

振り返ると、人間が3人立っていた。

女が1人と、男が2人。見た目は10代後半くらいか。


男は腰に剣、女は弓、もう1人の男は魔法の杖のようなもの。

いわゆる冒険者パーティー?のような奴らだ。

太陽の刺繍があるローブのやつら・・・じゃないよな?


「黒猫って…え!夢?!」

「いや、俺にも見えるぞ。黒猫だ」

「二人ともあわてないでください。ここは僕が・・・」

相手も予期せぬ出会いに戸惑っている様子だ。

黒猫の俺に動揺しているって感じか・・

お互いが見つめあって動かない。


杖を持った男が前に出てくる。俺はもちろん警戒し威嚇する。

威嚇する俺に一瞬ビクッと体を震わすが、杖の男が上ずった声で言う。

「あ、あの・・。僕らも雨宿りしたいのですが・・・洞窟の中に入れていただけますか」

最大限の笑顔を作ったつもりだろう。顔が引きつっている。

襲い掛かってこないところを見ると、ローブのやつらとは違うのだろう。

相手は土砂降りの中を走ってきたからか、服もびしょ濡れで疲れた様子だ。

戦うよりは、まずは対話を選んだか・・・


洞窟の中に入れるのは危険か?

俺らが先にいたから、別のところを当たってくれ。と言うべきか?

人間は信用できない。エナに万が一のことがあったら困る・・・


「クロ・・・いいと思うか?」

『人間か・・・いざとなれば逃げるくらいは助けてやるぞ』

「ありがとう・・」


俺は三人組の方を見て、頷く。

「あ、ありがとうございます!ほら!二人も!」

威勢のよさそうな2人は、俺を見て警戒したままだ。

まぁ。これが普通の人間の反応なんだろう。

3人は俺とエナから少し距離を取った洞窟内で荷物を置く。


エナもさすがに目を覚まして行儀よく正座して相手を見ている。

人見知り発揮ってやつか・・・。

ここは俺が、この空気を何とかするか・・・

俺が声をかける前に、杖の男が先に話しかけてきた

「あの!僕はバルブと言います!剣を持っているのが、セイト。弓を持っている女の子がセイナです。この二人が兄妹で、僕が二人の幼馴染でして・・・」

「3人で冒険者パーティーやってんだ!」

バルブの声を遮るようにセイトが言う。

おいおい。お前はさっきまで俺を睨んできてただろうが。

「ちょっと!バルブが今説明してたでしょ!」

そうそう。あなたのお兄さん空気が読めないですよ。


「おれはファスト、この子はエナだ。俺は黒猫だが、お前らが考えている黒猫とは全くの無関係だ」

無関係…じゃないが。ここは警戒されないために嘘つくのがいいな。

「うそー!黒猫がしゃべった!」

セイナが驚く。他の二人も驚いた顔をしている。

え?あれ?しゃべるっておかしいのか?

しまった。

エナは世間に疎いし、クロとも普通に話していたから世間の感覚がわからなかった・・

「あ!もしかしてエナちゃんの使い魔?」

エナは人見知りをまだ発揮して話さない。俺の後ろでもじもじしている。

全然隠れられていないが…


「そうだ。エナは人見知りだからな。使い魔の俺が代わりに話してる」

あっちが勝手に勘違いしてくれたのだ。利用させてもらう。

「使い魔の黒猫って俺初めて見たわ・・・」

「私もー!例の黒猫じゃないって思ったら可愛く見えてきたかも!」

この兄妹・・・なんて都合がいい・・・

最初に俺に殺気を向けてきたの忘れてないぞ・・・。


「僕も…はじめてみました。黒猫以外にも使い魔はいるのですか?」

バルブは俺よりもエナに興味があるみたいだ。

魔法使い同士の興味?みたいなものか・・・


「あぁ。ネズミがいるぞ」

ほら出てこいネズミ野郎。エナの髪に隠れてお前だけずるい。

俺はエナの肩の髪の毛に隠れていたネズミを咥えて、3人に見せる。

「あ!ファスト!」

エナが慌ててネズミを隠そうとしたが、遅い。

≪ねずみだ!≫

ほら。兄妹が食いついてきた。

「えぇー!可愛い!ネズミも使い魔にできるんだ!」

「俺も初めて見たかも。ネズミって何ができるんだ?」

確かに。ネズミって何ができるんだ。

「こいつは・・・踊れる」

ネズミがビクッと俺の方を見る。

(ほら、エナのために踊れ)

俺が爪を出して逃げ道をなくす。

ネズミは俺を睨み、3人の方を向いて踊り始める。


なんだこのダンス。アクロバティックな動き。おい。ブレイクダンスじゃねぇか。

最後にカッコよく頭を地面に付けてクルクルと周り、決めポーズまでしてる。

≪・・・≫

ほら。引いてるじゃねぇか。どこの世界にブレイクダンスするネズミがいるんだよ。

「す、すごいです!ネズミがこんなに動けるだなんて!!」

バルブが興奮して拍手している。

「つ、使い魔関係あるか?」

「いや、バルブが興奮してるし、すごいんじゃない?」

ヒソヒソ声聞こえてますよ。俺もそっち側の人間です。

こいつ使い魔として必要ないです。関係ないです。


ネズミが俺にドヤ顔しながらエマの肩に戻っていく

くそ。こいつに何で俺がドヤられないといけないんだ・・・!


「そのネズミの子は何て名前なの?」

あぁ。名前か。そういえば無いな。


「残念ながら名前はない・・・「スピン」

エナが言う。スピン?いつ決めたんだよ。

え?もしかして今のダンスでバックスピン決めまくってたからスピン?

いや、この中でブレイクダンスなんてものを知っているのは転生者の俺だけだろう。

エナの方を振り返ると、エナは俺にぎこちないウインクをしてきた。

いや。なんのウインクですかそれ。

読んでいただきありがとうございます。

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