魔法の才能
俺たち3人は未だに森から出ず、その日その日の寝る場所を変えて過ごしていた。
森から出ないのには理由がある。
一つ目は、俺たちが森の外に出て人前に行ったら騒ぎになるからだ(黒猫と白髪の女の子‥怪しさ満点だ)
二つ目は、魔女の1人がこの森のどこかにいる可能性が高い‥という話だ
クロの話によると
リリシアという魔女が、この森の何処かに隠れ家を持っている…ような気がする。とのことだ
話が曖昧なのは、クロが人の話をちゃんと聞いてこなかったからだろう…。
『リリシアは隠れるのがうまいから、見つけるのは難しいかもしれない…』
珍しくクロが自信無さ気に言っていた。
魔女の手がかりはクロだけだっていうのに…
最初に探す魔女が、隠れるの上手いって…前途多難だ。
森での生活もいつ危なくなるかわからない。
移動しながらの魔法の練習。
あれからだいぶ経つが、俺は一個も使うことができないままだ。
一方エナは…
「みてみて!」
水魔法が得意みたいで、俺づてに聞いたクロからの助言でどんどん上達していった。
元々魔法の才能があるのか…
子供だから想像力に長けているのか…
実はクロは教えるのがうまいのに、俺がダメなだけ…?
エナにちょっと嫉妬している…。
「魔法の才能…ないのかも…」
『才能はあるぞ。俺と魂の形が似ているのが何よりの証拠だ。魔力量は俺と同等くらいはある』
うおっ。びっくりした。
ボソッと独り言のつもりが、クロには聞こえちゃうんだもんな…気をつけよ…
「同等の魔力量かぁ…でも肝心の魔法がなあ」
『あとは魔法の想像だけだな。元々魔法がない世界から来たから、そこは仕方がないだろう』
俺の魔法のイメージってなったら、
ハリー××ターとか、魔法少女!とかだもんな…
「杖とかって使わないのか?」
『中には使うやつもいる。俺は使わないがな』
どうせまた補助輪が〜うんたらかんたらと説教が始まる。
「杖…使ってみようかな」
森の中に落ちているちょうど良さげな木を取って
「雨よ!ふれ!」
なんちゃって、ね。
ザバーーーーーー
俺たちの頭に、バケツをひっくり返したくらいの雨が降り注ぐ。
あれ?俺やっちゃった?魔法…使えた?
降り注ぐ雨に口を開けて驚いていると、エナがバシャバシャと大スピードでこっちに走ってくる
「ファスト!何してるの!雨降ってきたから早く行くよ!」
ですよね。これ普通の雨ですよね。
一瞬タイミングが良すぎて、自分の魔法で雨が!なんて思っちゃいました。
勘違いして恥ずかしい…
この土砂降りじゃ、テントは無理だな
俺とエナは土砂降りの中、森の中にある洞窟で雨宿りをすることにした。
「火の妖精よ、体を温めて」
エナがそういうと、周りに火の球が数個現れて、体を温めてくれる。
エナは無詠唱じゃない。
魔法の妖精が、自分の魔法を手助けしてくれるのを、言葉でイメージしながら魔法を使っているみたいだ。
『無詠唱の方がいい』と、クロが文句を言っていだが、俺はそれをエナに伝えていない。
喧嘩の板挟みになるのはごめんだ…。
俺もエナの真似をして「水の妖精よ!」とか言ってみたけど、何も出来なかった。
いい歳して、「妖精よ!」っていうのも恥ずかしくて、
その日は魔法の練習もやめていた。
もう2度としない。
ちなみにこの世界には精霊も居たみたいだけど、黒猫が死んでからは滅多に現れなくなったみたいだ。
黒猫と精霊の関係も気になるが…詳しくは聞いていない。
精霊の話になると、黒猫が俺を無視するっていうのもあるがな…。
今度絶対に聞き出してやる…。




