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癖の強い奴ら

「そろそろ時間です。」

眼鏡をかけた黒髪の男が立ち上がりながら周りに言う。


綺麗な部屋に椅子は10個

だが部屋には5人しかいなかった。

それぞれが自分の決まった椅子に座っている。座っている順番が何を示しているのかはわからないが、長い机のいわゆる誕生日席は空いている。

「集まりが悪いですね…」

眼鏡の男がため息を吐きながら言う

「今日は大事な集まりだったのですが…」

男は椅子に座りながら大きな溜息をもう一度吐く


「まぁ、集まった方でしょ〜これ。みんな忙しいんだしさぁ〜」

門の前で兵士に手を振っていたスキャンという男が、緊張感のない声で言う

「そもそも黒猫がいるって話がおかしいよね〜だって黒猫って随分前に皆んなの前で処刑されたんでしょ〜?」

「…」

スキャンの言葉に誰も返答しない。


「まあ、僕らでこんな話しても意味ないかぁ〜、アンエイドわ?あいつの管轄で黒猫出たんでしょ?」

「アンエイドは先にアフィ様に挨拶に行ってる」

「えぇ〜あいつだけずるくない〜?1人で抜け駆け〜」


うるさいやつだ。と眼鏡の男は思ったが、

こいつと会話する自分も同等か…と反省して返答するのをやめた。


みんなに聞こえる声で、「ずるいな〜いいな〜」と何度も言うが、もう返答する人はいない。


眼鏡の男が3度目のため息をつき

「おい。うるさいぞ」

と言ったところで部屋のドアが開いた


全員の動きが止まる。

先程までうるさかったスキャンも大人しくなった。

ドアの入り口には紫ローブを着たアンエイドが立っていた。

目は閉じたままで、挨拶もせず席に着く


アンエイドの後ろからもう1人、部屋に入ってくる人物がいた。

腰のあたりまである髪の毛は真っ白で、

白いローブに金色の太陽の刺繍が入っている

背は150センチより少し大きいくらいだろうか?

目は吸い込まれるほど綺麗な赤い色をしていた。

少女は何も言わずにスタスタと部屋の奥まで歩き、誰も座っていなかった奥の席に腰を下ろした。


「アフィ様。お久しぶりでございます」

眼鏡の男が少女に一礼し声をかけるが、

少女は男の方を見ずに目を閉じている。


眼鏡の男は一度咳払いし、体を他の皆んなに向けた。

「コホン。今日集まってもらったのは、噂にも聞いているだろうが、黒猫が出た話についてだ」


「アンエイド。黒猫は見つかったのか?」

眼鏡の男がアンエイドの方を見て言う。

「まだ見つかってないです。今は森の中を中心に捜索部隊を出しているところ…ですかね」

「てか、本当に黒猫っているの〜?アンエイドは見てないんでしょ?」

「私は残念ながら見ていないです。でも、街の多くの人が目撃しています。部下たちも皆〈黒猫〉と口を揃えて言っていますね」

「じゃあ黒猫が復活したってことだぁ!」

スキャンが人差し指をピンと立てて言う。

落ち着きがないのか、椅子をまた前後に揺らしている


「兵士の話によると、黒猫は剣を向けられても無傷で走り去っていった…とのことです」

「無傷…か」

「無傷って‥別に普通じゃな〜い?例の黒猫なら当たり前でしょ〜」

眼鏡の男がスキャンを睨むが、スキャンは気にせず指をくるくると回して鼻歌まで歌いそうな雰囲気だ


「スキャンうるさい。「うるさいうるさい」」

今まで口を開いていなかった、一番端に座っている少年?だろうか、男の子が言う

「アフィ様がいるのにうるさい「そうだうるさい」」

男の子はスキャンの方を見ずに、自分が両手に持っている男と女の人形に話しかけている。

人形から返ってくる声も自分の声だ。


「えぇ〜僕うるさかった?まだパパとママ離れできないノイくんにはうるさいか〜」

スキャンが鼻歌混じりに男の子の方に向かって歩く

「スキャンうるさい「うるさいうるさい」」

スキャンは男の子の耳元まで顔を近づけて


「あんまり調子に乗んなよ、ガキのフリしたおっさんがよ」

「おっさんはお前だ「お前だお前だ」」

眼鏡の男は黙って二人の会話を聞いている。

アンエイドも同じく静かに目を閉じて座っているだけだ。

誰も二人の会話を止めようとしない。慣れた光景のようだ


『黒猫は・・・。見つかりそう?』

部屋に入ってきてから一度も言葉を発していなかった白髪の少女が口を開く


スキャンと男の子がピタッと言い合いをやめる。

部屋にぴりついた空気が流れる。


「森の中でディーニの死体が見つかりました。頭に貫かれたような跡が…近くにあった湖から魔力の痕跡が見つかりましたので、誰かと応戦後に亡くなったと思われます。

私は・・・黒猫の仕業と思っています」


『そう。あの子は死んでしまったのね。少し、一人で頑張っちゃうところがあったから心配していたの』

少女は心配していた。というが、言葉は淡々として、まるで悲しんでいる様子はなかった。


『もし黒猫が生きているなら、すぐに見つけないとね』

少女は部屋にいた者たちに微笑んだ。

ピリッとした空気がまた部屋に流れる。


今まで言葉を発しなかった者も席から立ち上がり、部屋を出ていこうとする

「おい!まだ会議は途中・・・!」

眼鏡の男が出ていこうとする者に慌てて声をかけるが、

「いやぁ~みんな張り切ってるなぁ。俺も頑張ろぉ~。おっさんも頑張ってね」

スキャンもヒラヒラと手を振って部屋を出る。

「スキャンうるさい。「おっさんじゃない。じゃない」」

人形を手にした男の子もスキャンの後を追うように部屋を出る。


部屋に残ったのは、

白髪の少女とアンエイド、眼鏡の男の三人になってしまった

「あいつら…勝手に出ていきやがって…」

ハァ…と眼鏡の男がまた大きなため息を吐く


「フリハルさんも大変ですね。私も…これで失礼します」

アンエイドが、眼鏡の男フリハルに一礼、少女に一礼して部屋を出ようとする。


『太陽の加護がありますように』

少女が部屋を出るアンエイドに声をかける。

部屋を出ようとしていたアンエイドの足が止まり、

何かを言おうとしたが、再度少女に一礼をして部屋を後にした。








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