小休止⑥
【今回の件の「関係者」について】
①S…最初の依頼人。野球のユニフォームが普段着。オオタニの知り合い? どうにも世間に対する鬱憤が溜っているらしく、すぐにキレちらかしてわけのわからないことを叫び散らかし、こちらを困惑させるのが得意。雲梯の上をスパイクで疾走するという特技を持つ。
②Z…犯罪者集団の根城であるマンション一室の管理人? 「サ●エ」を彷彿させる見事な縮れ毛と、バカでかい鼻が特徴の中年女。神出鬼没でどこにでも登場する。わけのわからないことを叫び散らかして、こちらを困惑させるのが得意。
③W…時計を配達するという名目で「事務所」に上がり込んできた第2の依頼人。ホシノとか何とかいうパシりがいる。別で守衛の仕事もしているらしく、そこで出会ったハギワラヨウコに絶賛片思い中。前科者。ヘビ語?を使いこなし、かつわけのわからないことを叫び散らかして、こちらを困惑させるのが得意。
④ハギワラヨウコ…Wの思い人。人気のないプールでクラシックの曲を熱唱するイカれっぷりに定評がある。家族関係で何か問題がある?
⑤ヤスナガ…オオタニがよこした自称霊媒師。恐らくただのペテン師。高身長だが、真夏にコートを着た姿はどう見てもただの不審者。本名は「山崎」の可能性がある。叫び散らかしはしないが、わけのわからない発言でこちらを困惑させるのが得意。
⑥R…全身を紫色でコーディネートした老婆。ハギワラヨウコの血縁者と思われるが、「むらさきババア」と呼ばれる妖怪の恐れがある。わけのわからないことを叫び散らかして、こちらを困惑させるのが得意。
⑥アズマ…「名探偵」を自称しているが、どう見てもただの「こどおじ」という可哀そうな奴。わけのわからないことを叫び散らかして、こちらを困惑させるのが得意。
⑦マンドリル…性差を超越したつかみどころのない存在。様々な事件の容疑者である可能性がある。わけのわからないことを叫び散らかしはしないが、外見や動きにより、こちらを困惑させることは厭わない。
⑧少女…「マンドリル」を追って訪れた豪邸で見かけた謎の存在。妙に似合う浴衣姿が特徴。わけのわからないことを叫び散らかしはしないが、気味の悪い笑顔でこちらを困惑させることは厭わない。
……たわけている、あまりにたわけていすぎる……、こうしてみるとマジでヤベエ奴しかいねえな……。
だが改めて振り返ってみて、一刻も早くHを壊滅に導くことが何より優先すべきことなのだと、私は再度理解することができた。なぜならこれら①~⑧の人物は、どう考えても普通ではなく、ということはその全てが、Hによって厳しく手ほどきを受けた「工作員」もしくは「刺客」であるはずだからだ。その証拠にそいつらは一見あまりにバラエティ豊かであり、類似点などどこにも見当たらなさそうで、実際には頭のネジが吹っ飛んでおり、そのことで私に多大なるストレスとプレッシャーとを欠かさず与えてくるという一点においては、確実に共通している。そしてだとすれば、やはりもう一度Hにカチコミをかけるしかないということか……。
上半身を中心に確実に乳酸が溜りつつあるのを実感しつつそんなことを考えていた私は、一方頭の片隅で、何かを忘れているような気がしていた。……今整理し終えたのは、今回の件のほとんど完璧なまとめのはずなのだ、なのに、それなのに、何かが抜けているような……。




