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小骨が喉に刺さったまま  作者: ユガミヒト
1章「消えたスイーツのレシピ」
8/10

第8話

温かいコーヒーを片手に、エイルとシャルはカフェのテーブルに腰を下ろしていた。事件が無事に解決したことで、二人ともリラックスした様子だった。ロイドも厨房で新作スイーツの仕込みに取りかかっていた。


「やっぱり、あのレシピが見つかって良かったですね、先輩。」

シャルはコーヒーをすすりながら微笑んだ。


「うん、これでマスターさんも安心できるだろうね。」

エイルも同意して頷いた。しかし、彼の顔にはまだどこか考え込んでいるような表情が残っていた。


「どうしたんですか、先輩?問題はもう解決したんじゃないですか?」

シャルが少し不思議そうにエイルに問いかける。


「確かに、レシピは見つかったし、犯人がいたわけじゃなかった。でも、僕はまだ少しだけ引っかかっていることがあるんだ。」

エイルはカップを置き、喉に手をあてて少し考え込んだ表情で言った。


「え、何かまだなにかあるんですか?」

シャルは首を傾げた。


「そうだね。単にレシピがゴミ箱に捨てられたことが事故だとしても、その経緯が少し曖昧なんだ。誰が、どうしてレシピをゴミ箱に入れてしまったのか。単純なミスかもしれないけれど、もしそのミスの背景に何か意図しない出来事があったのなら、それも知っておくべきだと思うんだ。」


エイルの言葉に、シャルは少し考え込んだ。

「確かに…でも、どうやってそのミスを追跡するんですか?」


「カフェの従業員や、最近このカフェに来たお客さんに話を聞けば、誰がゴミ箱にレシピを捨てたかが分かるかもしれない。特に、忙しい時間帯に何が起きたのかを確認すれば、無意識にミスをした可能性が浮かび上がるはずだよ。」

エイルはそう言うと、立ち上がり、サラのいるカウンターに向かった。


「サラさん、ちょっといいですか?」

エイルが声をかけると、サラは笑顔で振り返った。


「はい、何かありましたか?」


「実は、マスターさんのレシピがゴミ箱に紛れ込んでしまった経緯をもう少し詳しく知りたくてね。最近、忙しい時間帯に誰かが紙をまとめて捨てたりしていませんでしたか?」


サラは一瞬考え込み、思い出したように頷いた。

「ああ、そういえば…この前、ランチタイムにとても忙しくて片付けが大変だった日に、途中で大量の紙類を片付けたんです。」


「その紙類の中に、レシピが紛れ込んでしまった可能性がありそうですね。」

エイルは確信を持って頷いた。


「つまり、サラさんが無意識にレシピを捨ててしまったってことですか?」

シャルが首を傾げる。


サラは申し訳なさそうにうなだれた。

「ええ、そうかもしれません。あの日は本当に忙しくて、目の前のことに集中するだけで精一杯だったから、他の物と一緒にレシピを片付けてしまったのかもしれません…。」


エイルは優しい声でサラを慰めた。

「大丈夫ですよ、サラさん。誰にでもミスはありますし、今回のことはただの事故です。大事なのは、誰も意図的に悪さをしたわけじゃないということですから。」


サラは少しほっとした表情を浮かべた。

「そう言ってもらえると助かります。マスターにもちゃんと謝りますね。」


「ええ、マスターさんはきっと分かってくれるはずですし、僕たちもそのためにここにいますから。」


「はい、マスターさんは優しいから、きっと理解してくれますよ!」

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