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小骨が喉に刺さったまま  作者: ユガミヒト
1章「消えたスイーツのレシピ」
6/10

第6話

エイルとシャルは、再びカフェ・フローラを隅々まで詳しく調査することにした。今回は、普段は見逃してしまうような場所に目を向け、レシピが偶然紛れ込んでいる可能性を探るのが目的だ。


「さて、まずは厨房から細かく見ていこう。」

エイルはシャルにそう言うと、早速厨房の隅々まで目を光らせ始めた。棚の上、冷蔵庫の裏、さらには床下まで入念にチェックする。


シャルも懸命に手伝い、レシピがどこかに紛れ込んでいないか探し回っていたが、しばらくの間、何も見つからなかった。


「先輩、やっぱりここには何もないみたいです。」

シャルは少しがっかりした様子で、エイルに報告した。


エイルも手がかりが見つからないことに少し焦燥していたが、諦めることなく次の手段を考えた。

「次は店内だ。カフェの客席や、カウンターの裏、ストレージルームの隅々まで調べてみよう。」


二人はカフェの客席やカウンター周りを調査し始めた。小さな物を見逃さないよう、念入りに探していくが、依然として手がかりは見つからなかった。


「レシピがどこかに紛れ込んだとしても、これだけ探して見つからないのはおかしいですよね。」

シャルは少し疲れた様子で言った。


エイルは考え込みながら、カフェの外に目を向けた。

「確かに。だけど、もしかしたら…僕たちは見落としている場所があるかもしれない。」


エイルの目がカフェのゴミ箱に向けられた。カフェの外に置かれているゴミ箱だ。ふと、エイルは一つの可能性を思いついた。


「シャル、カフェの外のゴミ箱を調べてみよう。もしかしたら、誰かがレシピを無意識に捨ててしまったかもしれない。」


シャルは驚いた表情を見せた。

「えぇ……、ゴミ箱ですか…?でも、レシピがそんなところにあるなんて…」


「だが、可能性はゼロじゃない。誰かが何かの拍子に紙を誤って捨てたのかもしれない。今まで探していなかった場所だし、念のため調べてみる価値はある。」

エイルはそう言うと、シャルを連れてカフェの外へと向かった。


二人はカフェの裏手にあるゴミ箱の蓋を開け、手袋をして中を調べ始めた。「紙」と書かれたゴミの中から、いくつかの紙類が出てきたが、そのほとんどはレシートや広告紙だった。


「うーん、やっぱりここにもないのかな。」

シャルが少し疲れた声で呟いた。


しかし、その時、エイルがふと何かを見つけた。

「待った、シャル。これを見て。」


エイルが手に取ったのは、何枚かの紙が折り重なったもので、その中に見慣れた文字が書かれていた。まさに、ロイドが大事にしていたスイーツのレシピが、他の紙に混じって捨てられていたのだ。


「これ…レシピですか?」

シャルは驚いてエイルの手元を見つめた。


「その通りだよ、シャル。」

エイルは微笑みながらレシピを広げ、確かにそれがロイドの大切にしていたものだと確認した。


「どうやら、誰かがこのレシピを他の紙と一緒に捨ててしまったようだね。」


「良かった!やっと見つかりましたね、先輩。」

シャルはほっとした様子でため息をついた。


エイルは満足げに頷いた。

「うん、これでマスターさんも安心するだろう。結局、誰も悪意を持って盗んだわけではなく、ただのミスだったのかもしれない。」


「これで一件落着ですね。」

シャルは嬉しそうに微笑んだ。


「うーん、まぁ、その通りだね。」

エイルも同じように微笑み返した。


「さあ、マスターさんにこのレシピを返しに行きましょ!」

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