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小骨が喉に刺さったまま  作者: ユガミヒト
1章「消えたスイーツのレシピ」
5/10

第5話

常連客の男性との対話を終えたエイルとシャルは、次にカフェ・フローラのスタッフたちに話を聞くことにした。レシピが消えた日のことについて、より詳細な情報を集めるためだ。まずはバイト店員のサラに話を聞こうと、二人は彼女を探しにカフェの厨房へ向かった。


「サラさん、ちょっとお時間よろしいですか?」

エイルが厨房の入り口から声をかけると、サラが振り返り、手を止めて二人に近づいてきた。


「何かありましたか?」

サラは少し驚いた様子で、エプロンを直しながら尋ねた。


「実は、レシピが消えた日について、もう少し詳しくお話を伺いたくて。」

エイルは慎重に話を切り出した。


「その日、何か変わったことや気になることはありませんでしたか?」


サラはしばらく考え込み、そして静かに首を振った。

「特に変わったことはなかったと思いますけど……あの日はとても忙しかったから、何があったか全部は覚えていません。」


「具体的に、忙しい中で何か特に印象に残っていることはありますか?」

エイルがさらに尋ねた。


「うーん……」

サラは少し考え込み、そして急に思い出したように口

を開いた。


「そうだ、あの日、一人のお客さんが急に気分が悪くなって、ちょっとした騒ぎになったんです。なので私はその対応をしていて、他のことに気を回す余裕なんてなかったです。」


シャルが興味津々に尋ねた。

「そのお客さんは、どうなったんですか?」


「幸い、すぐに落ち着いたから良かったんですけどね。」

サラは安心したように笑った。


「ただ、その時、他のスタッフもみんなその対応に追われていて、厨房が少し手薄になっていたのは確かです。」


エイルはその言葉に反応し、メモを取りながら質問を続けた。

「その時、ロッカールームに誰かが入ったり、レシピに近づいたりすることはありませんでしたか?」


サラは考え込み、そして首をかしげた。

「それはわからないですね…。私自身はロッカールームに行っていませんけど、その時に他のスタッフがどうしていたかまでは覚えていません。」


エイルは頷きながら、その情報を頭の中で整理していた。

「ありがとうございます、サラさん。それだけでも十分手がかりになります。」


サラは少し申し訳なさそうに微笑んだ。

「あまりお役に立てなくてすみません。でも、何か思い出したらすぐに教えますね。」


エイルは感謝の意を伝え、シャルと共に厨房を後にした。


「忙しい日だったから、気がつかないうちに何かが起こった可能性は高そうだね。」

エイルは、店内を歩きながらシャルに話しかけた。


「そうですね。でも、まだ決定的な証拠は見つかっていないし、他のスタッフにも話を聞いてみた方がいいかもしれません。」

シャルもエイルに同意した。


二人はそのまま他のスタッフたちにも話を聞いて回ったが、特に新しい情報は得られなかった。みんな忙しい中で、特に変わったことは覚えていないと言うのが大半の意見だった。


しかし、エイルは諦めずに何かを掴もうとしていた。

「これまでの話をまとめると、レシピが消えたのはおそらく騒ぎが起こったあの時だった可能性が高い。だが、まだ誰がどうやってレシピを持ち出したのかはわからない。」


シャルは少し困った顔をしてエイルを見つめた。

「じゃあ、次はどうすればいいんですか?」


エイルは少し考え込み、そしてふと笑顔を浮かべた。

「次にすべきことは、別の視点から考えることだ。誰かが意図的にレシピを持ち出したのではなく、偶然何かの拍子に紛れ込んでしまった可能性も考えられる。レシピがどこかに隠れているとしたら、どこにあるのかを推理しよう。」


シャルはエイルの言葉を聞いて、少し驚いた表情を見せた。

「そうか、意図的でないということなら、レシピが偶然どこかに行ってしまったってことですね!」


エイルは頷きながら、次の調査の段取りを考えていた。

「今一度、カフェの中を細かく調べ直してみよう。特に普段はあまり気に留めない場所に何か手がかりがあるかもしれない。」

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