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小骨が喉に刺さったまま  作者: ユガミヒト
1章「消えたスイーツのレシピ」
2/10

第2話

エイルとシャルは「カフェ・フローラ」に到着した。カフェの外観は落ち着いた雰囲気で、木の扉には「ようこそ」という文字が丁寧に刻まれている。店内に入ると、心地よいコーヒーの香りと、軽やかなジャズが流れる穏やかな空間が広がっていた。


「こんにちは、いらっしゃいませ。」

カウンターの後ろに立っていた茶髪ポニーテールの店員のサラが、二人を迎え入れた。彼女はニコニコとした笑顔で、少し緊張した様子のエイルとシャルに目を向けた。


「今日はどのようなご用件ですか?」


「こんにちは。エイル探偵事務所の者です。こちらのスイーツのレシピが消えてしまったと聞いて、調査に来ました。」

エイルが優しく説明した。


「調査…ですか?いったい誰が依頼を……」サラは驚いた様子で聞き返した。


「この店の常連だという男性からの依頼です。」


「そうですか!なんでも言ってください、できるだけ協力します。」


エイルが頭を下げながら言った。

「ありがとうございます。まずは、レシピが保管されていた場所や、最近の出来事についてお話を伺いたいと思います。」


「もちろんです。」

サラはしばらく考え込むと、カウンターの後ろから一冊の古びたルーズリーフのノートを取り出した。


「これが、マスターがレシピを保管していたノートです。ただ、先日このノートの中身がなくなったのです。」


エイルはルーズリーフノートを受け取り、中をぱらぱらとめくった。古い紙の質感と手書きの文字が、確かにレシピが保存されていたことを示している。しかし、ページ数が明らかに少なくなっていた。


「この現在は無くなっているページに、消えたスイーツのレシピがあったということですか?」

エイルが尋ねた。


「はい、そうです。」

サラは困ったように眉を寄せて頷く。


「レシピがなくなってからは、どうしようもなくて。マスターも困り果てている状態です。」


「それでは、ノートの中身がなくなったときの状況を詳しく聞かせてもらえますか?」

エイルがサラに向かって言った。


「はい、もちろん。」

サラは少し考えた後、話を始めた。


「ノートが最後に目撃されたのは、ロッカールームで、仕事中に私たちが使わない時間帯はそこで保管されていました。それ以外の時間はマスターが持ち歩いているので気にしていなかったんです。その後、ノートがどこかへ行ってしまっていたらしいです。それからしばらくして、マスターがレシピの抜けたノートを発見してきたんです。」


「ロッカールームですね。」

エイルはメモを取りながら言った。


「それでは、まずそのロッカールームを見せてもらえますか?」


「わかりました。こちらへどうぞ。」

サラはエイルとシャルを案内し、カフェの奥にある小さな部屋へと導いた。部屋の中にはロッカーの他に、いくつかの箱や棚が並んでおり、そこにはカフェで使用する様々な物品が収納されていた。


エイルとシャルは部屋を注意深く調べ始めた。シャルは棚の上や箱の中を探し、エイルは物品の配置や収納方法を確認していた。


「この部屋には、レシピが置かれていたことがあるんですね?」

エイルがサラに尋ねた。


「はい、そうです。ここに保管していたはずです。」

サラが答えた。


「それでは、部屋のどこにレシピがあったのか、もう一度確認してみましょう。」

エイルが言った。


二人は慎重に調査を続け、部屋の隅々まで確認したが、レシピの痕跡は見つからなかった。エイルはしばらく考え込み、再びノートに目を戻した。


「これから、さらに詳細な調査が必要になりそうです。」

エイルがサラに言った。


「カフェの他の場所や、スタッフの行動についても確認していきます。あと、マスターさんにも私達のことをお伝えいただけますか?」


「了解しました。」

サラがうなずきながら答えた。


「何か他に手伝えることがあれば、言ってください。」


エイルとシャルはカフェ内の調査をすることにし、次にどこを調べるかを考え始めた。

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