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むずかしい、むずかしい、つくる!

「どうにもならないんですか……?」


 エリーゼちゃんの問いかけに、ドラコちゃんは目を逸らした。見ていられない、とばかりに。

 少しかわいそうだ。本当にどうしようもないのかな。


「クロ。どうにかならない?」


 あまり妹を頼りたくなんてない。むしろ頼ってほしいといつも思ってるから。

 でも魔法のことはお手上げだから、ここは素直にクロに頼ろう。魔法のことなら、クロがどうにかしてくれるかもしれないから。

 クロはしばらく黙り込んでいたけど、やがて目を閉じて、しっかりと頷いた。


「こころあたり。ある」

「心当たり……?」

「かんたん。ちょうごう。だめ。むずかしい。つくる」


 ああ、つまり、簡単な調合に必要な魔力で多すぎるなら、同じ量で作れる難しい調合をすればいいってことだね。簡単な調合は諦めてしまおうってわけだ。

 逆転の発想って言うのかな。悪くない提案だと思う。

 エリーゼちゃんも理解したようだったけど、納得はあまりできてないみたいだ。難しい顔をしてる。


「それは……言いたいことは分かります。でも、少し難しい程度だと、学園長は納得しない気がします」

「むずかしい。むずかしい。つくる。むずかしい」

「えっと……?」

「あー……。とっても難しい調合をすればいいってことだと思う。それこそ、他の人だと作れないようなものとか」

「魔力が多い程度だと作れないと思います……。そもそも作り方も分かりませんし……」


 そりゃそうだ。魔力が多いだけで作れるなら、他の魔法使いが作れてもおかしくない。それよりも作り方が分からないならどうしようもない。

 別の方法を探すべきかな、と私は思ったけど、クロは違ったみたい。亜空間から紙と鉛筆を取り出すと、床に紙を置いて何かを書き始めた。

 絵と、文字。拙い話し方と違って、文字や文章は普通に書ける子だ。これなら口頭で説明するよりも分かりやすいと思う。読めれば、だけど。

 いや、文字が汚いとかそういうのじゃない。私は普通に読めるから。


「あの……。これ、どこの言葉ですか?」


 そういうことだね。

 会話とかは魔法陣に内蔵される効果で自動翻訳されると、リオちゃんから聞いたことがある。ただしそれは声だけで、文字には反映されない。エリーゼちゃんだけでなく、ドラコちゃんにとっても日本語は未知の言語ということだ。


「エリクサー」


 クロが告げた単語に、エリーゼちゃんだけじゃなくてドラコちゃんも息を呑んだ。


「エリクサー……!? え、これが作り方なんですか!?」

「クロ……。誰に教わったんじゃ、これ……」

「師匠」

「あやつは何でもありか?」


 リオちゃんにできないことってあるのかな。真面目に疑問だ。


「でも、せっかくですけど、読めないので……」

「ん……。おねえちゃん」

「はいはい」


 今回は何を求められてるのか、すぐに分かった。簡単だ。読み上げろってことだね。


「エリーゼちゃん。読み上げるからメモしてもらっていい?」


 私がそう言うと、エリーゼちゃんも納得したのかすぐにペンを手に取った。それじゃ、ささっと読み上げよう。

 そうして読み上げて思ったこと。本当にこれで合ってるの……?

 いやだって、作り方以前に、材料がめちゃくちゃなんだけど。


 世界樹の葉、不死鳥の涙、ドラゴンの血液に聞き慣れない何かの草の名前。他にもいくつかあるけど、ドラコちゃんが言うにはどれも稀少な材料らしい。

 作り方も複雑だ。混ぜる順番だけでなく、どれぐらい混ざったかを感覚で察して適度な量を混ぜないといけないらしい。無茶ぶりだと思う。

 何がひどいって、練習そのものがほとんどできないってことだね。練習するだけで貴重な材料を使うことになるんだから。


「一発勝負はさすがに厳しいと思うけど……。そのあたり、どう?」


 そうクロに聞いてみると、任せてほしいと胸を叩いた。無言無表情でその仕草はちょっと怖いよ。


「ざいりょう。いっぱい。だいじょうぶ」

「クロが材料をたくさん持ってるから大丈夫だって」

「なんで分かるんですか!?」


 今のは比較的分かりやすい方だと思うよ。

 クロが亜空間に手を突っ込むと、いろいろなものを取り出し始めた。たくさんの葉っぱに、大きな瓶に入った透明な水や赤い液体などなど。

 言われなくても分かる。これらが世界樹の葉とかそのあたりだ。


「いやクロ、なんでこんなに貴重品を持ってるの?」

「師匠。おしえてくれた。ざいりょう、いっぱい」

「ふむ……。師匠がエリクサーの作り方を教えてくれて、その時に材料をたくさんもらったと」

「小夜は通訳か何かか?」


 慣れれば分かるよ。みんなで慣れようクロの言葉!

 それにしても、リオちゃんはクロにいろいろと詰め込みすぎじゃないかな。少し心配になってくるよ。あと貴重品を渡しすぎだ。恩返しができる気がしない。


「エリクサー。つくる」

「えっと……。教えてくれるの……?」

「ん」


 不安そうに聞いてくるエリーゼちゃんにクロがしっかりと頷く。それだけでエリーゼちゃんは安堵のため息をついた。


壁|w・)ポーションがだめならエリクサーを作ればいいじゃない……!

師匠を自慢するクロはちょっとだけ胸を張ってます。えっへん。


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― 新着の感想 ―
[一言] エリクサーの制作 歴史が生まれそう。
[一言] クロちゃんの言葉(単語)……クロちゃん語…みんなで極めよう………わからない○| ̄|_
[良い点] この力技感… とても好き
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