第4話 告白してきた後輩が、義妹になりました……
「じ、人生で初めて彼女が出来てしまった……っ!?」
雨晴ちゃんの愛の告白から1時間後。
俺は晩御飯の買い物も忘れて、ふわふわした足取りのまま、家路へと続く道を歩いていた。
「彼女……俺に彼女。しかも、あんな可愛い彼女が出来てしまった……」
年下の、学校で1番カワイイと評判の女の子を、彼女にしてしまった。
なんで雨晴ちゃんが俺のコトを好きになったのかは分からないが、それでも間違いなく、俺の彼女になった。なってしまった。
「ゆ、夢じゃねぇよな?」
いまだに信じられない。
あんな美少女(めっちゃイイ匂いした♪)が俺の彼女だなんて……。
一体俺は、前世でどれだけ徳を積んだんだ?
「あっ、ヤベ!? 晩飯買って帰るの忘れた!? ……まぁ、いいや」
今日は気分もいいし、奮発して店屋物でも頼んじゃおっと♪
そんな事を考えながら、俺は自宅の玄関のドアを開けた。
「ただいまぁ~♪」
「おかえり、優。ちょうど良かった! ちょっとリビングの方まで来てくれ~」
「んっ? ほいほ~い」
リビングの方から男手一つで俺を育ててくれた、金城家の大黒柱、金城マコトパパ上の声が、玄関に響き渡った。
俺はスタスタとリビングの前まで移動し、上機嫌のまま扉を開け、
「親父ぃ、今日の晩飯なんだけど、時間も時間だし、店屋物でも――あれっ!?」
「お、お邪魔してます、センパイ……」
「雨晴ちゃん!? なんで!?」
扉の向こう側、そこには、親父とテーブルを挟んで座るように、さっきまで俺と一緒に居た雨晴ちゃんと、パリッ! とノリの効いたスーツを着込んだ、妙齢の女性が座っていた。
えっ?
なんで雨晴ちゃんが我が家に居るの?
困惑する俺をよそに、親父の呑気な声が、耳朶を叩いた。
「なんだ、優。コガネちゃんを知っているのか。なら話は早いな」
そう言って、親父は固まって動けない俺に言葉を重ねてきた。
「前にも話したとは思うが、父さん、再婚しようと思うんだ」
「お、おう。それは聞いたし、応援もしてるよ」
俺が物心つく前に、外で男を作って逃げて行った母親。
そんな母親に変わって、親父はたくさんの愛情を注いで、俺を育てて来てくれた。
そんな親父が、自分のために幸せを掴もうとしている。
応援する事こそあれ、邪魔するなんてありえない。
……って、あれ?
ま、まさか!?
「ここで再婚の話が出てくるって事は!? もしかして、この女性が!?」
「我が息子ながら、理解は早くして助かる」
「はじめまして、ゆぅ君。マコトさん――お父さんとお付き合いさせて貰っていた、雨晴千春です」
いかにも上品そうな女性が、俺に向かって頭を下げてくるので、慌てて俺も頭を下げた。
「こ、これはご丁寧にどうも。金城マコトの息子の、金城優で――雨晴ぁ!? えっ、雨晴ァ!?」
瞬間、俺は弾かれたように、お行儀よく座る雨晴ちゃんへ……我が出来立てホヤホヤの彼女の方へ視線を滑らせた。
俺の視線の先、そこには、俺と同じく青い顔を浮かべて、涙目でプルプルッ!? 震えているマイハニーの姿があった。
ま、マジかよ……。
じゃあやっぱり、この女性がっ!?
「そしてこの娘が、千春さんの娘で、今日からおまえの義妹になる、雨晴コガネちゃんだ」
「ほら、コガネ? お兄ちゃんに挨拶しなさい?」
「あ、雨晴コガネです……。よ、よろしくお願いします」
ほぼ涙声でそう口にする雨晴ちゃん。
そんな実の娘の態度を緊張していると取ったのか、千春さんはカラカラと陽気に笑った。
「ごめんなさいねぇ、ゆぅ君? ウチの子、ちょっとシャイなオシャマガールなの」
「い、いえいえっ! 可愛い娘さんですね?」
「か、可愛い……あぅ」
ボっ! と、雨晴ちゃんの顔が、瞬間湯沸かし器よろしく真っ赤に染まった。
や、やりづれぇ~っ!?
超やりづれぇよぉ~っ!?
俺が心の中でジタバタ暴れていると、親父がおどけた調子で、
「可愛いからって、手ぇ出すなよ、優? コガネちゃんは、おまえの義妹になるんだからな?」
「わ、分かってるよ親父、ハハッ!」
千葉県に存在する某マスコットキャラクターのような甲高い笑い声が、自然と唇からまろび出る。
ごめん、親父?
その忠告、一足遅かったわ……。
「これからは家族4人、力を合わせてガンバローッ!」
「おーっ!」
親父の掛け声に、千春さんが可愛らしく拳を掲げた。
そんな両親ズを眺めながら、俺と雨晴ちゃんは、こう思った。
((た、大変な事になってしまった……っ!?))
かくして、俺の長きに渡る【恋人義妹】生活が幕を開けたのであった。
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