第3話 果たし状÷後輩(カワイイ♪)=告白!……What?
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「ここだな、指定された場所は」
【果たし状】を受け取って30分後の、駅前の公園にて。
俺は体中に殺気を漲らせながら、公園の中央で喧嘩相手が来るのを1人静かに待っていた。
時刻は午後6時30分過ぎ。
約束の時間まで、まだ残り30分ほどあった。
「ちと早過ぎたか? まぁ、いいや」
俺は高ぶった精神を落ち着かせようと、ゆっくり深呼吸を繰り返そうとして、
「あ、あのっ!」
と、背後から声をかけられた。
……来たか。
妙に緊張しているが、声の質からして、女の子。
だが、間違いなく喧嘩を売りに来た奴らの彼女か、ツレに違いない。
きっと、ラブレターだと勘違いしてやって来た俺を笑うために用意してきたのだろう。
まったく、俺をコケにするために、よくもまぁ、ここまで手の込んだことをするモノだ。
上等だ!
モテない男の純情を弄んだ罪、その体に教え込んでやるぜ!
俺はゆっくりと背後へ振り返り……固まった。
「んぁっ?」
てっきり、剃り込みの入ったヤンキー数人が現れるとばかり思っていた。
が、そこに居たのは、ウチの制服に身を包んだ、光り輝く美少女だった。
「ご、ごめんなさい! お、遅れました!」
そう言って、申し訳なさそうな顔で、頭を下げる美少女。
俺はこの美少女を知っている。
瑞々しい肌。
豊な双丘。
キラキラと輝く金色の髪。
間違いない。
入学と同時に、その暴力的なまでの美貌で、学校中の話題を独占した新入生。
1年A組、雨晴コガネちゃんだ。
「お、お久しぶりです! あ、雨晴コガネです! ボクのコト、覚えてますか!? ……センパイ? 金城センパイ? どうしたんですか? そんなにキョロキョロと辺りを見渡して?」
「あぁ、いや! 何でもないよ」
とりあえず笑顔をキープしながら、全身の神経を総動員させ、周りに人が潜んでいないか確認する。
きっと油断したところを、背後から殴りかかってくるつもりなのだろう。
その手は喰わん!
俺は全身全霊で索敵を開始し、
「あ、あれ……?」
誰も、居ない……?
この公園の中は、俺と雨晴ちゃん以外、誰も居なかった。
ど、どういう事だ?
「金城センパイ?」
「え~と、雨晴ちゃん1人?」
「は、はい。そうですけど?」
それが何か? と、可愛らしく小首を傾げる、後輩女子。
そのあどけない表情を見て、俺は全てを理解した。
あぁ~、なるほど。なるほど。
はいはいはいはい、そういう事ね。
「いつかこんな日が来るとは思ってたけど、まさかこんな可愛いレディーに喧嘩を売られる日が来るとはなぁ……」
「へっ? 喧嘩?」
きょとん、と目を丸くする雨晴ちゃん。
そんな彼女を尻目に、俺はどっかり! と、その場で腰を下ろした。
「ごめんな、雨晴ちゃん? 俺の両腕はレディーを抱きしめるためにあるのであって、決して殴るためにあるんじゃねぇんだわ」
「あ、あのセンパイ? 多分、センパイは勘違いをしてます。ボクは――」
「いや、みなまで言わなくていい」
俺はナニか言おうとしていた雨晴ちゃんを、片手で制止ながら、ブレザーを脱ぎ捨てた。
「俺はレディーは殴らねぇ。だから雨晴ちゃん。雨晴ちゃんが納得するまで、俺を殴ってくれていい。今日はソレで勘弁してくれ」
「ま、待って待って待って待って!? センパイ誤解!? 誤解してますよ、センパイ!?」
何故か慌てた様子で、俺にすり寄ってくる雨晴ちゃん。
どうでもいいけど、めっちゃイイ匂いするな、この娘?
結婚したい。
じゃなくて、誤解?
「え~と? 俺とタイマンがしたくて、呼び出したんじゃないの?」
「タイマン!? 違います! 違いますよぉ!」
雨晴ちゃんは、わたわたっ!? と、両手で空気をかき混ぜながら、
「ぼ、ボクは金城センパイに告白するために、手紙を書いたんです!」
と言った。
…………What?
「……Pardon?」
「だ、だから!? き、金城センパイに『好きです』って伝えたくて、手紙を書きました。うぅ……」
雨晴ちゃんは顔を真っ赤にしながら、恥ずかしそうに顔を俯かせてしまう。
その姿も大変キュートだったが、正直ソレどころじゃなかった。
彼女は今、なんて言った?
「好き? 誰が? 俺が?」
「ぼ、ボクが、センパイのコトを……です」
……………………。
…………………………………………。
………………………………………………………………えっ!?
「好きぃ!? 俺のこと、好きぃ!?」
「は、はい。お慕い申し上げとります」
ぽぽぽっ! と、頬をこれでもかと赤くする雨晴ちゃん。
所在無さげに、もじもじ!? とその場で膝を擦り合わせる姿は、何とも愛らしい――じゃない!
落ち着け、ユウ・キンジョーよ?
こんな可愛い女の子、しかも年下が、俺のコトを好きだと、本気で思っているのか?
ハッ!? 分かったぞ!
「さては罰ゲームだな!? 俺が了承した途端、草むらに潜んだギャル達が『ドッキリ大成功♪』のプラカードと共に、俺をバカにしに現れるんだな! そうなんだな!?」
「いえ、その……ドッキリとかではなく……マジです」
「ま、マジですか……?」
「はい、マジです」
雨晴ちゃんの瞳からは、嘘の色合いが全くなく……えっ?
マジで俺に惚れてるの?
なんで!?
「お、俺が言うのもなんだけど、雨晴ちゃんなら、もっとマシな男を選べただろうに! なんでわざわざハズレを選んじゃうのさ!?」
「……よくそこまで自分をこき下ろせますね、センパイ?」
「いや、だってさ? よく考えてみてくれよ!? 今、チミが告白した男は、スキンヘッドで厳ついし、おまけに男性フェロモンの塊のような巨体をした男だよ? 長所と言えば、靴紐が結べるくらいの、しょうもねぇ男だよ!?」
「しょ、しょうもなくありません!」
雨晴ちゃんは、キッ! と眉根を吊り上げながら、
「センパイは優しいし、カッコいいし、困っている人は放っておけない、正義のヒーローみたいで素敵です!」
「め、めっちゃベタ褒めしてくるじゃん、この娘……」
ちょっと恥ずかしいよ……。
まぁ、悪い気はしないけどさ?
「好きです、センパイ! ボクと付き合ってください!」
「あ、ありがとう。気持ちは嬉しいけど、でも考え直した方がいいと思うよ? 雨晴ちゃんには、もっとお似合いの男の子が居ると思うし」
「センパイ以外、眼中にありません!」
ダメだ。
心の底から忠告しているのに、聞く耳を持ってくれないよぉ。
「いや、ほんと。マジで考え直した方がいいって? 俺の伴侶になる女性は、それはもう、口にするのもおぞましい性生活を送るハメになるよ?」
「お、おぞましい性生活……」
ごくりっ、と雨晴ちゃんの喉が鳴った。
その瞳は恐怖で彩られ……おや?
なんかちょっと、期待でキラキラしてない?
「ぐ、具体的には、どのような生活ですか?」
「具体的に? そうだなぁ」
まぁ、軽いジャブとして、
「●●●に●●●を入れて●●●●言わせたりとか、■■■■に■■■を書いたりとかかなぁ」
「あ、●●●に●●●を入れて●●●●言わせたりとか、■■■■に■■■を書いくんですか!?」
あれ、なんかちょっと嬉しそうだぞ?
雨晴ちゃんの声音が、心なしか喜んで聞こえるのは、俺の気のせいでしょうか?
「センパイの言いたい事は、よく分かりました」
「分かってくれたかい? なら、俺のコトは諦めて、もっとイイ男を捕まえ――」
「ぜひボクを恋人にしてください!」
「……why?」
人の話、聞いてた?
「大丈夫です! ボク、Mなんで! むしろご褒美です!」
「おっとぉ? これはぁ?」
もしや俺は、開けてはならない禁断の箱を開けてしまったかぁ?
鼻息を荒げながら、俺に詰め寄って来る雨晴ちゃん。
こ、こんなに女の子にグイグイ来られた経験がないので、何て言うか……ちょっと怖い。
「センパイの煮えたぎる欲望を、必ず受け止めてみせます! だから、ボクを彼女にしてください!」
「いや、あの……雨晴ちゃん?」
「……ダメ、ですか?」
くぅ~んっ! と、甘えたような上目遣いで俺を見上げる雨晴ちゃん。
か、可愛い……。
けどっ! ダメだ!
確かに俺は彼女が欲しい。超欲しい!
だが、俺のようなロクデナシに、こんなイイ子は勿体なさ過ぎる。
勿体なさ過ぎて、もったいないオバケが出てくる所だ。
彼女にはもっと、頭と顔が良くて、金持ちで、性格もいい男と付き合って幸せになって貰いたい!
間違っても、女子大生のパンチラを目撃して『ゲヘヘヘ♪』言ってる男の彼女になるべきではない!
だから俺は、心を鬼にして、彼女にハッキリと言ってやった。
「コチラこそ、よろしくお願いしますっ!」
まだ3話目だというのに、ブックマークとポイント評価、誠にありがとうございます!
そんなワケで、ようやくメインヒロインの登場により、物語は大きく動き出していきます!
今回はイチャイチャ♪ メインでお話が進んでいくので『女の子の修羅場が見たい!』という読者さまが居れば、ぜひ本作の10年前の物語にあたる、
俺のことが好き過ぎて、『女神』と呼ばれている学校1の美人姉妹が【ヤンデレ】化しました!?(https://ncode.syosetu.com/n5477hz/)
を読んでみてくれると、嬉しいです!