エピローグ 世界で1番かわいい妹!
俺とコガネが想いを確認し合った、翌日の夕方。
俺とコガネは終業式が終わるや否や、森実海浜公園で開催されている夏祭りへと足を向けていた。
「お兄ちゃん、お兄ちゃんッ! ボク、あそこのチョコバナナが食べたい!」
「えっ!?『お兄ちゃんのチョコバナナが食べたい』!? 急にどうした? セクハラか!?」
「せっかくのデートが台無しだよ、お兄ちゃん……」
ゲンナリした表情を浮かべる、浴衣姿のコガネ。
そんな愛する義妹の浴衣姿に、ついつい視線が引っ張られてしまう。
「どうしたの、お兄ちゃん?」
「いや、やっぱりその浴衣、可愛いなって思って。よく似合ってるよ、うん」
「ほ、ほんと!」
やったー! と、子犬のように全身で喜びを表現する義妹。可愛い♪
信じられるか、コレ、俺の彼女なんだぜ?
「あっ、お兄ちゃんっ! お兄ちゃんっ! リンゴ飴がある! ボク、リンゴ飴が食べたい!」
「あれ?『お兄ちゃんのチョコバナナ』は、もういいのかい?」
「いや、ボクそんなコト言ってな――何でベルトぼホックを外してるの!? ヤダ、チャックを下ろそうとしないでよ!? 意味わかんないよ!?」
リンゴ飴の屋台へと駆け出そうとする妹を、指先2本で止める。
こんな人混みの中、1人で突っ走ったら迷子になってしまう。
いや、迷子ならまだいい。
どんなに人が居ようと、コガネの匂いなら5秒で見つけ出せる自信がある。
問題はそう、ナンパだ。
世界一、いや宇宙一可愛いコガネが1人になった瞬間、繁殖意欲旺盛な渋谷の若者よろしく、自然発生したチャラ男共に『交尾しようぜ☆』と迫られる事は自明の理。
もしそうなってみろ?
俺はチャラ男共の顔面を、ママの作ったミートパイ並みにグチャグチャ♪ にしなければならなくなる。
せっかくの楽しい祭りなのだ、それは勘弁願いたい。
「ほらコガネ? 迷子になっちゃうから、お兄ちゃんに捕まりなさい?」
「あっ、うん!」
――ガバッ! むにゅん♪
コガネが腕に抱き着いた瞬間、義妹の豊かなパイパイが、柔らかく潰れるのが分かった。
あ、あっぶねぇ~!?
危うくパンツの下で、子種という名の打ち上げ花火が上がる所だったぁ!?
1人静かに冷や汗を流している傍らで、俺の愛する義妹は、満面の笑みを浮かべて、
「ありがとね、お兄ちゃん。兄妹になったのは偶然だけど、それでも、お兄ちゃんを好きになったボクの気持ちは、間違いなく正しかった。正しかったよ」
「おっ? 急にどうした?」
「べっつにぃ~? 言ってみたかっただけ♪」
にひっ! と、義母さん譲りの明るい笑みを頬に湛えながら、グイグイッ! と俺を引っ張って歩き出すコガネ。
「ほらほらっ! 早く行こ、お兄ちゃん! リンゴ飴は待ってくれないんだよ?」
そう言って笑う義妹の顔には、一輪の大輪の花が咲き狂っていた。
これにて完結です!
宣言通り30話で終われて良かったです!
次回作は知的でクールなナイスガイのお話になる予定ですので、3カ月後くらいにまたお会いしましょう!
それではっ!




