第27話 告白してきた後輩が、義妹になりました! ~家族の前で堂々と妹とイチャイチャ♪ してみた~
俺達の頭を悩ませていた、長年の義兄弟恋愛の問題がアッサリ解決した、その日の晩。
俺とコガネは、庭のベランダに腰を下ろしながら、金メダルのようにピカピカ光るお月さまを、2人肩を並べて見上げていた。
「いやぁ、まさか義母さん達が、こうもアッサリ理解を示してくれるとは思わなかったわ」
「ねっ? ボク達のあの3カ月は何だったんだろうね?」
「なっ? こんな事なら、もっと早めに打ち明けても良かったな」
まぁ全部、結論が分かっているからこそ、言える事なんだけどね。
と、兄妹で静かに会話のキャッチボールを楽しむ。
俺達を悩ませていた問題が解決し、肩の荷が下りたからだろうか?
俺もコガネも、言葉の節々に余裕があった。
「もう夏だなぁ」
「そうだ、お兄ちゃん。今度さ、風鈴でも買って、ベランダに飾ろうよ!」
「おっ、いいねぇ~」
蚊取り線香の匂いに、2人してうっとり♪ しながら、今年の夏に想いを馳せる。
「……お兄ちゃんはさ?」
「うん?」
「ボクと付き合って、後悔してる……?」
どこか試すような、不安そうな声をあげる義妹。
俺はゆっくりと大きく息を吐き捨てながら、夏の夜風に身を預けつつ、
「そう言えば、明日って1学期終業式じゃん?」
「えっ? う、うん。そうだね?」
「知ってるか、コガネ? 実は明日、森実海浜公園の方で、夏祭りがあるんだぞ?」
「えっ、ほんと!?」
「ほんと、ほんと。だからさ? 明日の夕方、俺と一緒に遊びに行こうぜ?」
俺はピカピカ光るお月さまから視線を切り、隣に座る義妹へと笑顔を向けた。
「俺さ、カワイイ彼女と夏祭りデートするのが夢だったんだ」
「お兄ちゃん……うんっ!」
ガバッ! と、勢いよく俺の腕に抱き着くコガネ。
にひっ♪ と、元気いっぱいに笑みをこぼす義妹の姿を見て、俺は心の中で安堵の吐息を溢した。
やっぱり女の子は、笑顔が1番のお化粧ですなっ!
「ボク、目いっぱい『おめかし』するね!」
「うははははっ! コガネはそのままでも十分可愛いぞぉ~っ!」
「もうっ! お兄ちゃんの妹タラシ~♪」
バカップルのようにイチャイチャ♥ しながら、明日の夏祭りに胸をトキメかす。
1年前の俺が、この光景を目撃したら『なんだ、お前? 死ぬのか?』と、驚愕に打ち震えていた事だろう。
いやほんと、まさか自分にここまでバカップルの才能があるとは思わなんだ。
でもまぁ、それもいい。
義妹が幸せなら、俺はバカップルで構わない。
「うははははっ! 覚悟しろよ、コガネ~? お兄ちゃん、全力でおまえを可愛がってやるからなぁ?」
「それはコッチのセリフだよ、お兄ちゃん! 妹として、なにより恋人として、お兄ちゃんをいっぱい、い~~~~~~っぱい! 可愛がってあげるんだから!」
そう言って笑う俺の妹は、夏の星々よりも輝いて見えた。




