第10話 キングジョー、恋人(妹)デート中に絡まれる……はぁ?(*´Д`)
「結局、ヒモ水着も買うんだね。お兄ちゃん……?」
「コッチはお家用だ」
お家用? と、可愛く小首を傾げるコガネちゃん。
時刻は午後5時少し過ぎ。
俺はほくほく♪ 顔で、義妹と我が家へ続く道をとろとろ歩いていた。
「あぁ、お家用だ。その水着は、親父や義母さんが家に居ないときに着て欲しい」
「な、なんでお家で水着を着なきゃいけないの?」
「い、言わせるなよ、恥ずかしい(ぽっ)」
「は、恥ずかしい!? ぼ、ボクに恥ずかしい事をさせる気なの!?」
恋する乙女のように頬を朱色に染める俺を、驚いたように見つめてくる義妹。
相変わらず俺のマイハニーには、いいリアクションを返してくれるぜ!
「ハハハッ! 冗談さ、冗談っ!」
「あっ、な~んだ。冗談かぁ~」
「おうっ! 冗談、冗談っ! 8割冗談だって!」
「ヤバイ。この人、半分以上本気だ……ッ!?」
ぴくぴくっ!? と、頬を痙攣させる義妹。
う~ん、可愛い♪
はやくお持ち帰りしたいぜ!
「週末のプール、楽しみだな! なっ、イモウトよ!」
「……下心が透けて見えてるよ、お兄ちゃん?」
じとぉ~っ! と、湿った視線を向けてくるコガネ。
だが、すぐさま『しょうがないなぁ』と言いたげに、苦笑を浮かべると、ドンッ! と俺の身体に軽く体当たりをしてきた。
「でも、プールは楽しみ! えへへ……」
「可愛い。キスしてい~い?」
「うぇっ!? だ、ダメだよ! お外でなんて!? そういうのはそのぅ……お家に帰ってからでお願いします」
懇願するように、義妹が上目遣いで俺を見てきた。
……ヤベェ、すげぇムラムラしてきた!
「よし、帰ろう! 今すぐ帰ろう!」
「わわっ!? お、お兄ちゃん!? そ、そんなに焦って帰らなくても、ボクは逃げないよ!?」
パシッ! と、コガネの手を取り、声と足取りを弾ませながら、早足で帰路へつく。
鼻の穴がみっともなく広がろうが、関係ない!
俺は義妹との素敵で淫らな未来を夢見て、上機嫌で足を――
「――はい、ストップぅ~っ! そこで止まりなさい、キングジョー」
――瞬間、丁字路の曲がり角から、黒の革ジャンを着込んだ赤髪の女の子が、俺達の前に姿を現した。
うん?
誰だ、このお嬢さん?
「言っておくけど、逃げようとしても無駄だからね?」
そう革ジャンの女の子が口にするなり。
――わらわらっ! わらわらっ!
と、同じく革ジャンに身を包んだ30人ほどの男女が、俺とコガネを取り囲むように展開してきた。
「お、お兄ちゃん……」
ヒシっ! と、俺の身体に抱き着きながら、不安そうな声をあげる義妹。
俺はそんな愛する義妹の肩を『大丈夫だよぉ~♪』という意味をこめて、軽く抱きしめてあげた。
まったく、せっかく良い気分で帰宅していたのに……。
「なんだ、なんだ? ゴキブリみてぇに、わらわらわらわら? ウチの大事なイモウトが怖がってんだろうが? ぶっ殺すぞ?」
「出来もしない事を口にしない方がいいわよ、キングジョー? 器が小さく見えるから」
クスクス♪ と、嫌~な感じで笑う赤髪の女に、つい眉根が寄ってしまう。
「誰だよ、おまえ? 馴れ馴れしいな?」
「あら、ごめんなさい。自己紹介がまだだったわね」
女の子は、パっ! と後ろを向くなり、親指で自分のスカジャンを指さした。
そこには黒の革ジャンに映えるように、真っ白な文字で、こう書かれていた。
《10代目 乙女戦線》――と。
「アタシの名前は早乙女乙女。歴史ある【乙女戦線】の10代目総長にして、アンタを倒して最強へ至る女よ」
その魂に、しかと刻み付けなさい!
そう言って笑う早乙女を前に、俺は1人頭を抱えた。
あぁ……厄介なヤツが出て来たなぁ。




