いざ、避暑地、スーパーへ!
このご時世不振な人物に近づくのはあまり良くないとされているが、あいにく俺には特に関係ないので不用意に近づいて声をかけた。
「なぁ、大丈夫か?そこのお前。」
返事がない。だが、ただの屍ではない。
それは息をしていた。寝ているか気絶をしているかしていたのだろう。
生きているのを確認したからそれを道の端(草むらはムカデが出るので道路側)に寄せ、俺はそのままバイクに乗ってスーパーに向かって走り出した。
段々と畑が増えていき、家もポツポツと増えてくる。
そして1本の道を進んでやっと道の駅が見えてくる。その道の駅の向かい側が目的地のスーパーだ。
ここいらの地域では1番の大きさを誇るスーパーだ。実はこのスーパーの店長と麻雀仲間だったりもする。
そのスーパー前の駐車場に愛車を止め、金属チェーンをジャラジャラとカバンの中から引っ張り出し、タイヤの2つにかけて、南京錠の4桁の数字をバラバラにして鍵をした。
まだ自動で動く自動ドアをくぐり、真夏なのに涼しいスーパー内に入る。
このスーパーは良心的なスーパーで、保管庫に保管してある食材を毎日品出してくれている。
お酒もまた同様だ。
現実逃避としてお酒を大量に飲む人や買い溜めする人も出てくると予想されたが、そういったことは少なかったと店長は言っていた。
それは回覧板での注意のおかげか、ここらの人の人情か。おそらく後者だ。
なぜなら、ここのスーパーでは人類が滅亡するから、とお金はいらないと張り紙があるのにみんな律儀にお金をレジ台に置いていくからだ。
田舎のいいところだよな。
お酒のコーナーのところへ行き、レモンの凄いやつを手に取る。それと赤ワインも持っていくことにした。
「あぁ、そうだ、おつまみ」
ロッピーチーズとビーフジャーキー、それとキャラメルポップコーンをそれぞれカバンの中に入れる。
ミルク、蜂蜜、生姜、それと納豆も入れた。
俺は周りに流される人間だから俺もお金をレジのところに置いておく。
涼しい場所から暑い外へ出る。熱中症にならないように持ってきたお茶で喉を潤す。
右手でお茶を飲みつつ左手で南京錠の数字版を4918にし、錠をとく。
チェーン類もカバン類に入れたら愛車に跨り、エンジンをふかして家に帰った。
愛車を駐車場に停め、扉を開けると知らない靴が玄関にあった。
ローファーだったから、ここいらのおじいちゃんおばぁちゃんの靴ではない。
猟銃を構え、警戒して家の中に進む。