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ドラ姫様が往く!!  作者: Mr.B
オルディナン大陸へ往く!!
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レイブランとヤタールの失態

すみません。寝落ちして間に合いませんでした。そしてやや短いです。


街の散策を続けます。

 ヴィステラモーニャのメンバーであるガーシャとモロトフ、そしてイネスを加えての散策はあっという間に時間が過ぎ、まだ3割ほども街を見ていないというのに夕食の時間となってしまった。

 理由は、この街の滞在期間だ。1週間という私の旅行基準で言えば長期の滞在期間を設けているため、心に余裕ができてつい店の滞在時間が長引いてしまったのが大きな原因と言える。

 特に興味のない商品を扱っている店はともかく、私が興味を引くような美術品や食材を扱っているような店の場合、長い時は1時間以上その場にとどまりもしていたからな。そんなことをしていればあっという間に時間が過ぎてしまうのも当然の帰結である。


 「私達は旅館に戻るけど、貴方達はどうするのかな?」

 「我等はこのまま街を散策させていただきます」

 「そろそろ晩飯の時間になりますからね。つまり、酒を飲める時間ってわけです」


 モロトフの口ぶりから推察するに……なるほど、彼等は複数の酒場で酒を飲み歩くつもりのようだ。彼等は酒好きのようだし、気を遣うような相手もいなくなるから、彼等にとってのお楽しみはこれからが本番と言ったところなのだろう?

 では、イネスはどうするのだろう?


 「このままノア様に就いて行って旅館に入れればいいのですが、勿論そんなわけにはいきませんからねぇ。大人しく晩御飯をいただきますよ。ね?ガーシャさん、モロトフさん!」

 「「え゛?」」


 なんと。イネスはこのままガーシャとモロトフに同行するつもりなのか。思い切ったことをするものだ。引き続き彼等の取材を続けるつもりなのだろうか?

 2人ともイネスがついて来るとは思っていなかったようで、彼女の言葉に驚愕して同時に声が漏れてしまっている。


 本来ならば見目の良い異性からの同行の申し出は歓迎すべき事態なのかもしれないが、街を散策している最中もイネスのガーシャとモロトフへの取材は続いていたのだ。そろそろ彼等にも自由と言える時間が欲しいのではないだろうか?


 「ふふふ!冗談ですよ、冗談!流石にこの時間まで根掘り葉掘り色々とお話を聞かせていただきましたからね!あまりしつこく取材を続けて不快に思わせてしまったら記者の名折れです!」

 「ど、どうも……」

 「助かります……」


 イネスはああ言っているが、実際のところ2人は既に結構ストレスが溜まっていたりする。

 彼女も言っていた通り数時間にわたって根掘り葉掘りと様々な話をさせられていたからな。実を言うと喉を潤すための飲料を購入したのは1度や2度では無かったりするのだ。


 容姿と愛嬌、それと引き際を弁えているからこそ軋轢は発生していないようだが、少し間違えれば私の紹介と言えど彼等はイネスに悪感情を抱いていたかもしれない。


 以前ニスマ王国のアリドヴィルで取材をした際、取材を行った記者も[どちらかと言えば人から嫌われている職業]だと語っていたが、なるほど。自分の仕事を優先するあまり他者の都合を顧みなければ当然不興を買うだろうからな。それだけ自分勝手な記者が多いということなのだろう。

 そんな自分勝手な記者はイネスからすれば二流以下の記者ということらしい。


 「引き際の見極めは大事ですよ?超えてはいけないラインをしっかりと見極めて引くべきと判断したなら踏み込み過ぎずにスパッと引く!これぞ私が今日までこの仕事で食べて来れた生き方です!」


 今の発言、どうやら記者としてだけでなく怪盗としての生き方にも当てはまるようだな。少しだけ胸を逸らして誇らしげに語っているイネスは自信に満ち溢れている。

 思えば彼女は取材に対する諦めこそ悪いが、断られればすぐに引き下がる対応をしていた。相手が私でなくてもそれは変わらないのだろう。フウカやオスカーの取材も本人が嫌がるような取材は行わなかったようだしな。


 それならば、今後彼女がジョージ達の行動を妨げるようなことはしないだろう。


 「ノア様、私に対する評価が若干低くありません?あの方々はアイラ様を筆頭にティゼム王国やアクレイン王国、つまるところ魔大陸を代表しているのですよ?一介のフリーの記者が邪魔建てなんてできるわけないじゃないですか。下手したら指名手配されちゃいますよ?」

 「指名手配は流石にないんじゃないかな?」


 多分だが、記者の身分をはく奪されるぐらいで済むだろう。


 「じゃあダメじゃないですか!私にとって記者という仕事は人生を掛けるに値する仕事なんですよ!?」


 ほう。今の言葉は嘘偽りのない言葉だな。

 思っていた以上にイネスは記者という立場に誇りを持っているようだ。なんなら怪盗以上に大事な職業なのかもしれない。尤も、それをこの場で答えてもらうわけにはいかないが。


 それはさておき。

 ガーシャとモロトフをこの場に留めておくのも忍びないし、そろそろ解散と行こう。

 私は私で出来立ての旅館の夕食が食べたいのだ。



 部屋に戻れば、そう時間を置かずして夕食が私の部屋に運ばれてきた。

 扉を開けた際に私がいたことに従業員が心底安心していた様子を見るに、やはり昨日はかなり恐ろしい思いをしたのだろう。

 怖がらせてしまった詫びは勿論済ませたし、今後はそういった事態が起きないようにするつもりだ。この時間帯は『広域(ウィディア)探知(サーチェクション)』によって旅館の状況を常に確認して私がいない時に従業員が部屋の扉を開けないように心がけておくとしよう。

 なに、私には転移魔術があるのだ。その気になれば部屋まで文字通り一瞬なのである。勿論、そうなる前に部屋に戻っておくつもりだが。



 部屋に戻った後は昨日と同様旅館の食事を堪能し、皆と風呂に入り、風呂上がりに皆の毛並みを整えたら後は就寝だ。

 夜の街並みも散策してみようかと思ったのだが、風呂から部屋に戻ると従業員が布団を用意してくれていたため、眠ってしまいたくなったのだ。

 仕方がないのだ。洗料によってフワフワのサラサラな触り心地になっている皆のモフモフを堪能しながら目の前に寝るのに適した布団があるのだ。しかも心地良さは既に確認済みである。

 寝るしかないだろう。背中をリガロウに預けてウルミラを抱きしめながら布団の中へと入れば、瞬く間に私の意識はまどろみ、次に意識が戻る時には暖かな日差しが部屋の中に差し込んでいた。


 驚いたことに、今朝はレイブランとヤタールによる起床の啄(ついば)みが無かった。こんなこと、彼女達が私の家で寝泊まりするようになってから一度もなかった出来事だ。

 レイブランとヤタールの気配が感じられる方へと視線を向ければ、彼女達はかなり気落ちした様子でうな垂れていた。


 〈大失態だわ……!過去最大の大失態よ……!〉〈寝坊したのよ……いつもの時間に起きられなかったのよ……〉


 あの娘達も寝坊する時があるんだなぁ……。

 理由はまぁ、多分だが昨日の散策で好き放題できていたのが原因だろう。

 昨日は私の両肩に大人しく泊まっていたとは言え、目に付く食べ物を好きなだけ食べられたのだ。いつも以上に満足感を得られたのだろう。

 しかも部屋に変えれば街で食べた食事とはまた別のベクトルで美味い料理を食べ、食後にはゆったりと(彼女達はすぐに出てしまうが)風呂に入って体を温め、毛並みを綺麗に整える。

 そうして身綺麗になったところに寝心地の良さそうな寝床があれば、朝までグッスリになってしまうのは当然だろう。現に私がそうなのだからな。だから私は彼女達を責めるつもりはない。


 まぁ、私が責めないというだけでありあの娘達を責めている者はいるのだが。というか彼女たち自身が自分を責めている。

 朝になったら私を起こす。それはあの子達にとっての大事な仕事だったし、あの娘達はその仕事を誇りに思っていたのだから、落ち込んでしまうのも止む無しなのだろう。

 私からあの娘達にたいして慰めの言葉を掛けてやることはできそうにない。そもそも他の子達が言わせてくれそうにないしな。存分に叱られてくれ。きっとゴドファンスやフレミーの説教が終わる頃には2度と失敗しないように心がけてくれることだろう。


 私とリガロウは今日も変わらず街を散策である。

 なお、昨日リガロウが散策中に静かだったのは、別にレイブランとヤタールが私の両肩にいたからではない。原因はイネスにある。

 この子はドライドン帝国デ彼女と出会った際に彼女の正体が怪盗であることを黙っていて欲しいと言ったのをしっかりと思えており、それ故に余計なことを言わないように口数が少なくなっていたのだ。

 今日からイネスはジョージ達について行くようだし、リガロウも大人しくしているようなことは無いだろう。改めて散策を堪能しよう。




 そうして時には私達だけで、時にはヴィステラモーニャやミスティノフを交えてゆっくりと街を散策すること6日間。あっという間にこの街の滞在期間が過ぎてしまった。


 そろそろ街を出るとしよう。この国の首都へ移動してデンケンがあって欲しいと言っていた国の代表に会いに行くのだ。勿論、ミスティノフのスポンサーにもな。

 そこで私のオルディナン大陸での計画を語らせてもらうのである。

 果たしてどのような反応をされるのだろうな?少なくとも、ミスティノフは歓迎してくれると思う。代表やスポンサーも歓迎してくれると嬉しいのだが……。

 それは実際に会って話して見なければ分からないことだ。


 同好者達と合流してこの国の首都へと向かおうか。

魔法『真理の瞳』を使用すれば未来を見れないこともないですが、以前語っていたように(第439部)未来視をする気はノアにはありません。


次回の更新は9月25日の0:00を予定しています。

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― 新着の感想 ―
レイブランヤタールの失態の内容が可愛らしい……。 ただ、毎回欠かさずやっていたことを1回逃してしまうと気分的にも落ち込んでしまうのはボクも分かりますね。
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