4話 馬車に揺れて
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ゆっくりと進む馬車は変わらない風景をずっと見せていた。ずっと平原。このような場所に人は住んでもいいんじゃないかと思うような綺麗な場所だ。しかし、何もないので飽きてくる。
そして、私も彼と話すことはなくずっと暇だった。ねむって時間を潰そうとしてもずっと寝ていたので眠たさも一切ない。
すこしの楽しみはご飯だ。しかしながら、そのご飯も保存食といった物でとてもおいしいような物ではない。とてつもなく固いパンという物と干した肉だ。
固いパンは、全く味がない。そして口の中の水分をすべて持って行ってしまう。干し肉はおいしいけど、ずっと同じだと飽きてくる。
彼も疲れているのか時々体の場所を変えて背伸びをしたりしている。私ですらきついのに彼はもっときついだろう。私よりも背が高いのだから。
また夜になる。あと少しで、休憩する予定の街に到着する。目的の街まではまだ先だけどすこしばかり気が楽だ。
「お嬢さんは大丈夫ですか」
そう聞いてきた。突然だったけど冷静に答える。
「大丈夫ですよ」
「あなたは強いですね。こんな距離を乗るのは無理な方が多いんですよ。もし気分が悪くなったりしましたら言ってくれ。休憩するから」
「はい。分かりました」
「ところで、君はどこから来たの」
「えっと...よく分からない場所です」
「そう。それにしても、見ない顔だからすこし気になってね」
「そうですか」
「いや、あまりにも美しい人だったからどこかなって」
「照れちゃいますね」
ほのぼのとした会話をしながら馬車はゆっくりと進んだ。
「ところで、そこで寝てる彼とはどのような関係」
「関係...よく分からないですね」
「そうなのか」
そうして、明るい時間に夕食を食べ仮の拠点を作り私はゆっくりと休んだ。彼は、外にいたままだった。
聞いた話によるとここはすこし危ない場所なので誰かが見張りを行っていた方がいいということだ。今の場所は、すこし山に入ったような場所だ。すこし暗くなったときも私は眠れなかった。何かの鳴き声がずっと聞こえてくる。怖くてなかなか眠れなかったけど、眠たさに敗北して結局眠ってしまった。
朝日で起こされた。彼は一人でたき火の近くに座っていた。夜からついていたたき火はまだかすかに残っていた。
「おはよう、ミリア」
「おはようございます」
私は、挨拶を返す。
「よく眠れた」
「はい。しっかりと眠れました。あなたはどうでしたか」
「いや、寝てないよ。まあ、気にしないで、馬車で寝るから。というかこの体...」
「寝ていないのですか」
「まあ」
彼の話を途中で遮ってしまったのは申し訳なかったけど彼にはゆっくりと休んでもらいたい。
そして、経由する街に到着した。彼は、熟睡していた。
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