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第8話 訓練。そして身分証獲得

指定の時間になったので訓練所に向かう。マッチョのおっさんがいた。


「おまえが訓練講習希望者か?」

「はい、ルノと申します。よろしくお願いします」

「俺が講習の講師をやっている。レガロだ。早速だが訓練内容は何を希望する?見たところ武器も防具も見えないが?」

「全く戦闘経験がないのですが、それなりに戦えるようになりたいのです。まずは使用する武器のことも含めて相談に乗って頂きたいと思っています。」

「スキルはどんなものがある?他言はしないし、言える範囲で構わない。それにより戦闘スタイルを考えよう」

「忍び足・気配希薄・障壁ですね」

「斥候タイプか・・・障壁ってのはなんだ?」

障壁を使用すると、教官殿はコンコンと軽く叩いている。

「魔法のシールドみたいなもんか。強度は分からんがスキルレベルが上がれば使えるな。」

「あ、今のところパーティを組む予定がないので、近接戦闘をメインで想定しています。」

「刃物は扱うのに技術がいる。手入れも手間がかかる。鈍器は素人でも扱いやすいし、手入れが楽。どっちがいい?」

「鈍器でお願いします。」

「剣を持ちたがるやつのほうが多いんだがな。分かった。この棍棒を振ってみろ。」

短めの片手用棍棒とちょっと長めの棒を使って戦闘指南を受けた。棒術も悪くないかもしれない。

武器の振り方や普段の訓練方法を教えてもらった。


「こんな感じだな。あとは鍛錬を重ねて、実際に戦闘して経験を積むんだな。ただ、最初は筋トレで体作りをしたほうがいい。最後に勝敗を分けるのはやはり筋肉だ。」

教官殿はポージングを決めながら今日の訓練を締めくくった。


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訓練の後、銭湯に行くことにした。やっと風呂に入れる。体を拭くだけではやはりすっきりしない。クリーンという浄化魔法もあるらしいが、みんなが使えるわけではないので風呂があるわけだ。

時刻は夕方5時。仕事終わりの人たちがちらほらいる。そんなに混み合っていないのでのんびり湯に疲れそうだ。もちろんシャンプー・リンス、フィデルさんのお店で買った石鹸も持っていく。湯に浸かりながら訓練を振り返る。とても重要な情報が得られた。スキルについてだ。訓練すればスキルは増やせるらしい。剣の訓練をすれば剣術スキルが入手できるといった感じだ。スキルレベルは訓練より魔物を殺すと上がりやすいと言われている。魔物が死んだ時に出る魔素なるものを取り込み、スキルレベルの強化につながっているのではないかという説が有力だという。今はとにかく訓練を頑張ってみよう。そして、やはり魔法は使えるようになる必要がある。一人だと何でもできるようにならないといけない。手札は多いほうが良い。

今後の計画は、訓練・身分証の入手・魔法の入手だ。仕事探しは自衛手段を確保してからだな。

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翌日、朝一でギルドの訓練所に向かう。まずは筋トレからだな。そして昨日教わった訓練方法の実践だ。

午前中は訓練する時間にして、午後はフィデルさんのお店に向かう。昨日の美人な店員さんから良い笑顔でシャンプー・リンスのお礼を言われた。そんな笑顔を向けられると、また何か買い物して行きたくなる。身分証の相談に来ただけなのに。時計の魔道具欲しいんだよな。フィデルさんのお店でも最近取り扱い出したそうだ。腕の良い時計の魔道具職人と取引ができたんだとか。はい、買っちゃいました金貨2枚也。ああ、また散財してしまった。だってあんな笑顔を向けられるとねぇ・・・買っちゃうでしょ。

応接室で待っているとフィデルさんがやってくる。

「お待たせいたしました!ルノさん、本日はどうされましたか?」

「すみません、お時間頂戴してしまって。実は相談があって・・・」

フィデルさんには自分が転移してきたことを伝えてあるので、心置きなく相談できる。

「そういうことでしたら、商業ギルドで登録してはいかがでしょうか?商業ギルドのステータス読み取り機はスキル以下は読み取らないんですよ。商人はスキルを秘匿したがる者が多いので。冒険者ギルドはギルド側で戦力の把握をしておく必要があるので、全ステータスの読み取りになっていると聞いています。」

なるほど。確かに緊急時に招集がかかるとか、パーティ希望の場合はギルド側で斡旋してるとか、依頼内容がその冒険者に適正か確認するとか、冊子に書いてあった。つまり戦力を把握していないとできないことが多い。

やはりフィデルさんに相談して良かった。商業ギルドで登録しよう。

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早速、商業ギルドにやってきた。受付はすごい美人さんばかりだった。でも、登録したらもうここに来ることはほとんどないんだよな。税金払うときくらいか。空いている受付で、登録希望であることを伝え、手続きをすすめる。商業ギルドでのギルド証は第一種から第四種までランクがある。各地に支店を持つ規模の紹介は第一種、支店はないが店舗を持つ場合は第二種、店舗なしの露店の場合は第三種、卸売のみの場合は第四種。ちなみに第一種から第三種まででも卸売はできる。それぞれ登録料や税金が違うのだ。

自分は第四種でいいとは思うのだが、露店をやってみるのもおもしろいかもしれない。第三種のランクで申請することにした。

「では、こちらの用紙に販売する品目の記載をお願い致します。」

身分証目当てだったので考えてなかった。とりあえず適当に『パン』と書いておいた。暇な時に広場の露店でチョコクロワッサンとアンパンを売ろう。一回でも売れば、嘘の記載をしたことにはならないはずだ。

登録料の大銀貨1枚と年間税金の金貨1枚を支払って、ギルド証を発行してもらった。

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