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第67話 ダンジョン出張第二陣

さあ、ダンジョン出張だ。


「今回もソフィーちゃんは参加するのか。」

「おいしいお肉とお魚を楽しみにしてます!」

ソフィーちゃんが参加すると食費がかかるし、食事の準備するのも大変になるのだが。

「ルノさん。ソフィーが商会に残っても、食費がかかることには変わりありませんよ。」

シルビアさんに心を読まれてしまったようだ。どうやらソフィーちゃんはうちのシュバルツと同じ扱いらしい。

商会の従業員は飲食ブースで格安で昼食が食べれるそうだ。ソフィーちゃんは、それを利用していつも大量注文しているんだとか。


今回は移動にスピーダーは使用しない。ウルケルに乗って空路で向かう。ダンジョン一階層、二階層もウルケルの独壇場だ。チャールズさんにもウルケルの背に出てきてもらって、飛行タイプの魔物に遭遇すると雷魔法で撃ち落としてもらった。

「これは洞窟タイプの階層でも出てこない限り、あっさり攻略できそうですね。」

「階段探しが捗りそうですね。今回の出張は5階層到達を目標にしてみましょうか。」

あっという間に3階層への階段へ辿り着いた。2階層は魔物が溢れている様子はなかったので、3階層からの探索をすることになった。3階層は相変わらず魔物の気配が濃い。


「それでは皆さん。今回も前回同様に滞在期間は一週間となります。本日はこの階段周辺の間引きを行います。明日はウルケル氏に乗って4階層への階段探しの予定です。その後は間引きの進行具合で先へ進んで行きましょうか。夕方にはこの階段まで戻ってきてくださいね。では解散。」

いつものようにみんな違う方向に散っていった。


俺は前回同様に単体で行動しているミノタウロスを中心に狩りまくった。ただ、前回と違うのは戦い方だ。今までは俺が囮でシュバルツ・デュンケル組が攻撃役だった。今回からはウルケルが加わる。デュンケルはウルケルの影に入ってもらうことにした。これでデュンケルに機動力が備わった。シュバルツは俺の影に入ってもらって支援してもらう。うむ、やっぱり影の中にシュバルツがいると安心感があるな。


この日もドロップ品が大量だった。このダンジョンのいいところは肉をドロップする魔物が多いことだ。他のダンジョンでは虫とかアンデッド系の魔物ばかりのところもあるらしいからな。


探索二日目はウルケルに乗って次の階層への階段探しだ。まずは高度を上げてもらう。階段を降りてきたというのに天井がないんだよな。一体どうなっているのやら。ダンジョンは不思議空間だ。

流石にスタート地点から見える距離にはなさそうだ。昨日の探索でも見つからなかったしな。

少し進んだあたりから旋回して広範囲を探索する。チャールズさんとルーベンさんが目を凝らして遠くを見ている。多分、鷹の目スキルを使っているのだろう。しかし、思ったより見つからないものだな。徒歩で探索してたら一体いつ見つかるのやら。

「ありました!向こうに進んでください!」

ルーベンさんが発見したようだが、俺には何も見えないな。だが、示された方向に進むといつもの巨大な階段が見えてきた。

「結構離れていましたね。」

「地上からだと走っても3日はかかりそうな距離ですね。」

「三階層でこれだとこの先が思いやられますねえ。」

この日の残り時間は四階層への階段周りの間引きを行うことになった。

その夜、みんなで話し合った結果、今後は階段周りのみの間引きを行うことに決まった。階層が広すぎて探索しきれないからだ。


探索三日目は四階層へ降りてみることになった。

四階層は見晴らしの良い草原の階層だった。森→岩石地帯→草原と階層を降りるにつれて、どんどん遮蔽物がなくなっていく。奇襲が俺の戦闘スタイルなので非常に困る。

そして当然この階層も魔物の氾濫状態だ。見晴らしが良いので、気配察知なんて使わなくてもすごい数の魔物がひしめいているのが見える。階段のすぐ側にも魔物がいるので、俺達は階段の途中で様子を伺っている。


戦闘員の皆様方は、満場一致で階段周りの掃討を行うことを決めて、魔物の群れの中に飛び出していった。


チャールズさん、キアラさん、ルーベンさんが魔法と弓の遠距離攻撃で仕留めていく。近接戦闘はロドリゴさんとシルビアさんが担当し、撃ち漏らしを仕留めていく。俺とソフィーちゃんは待機だ。このハイレベルな戦闘に割って入ることはできない。というより俺が倒せそうな魔物があんまりいない気がする。乱戦は特に苦手だし。


だんだん襲撃の回数が減ってきたところで、引力スキルで邪魔にならないようにドロップ品を少しずつ回収する。

チャールズさんから一旦退却、集合の合図が出た。

「今日はドロップ品の回収を終えたら終了しましょう。」

二人一組で移動して大量のドロップ品を回収していった。回収中も襲撃されるので、とても面倒だった。


「階段周辺の魔物の数が減ってくると狩り効率が悪いですね。」

「かと言ってこの魔物の群れの中を進みながら狩るのは危険ですよ。」

「遮蔽物が一切ないのも困りものですねえ。」

「ウルケルちゃんの背中に乗って空から魔法をバンバン撃つのは~?」

「飛行タイプの魔物も結構いますから、ウルケル氏を守りきれない可能性がありますよ。」

「肉でも焼いて匂いで魔物を誘引できないでしょうか?階段の側で固定狩りがやはり安全だと思いますので。」

俺が進言してみた。

「なるほど。明日はそれを試してみましょうか。」


探索四日目。昨日と同じように戦闘員の方々は配置について戦闘し始めた。俺はバーベキューコンロを取り出して肉を焼いていく。焼いた肉はソフィーちゃんと霊獣たちが食べていく。

うむ、見事な連携ではないか。割と離れた場所にいる魔物も、こちらを気にして寄ってきているようだ。匂いで誘引作戦は成功だな。しかし、ソフィーちゃんはさっき朝飯を食べたばかりだというのによく食べれるな。

「これはギガントミノタウロスの肉ですか!ダンジョン出張は高級肉が食べれるから最高ですね!しかも食べ放題ですよ!んむ~!この弾力、この肉の旨味!溶け出した脂も甘くて最高ですね!」

食レポをするんじゃない!俺も食べたくなってくるだろう!

だんだん肉の焼き方が上手くなってきた気がする。この肉はこれくらいの焼き加減がいいとか何となく分かってきた。料理スキルのレベル上がったかな。どんどん焼いていくぞ。


こうして匂いで誘引作戦は大成功を収めた。階段付近からは魔物の姿は見えなくなった。


ちなみにソフィーちゃんは昼食も夕食もしっかり食べていた。

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