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第95話4-26北の大地

魔王が覚醒した幼馴染のミーニャを連れ戻す為にソウマたち姉弟は今日も何処かをさ迷っています。

お姉ちゃんに鍛えられながら果たしてソウマはミーニャを連れ戻せるのか!?

熱い姉弟(師弟)の物語です。


松ぼっくりは着火剤に最適ですわ!(エマージェリア談)


 エダー港町のから出て僕たちはまずはヘミュンの町を目指していた。



 「北の大地ってあまり草木が無いんですね?」


 「寒い地域だからなかなか森が大きく育たないのよ。でも樹木はこの寒さでもゆっくりと成長は出来るわ」



 シェルさんと一緒に馬車の馭者席に座って周りの様子を見ながら感想を言うとシェルさんは向こうに見える林を指さす。

 見てみると大きな木々が生えていた。


 「針葉樹って言ってね、針のような葉っぱが特徴なの。寒い地域でもしっかりと大きくなる木々よ。冬でも葉が落ちないのが特徴よ」


 「流石シェルさんは物知りですね。でも冬でも葉が落ちないだなんてちょっと面白いですね?」


 僕たちのジルの村には冬になると葉が全部落ちてしまう木しかない。

 だから冬でも葉が生えている木ってちょっと気になる。



 「あれは焚火の元なんかでも良いんだよね、すぐに火がつくしね」


 「松の実などは栄養価も高いですし、松ぼっくりも着火剤としては優秀ですわね」


 荷台で暇そうにしていたセキさんやエマ―ジェリアさんも話に混ざって来る。

 馬車の旅は順調だった。



 「そう言えばこの辺って昔からガレントとホリゾンの戦争が多くあった地域だったわね?」



 不意に姉さんはそう言う。


 僕はその言葉に周りをもう一度見てみると平原が広がっている。

 確かに合戦とかするには広々として良いのかもしれない。



 「フェンリル、よくそんなこと知ってるね?」

 

 「‥‥‥ティアナ姫の記憶に有ったから」


 セキさんに言われ姉さんはそれだけ言うと周りの様子を見る。

 まるでここで何かがあった事を思い出すように。



 * * * * *



 「ソウマちょっと良い?」


 「はい? なんですかシェルさん??」


 今日はこの辺で野宿をするので僕たちは野営の準備をしている。

 薪を集めてエマ―ジェリアさんに教わった松ぼっくりに点火の魔法で火を起こしたところだった。


 シェルさんは向こうでセキさんと鍛錬を積んでいる姉さんを見ながら僕に聞く。



 「フェンリルってあの夜ソウマとの初めてに失敗したけど、なんかその後様子がおかしいのよね? 何か知っている?」


 「初めてって‥‥‥ シェルさん、姉さんもよく言う『初めて』って何ですか? どうも良く分からない。それと姉さんの様子ですけど、ちょっと独り言が増えたかな?」


 言われてみれば最近の姉さんは独り言が多くなったような気がして来た。

 不意に何かをつぶやいて思い出すようなしぐさ。

 まあ姉さんって時たま何考えてるか分からない事が有るからあまり気にはしてなかったんだけどね。



 「‥‥‥そう、独り言がね」



 そう言ってシェルさんは何か考え込んでいた。

 僕は特に気にもしないで野営の準備を進めるのだった。



 * * *



 「はぁ~、フェンリルまた強くなった? アイミとの同調も、単体の同調も格段に精度が上がったし魔術の発動もぐっと良くなったわよね?」


 「そうですか? でもまだまだセキさんにはかないませんよ」


 セキさんと姉さんが鍛錬を終えて戻って来た。

 

 ぴこっ!


 鍛錬の時だけは出してもらえるアイミはセキさんに向かって頷きながら姉さんが強くなっている事を肯定している様だ。

 アイミは野営時の夜の見張りをお願いしているので明日の出発まではこうしてみんなと一緒にいられる。



 「はい、ご飯できてるよ。今日はお肉もたくさん入れたからね!」



 「ほんと!? やったぁーっ! ソウマ愛してるよ~!!」


 「セ、セキ!? まさか本当にソウマ君の事がですわっ!?」

 

 「ソウマぁ~、お姉ちゃんも愛してるよ~っ!!」



 シェルさんはそんな様子を見ながら笑っている。

 そしてシチューを渡すとその中の大きいお肉はセキさんのおわんに入れてやる。

 やっぱりあまりお肉とか得意じゃないみたい。



 「所でフェンリル、体調とかはどう?」


 「はい? すこぶる順調でけど?」   


 突然姉さんに質問するシェルさんに姉さんは少し驚いて答える。

 するとシェルさんは姉さんをじっと見てから話しを続ける。



 「じゃあ食事が終わったら私と少し手合わせしてもらえない? フェンリルがどのくらい強くなったか見てみたいの」



 「はいっ?」



 姉さんは間抜けな声を上げてシェルさんに聞き返す。


 「セキが言ってたじゃない、同調も格段と精度が上がっていたって。これから先魔王と対峙するのに戦力はちゃんと把握しておきたいのよ」


 シェルさんはそう言って黙々と残りのシチューを食べる。

 姉さんはちょっと考えたものの頷いて食事を再開する。


 シェルさんから姉さんに手合わせとか珍しいね?





 僕はそう思いながらも手合わせの様子を見に行こうと思うのだった。  





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― 新着の感想 ―
[一言]  松ぼっくりが出たなら、言わねば。  松ぼっくりはマッチ一本で火がつく自然の優秀な着火剤  \コンニチハ/(裏声)  「かさ」が開いている物は乾燥していて、よく燃えます  \アツイ/(裏声…
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