第76話4-7準備万端
魔王が覚醒した幼馴染のミーニャを連れ戻す為にソウマたち姉弟は今日も何処かをさ迷っています。
お姉ちゃんに鍛えられながら果たしてソウマはミーニャを連れ戻せるのか!?
熱い姉弟(師弟)の物語です。
うふふふふっ、これとこれももらってソウマと初めての時にっと!(フェンリル談)
エマ―ジェリアさんの補給も終わって僕たちはいよいよティナの国に向けて出発する事っとなった。
「それではエドガー大司祭様、行ってまいりますわ」
「エマ、あなたに女神様の加護を。気を付けて行って来るのですよ」
エドガーさんはまるで孫娘でも送り出すかのような表情で女神様に小さくお祈りを捧げる。
「それじゃあ行ってくるわね。彼女に連絡忘れずにお願い。でないとこんな状況下でもフェンリルに会いたいとか言ってこっちに来ちゃいそうだからね」
「シェルさん、女神様が私に会いに来るっていうんですか!?」
「ああ、あの人だいぶ溜まっているからね~。フェンリルの魂の色見ちゃったら止まらなくなるかも」
姉さんはセキさんに言われて自分の腕を抱いて「ひぇっぇええええぇぇぇぇっ!」とか震えている。
まあ女神様になんか会うとしたら緊張しちゃうもんね。
「シェル様、エマの事をよろしくお願いします。セキ様もどうかよろしくお願いします」
エドガーさんはそう言ってシェルさんとセキさんに頭を下げる。
「任せておきなさい、ちゃっちゃと終わりにして今度こそあの人の子供を産むのよ!」
「あー、これ終わったらまた当分神殿かぁ。まあ仕方ない。エドガー、エマは私が守るから大丈夫よ!」
二人のその言葉にエドガーさんはにこりと笑って先ほどと同じく「女神様のご加護を」とお祈りをした。
「さあ、ベイベイに戻ってティナの国よ!」
シェルさんはそう言ってゲートの起動を始めるのだった。
* * *
「シェル様、お戻りになられましたか!」
ゲートで移動が終わるとすぐにデルザさんがシェルさんに声を掛けて来た。
「どうしたのデルザ、何か有ったの?」
「はい、魔王軍がティナの国に侵攻をしてきました!」
えっ?
リリスさんに言伝お願いしたのにミーニャったら全然聞いてくれないの?
「まさかティナの国に攻め込んでくるとはね。むしろもう一度イージム大陸のイザンカ王国あたりに攻め込むと思っていたのに」
「ティナ支店からの情報ですとかなりの規模の侵攻だそうです。いかがいたしましょう?」
デルザさんは跪いてじっとシェルさんの答えを待っている。
シェルさんは顎に指を当てて少し考えてから確認をする。
「あそこの『鋼鉄の鎧騎士』団はどうなっているの?」
「はい、前線で食い止めていますが今回は数が多いようです」
それを聞いてシェルさんは姉さんを見る。
「フェンリル、早速だけど行ったらアイミでお願い。今の時代の『鋼鉄に鎧騎士』はオリジナルには程遠い物。あなたたちの村に有った機体以下の能力だからね」
「分かりました! 全くミーニャ、後でお仕置きね、折檻部屋確定ね!」
「うわっ、姉さん流石にそれは可愛そうだよ」
姉さんが憤慨する様子に僕は思わずミーニャが可哀そうになって来た。
うちの村の折檻部屋は村のみんなが恐れている場所。
「ここまでやったのよ、でなければ私たちも一緒になってしまう!」
「うっ!」
ま、まあ今回はミーニャが悪いんだから頑張ってもらおう。
僕だって折檻部屋嫌だもん!
「すぐに準備を。それと私たちのポーチに支援物資を集められるだけ入れるわよ! デルザ、ティナ支店に連絡して。すぐに私たちも向かうわ!」
「はっ!」
シェルさんのその指示にデルザさんはすぐに動き出す。
ミーニャ、いい加減にしないと本当に折檻部屋なのに。
僕はシェルさんたちの慌ただしい様子を見ながらそう思うのだった。
* * *
「これって本当に入るの?」
デルザさんたちが準備した支援物資は食料や衣料品、武具に着替え等々おおよそ馬車が何台も有っても足らない程のものだった。
「これとこれも入れてっと‥‥‥」
「いや、姉さんいくらシェルさんがくれるって言ってもなんで新調したベッドとかそんなスケスケの寝間着まで準備をするの?」
「だって、ソウマと初めての時に使うんだもん!」
何の初めてだか知らないけど姉さんはここぞとばかりに変な物とかも注文してウキウキとそれをしまい込んでいく。
全く姉さんたら。
僕があきれているとシェルさんは自分の魔法のポーチにあれだけあった支援物資をどんどんと入れていく。
毎回思うのだけど、ほんとこのポーチってどうなってるんだろうね?
姉さんのポーチにはアイミみたいな大きな機械人形が入ってるし、あの小さな出入り口で良く入れられると思う。
「さてと、これで良しっと! さあみんな行くわよティナの国へ!」
シェルさんは全ての物資をしまい込んで僕たちを呼び寄せる。
僕たちは言われた通り魔法陣に入る。
見送りのデルザさんたちはみんな跪いて「ご武運を!」とか言っている。
シェルさんがゲートを起動して僕たちはいよいよティナの国に出発をするのだった。
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