第74話4-5女神とフェンリル
魔王が覚醒した幼馴染のミーニャを連れ戻す為にソウマたち姉弟は今日も何処かをさ迷っています。
お姉ちゃんに鍛えられながら果たしてソウマはミーニャを連れ戻せるのか!?
熱い姉弟(師弟)の物語です。
まさか思い出した!?(シェル談)
姉さんが女神様の大切な人の生まれ変わりだって事は良く分かった。
そしてエマ―ジェリアさんが女神様たちの血を引いているとか、僕の前世もシェルさんの弟分だったとか聞けば聞くほどとんでもない話になって行く。
「これが女神様の肖像画です。そしてこちらが女神様の像です」
エドガー大司祭様から案内された礼拝堂には大きな油絵とご神体として祭ってある像が鎮座されていた。
「ほんとだ、エマ―ジェリアさんとよく似ている。でも、シェルさんたちくらいの大人の女性なんだね」
僕はその肖像画と像を見て思わずつぶやいてしまった。
本当にエマージェリアさんが大きくなったらこうなるんじゃないかな?
肖像画は背中に白い羽が生えていて空から舞い降りてくる場面のようだった。
ご神体として祭ってある像も背中の羽根を閉じて両手を軽く広げまるで今にも抱きしめてもらえるかのような雰囲気で優しそうに薄っすらと目を開いて僕たちを見下ろしている。
美人で背も高く、姉さんに負けないくらい胸も大きい。
エマ―ジェリアさんと違うのはこめかみの左右に三本ものトゲのような髪の毛が突き出ている事かな?
そう言えばセキさんにも同じような癖っ毛があったっけ。
セキさんの場合は左右二本づつだけど。
「これが女神様? なんだろう、なんか違うような気がするのは??」
「姉さんもしかして昔の事思い出したの?」
肖像画とご神体の像を見上げながら姉さんは首をかしげている。
そして何かを思い出すかのように言い始める。
「女神様ってこんなに大人の女性だったっけ? もっと可愛らしい、エマージェリアさんより少し年上くらいの感じだったような‥‥‥ ああ、胸は同世代の子よりは大きかったような‥‥‥」
姉さんがそうつぶやくとシェルさんが驚く。
「フェンリル、もしかして思い出したの!?」
「あ、いえ、そう言う訳では無いのですけど、なんかこの肖像画やご神体の像って違うような気がして。もっと年齢的に若いような気が、そう、成人したばかり位な感じがするんですよね‥‥‥」
それを聞いてシェルさんもセキさんも思わず顔を見合わせる。
「思い出してはいなくても分かるか‥‥‥」
「まあ、母さんは女神になったもう一人の母さんが大好きだったもんね」
シェルさんはため息を、セキさんは嬉しそうに言う。
そして姉さんは食い入るようにその肖像画と像を見ている。
「シェル様、エドガー大司祭様、私は『女神様の涙』にてお力を補給いたしますわ」
「おっと、エマあたしも付いて行くわね!」
みんなが女神様の肖像画と像を見ている中エマ―ジェリアさんは補給をすると言い始めた。
「エマ―ジェリアさんってどうやって女神様のお力を補給するんですか?」
セキさんが同行すると言い、僕は一体どんな事をするのか気になって聞いてしまった。
「ソ、ソウマ君! 駄目ですわっ! ソウマ君のえっちぃっ!!」
「はぃ?」
いきなりエマージェリアさんは真っ赤になって自分の胸を両手で隠し僕から数歩下がる。
そんな様子を見ながらセキさんはカラカラ笑う。
「確かに大きな声じゃ言えない事だわね。それに補給している姿は誰にも見せられないわね。何せ裸になってその力を補給するのだものね」
「セキっ! よ、余計な事をソウマ君に教えないでですわぁーっ!!」
「は、はぁ。なんかすみません」
エマージェリアさんのお力補給方法を知ってしまった僕は何故か謝ってしまった。
そんな僕の背中をセキさんは笑いながらポンポン叩いている。
と、姉さんはまだ女神様の肖像画と像を見ている。
「姉さん?」
「あっ、ごめんごめんソウマ。なんか女神様を見ていると胸の奥が熱くなってくるような、そしてとても懐かしいような気になっちゃってね。昔の私がどんな人だったかは分からないけど私の魂が女神様を忘れていないのね‥‥‥ 女の子同士何て考えられないのにこの顔を見ているとなんだかね‥‥‥」
僕は見慣れているはずの姉さんの顔を見て驚く。
何と言うか今の姉さんはまるで別人のようだ。
多分気付いていないだろうけど口元が笑っている。
うーん、もし昔を思い出したら姉さんって女神様のもとにお嫁さんに行っちゃうのかな?
ちょっと寂しいような、でもそれがあたりまえの様な気がする僕。
でも姉さんが他の人に取られちゃうのって何かやだな‥‥‥
これってやきもちなのかな?
僕はまだ女神様を見ている姉さんの横顔を見ながらそう思うのだった。
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