第69話3-28決別
魔王が覚醒した幼馴染のミーニャを連れ戻す為にソウマたち姉弟は今日も何処かをさ迷っています。
お姉ちゃんに鍛えられながら果たしてソウマはミーニャを連れ戻せるのか!?
熱い姉弟(師弟)の物語です。
うーん、ソウマ君食べたかったぁ~。
残念!(リリス談)
サスボの村まで戻ってきた僕たちはダグスさんたちが戻ってきている事を確認した。
「どうやらちゃんと戻っていたようね? 今後は心を入れ替えて真面目に働く事ね? ああ、ハーピーたちとは今後私たちのシーナ商会が取引するから変な噂があったらすぐここへ来るわよ? その時は分かっているわね? 逃げても地の果てまで追い詰めてあげるから覚悟しなさい」
シェルさんにそう言われハーピーの巣で見た男の人たちは涙目で脂汗をかきながら青ざめて無言で高速に首を縦にぶんぶん振っている。
「一体何が有ったのですか?」
「聞きたい?」
ハリボ村長は思わずそう聞いてしまったけどシェルさんがにたりと笑って聞き返すと青ざめて「いえいえ、余計な事を言いました!」と言ってかしこまる。
『さてと、目的の物も手に入れたしあたしは魔王城へ帰るわよ?』
リリスさんはシェルさんから受け取っていた小瓶を指でつまみあげて軽く振って僕たちに言う。
すると途端に姉さんやエマ―ジェリアさん、セキさんが緊張をする。
そんな中シェルさんはずいっと前に出てリリスさんに語り掛ける。
「リリス、あなたには今回の件で協力してもらって助かったわ。でも魔王城に戻るって事は‥‥‥」
『あたしは魔王様の僕、魔王様の命令は絶対よ? 今はこの【ハーピーの雫】を手に入れろと命令されているけどね。用が済めば帰るしかないでしょ?』
言いながら小瓶をしまい込む。
「ソウマに手出しはさせないわ!」
姉さんはリリスさんに向かってなぎなたソードを引き抜いた。
『ああ、なにもしないわよ。ソウマ君には個人的には興味あるけど魔王様からどうこうしろとは言われていないからね。それにあなたたちに勝てるとは思っていないわよ、ベッドの上以外ではね』
そう言ってリリスさんは僕に向かってウィンクをする。
エマ―ジェリアさんはまた「きゃーきゃー」騒いでいるけどリリスさんミーニャの所へ帰るんだ。
「リリスさん!」
『ん? 何ソウマ君? もしかしてあたしとやりたくなっちゃった?』
僕は姉さんを押しのけニヤリとするリリスさんにはっきりと言う。
「お願いがあります。ミーニャにこれ以上みんなに迷惑をかけるような事はしないで欲しいって伝えてもらいたいんです。僕はミーニャのところへ行きます! だからこれ以上皆さんにご迷惑かけないでくれって伝えてください」
「ソウマ‥‥‥」
姉さんは身構えたまま僕をちらっと見る。
僕たちの旅の目的はミーニャを村に連れ戻す事。
魔王になったってミーニャはミーニャ。
きっと村に戻れば昔の様に戻ってくれるはず。
『‥‥‥ソウマ君、魔王城に来るつもりね。いいわ、伝えてあげる。でもその時魔王様の命令が有ればたとえソウマ君が相手でも私は敵になるかもしれないわよ?』
「それでも僕はミーニャに会いに行きます!」
リリスさんはじっと僕を見てから目を閉じ頷く。
『ソウマ君には魅了の瞳も通じないか。あ~、あたしってほんとベッドの上以外では勝てそうにないなぁ~』
そう言って手を振りながらふらりと扉に向かう。
「リリス!」
シェルさんの声にリリスさんは半身で振り向く。
「魔王に伝えなさい。私たちは魔王城へ行くわ。その時は容赦しないわよ?」
『こちらもそれ相応に準備してお待ちするわ。それじゃね』
そう言って扉を開けて飛び発って行ってしまった。
「シェル、良いの返して?」
「リリスさん、ソウマ君の事本気で狙っているのですの?」
みんなリリスさんが出て行った扉を見たまま。
でも決めたんだ。
ミーニャを連れ戻す為に魔王城へ行く事を。
心配そうに僕を見る姉さんはなぎなたソードをしまう。
そして僕と同じくリリスさんの出て行った扉を見るのだった。
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