第67話3-26子供は見ちゃだめよぉ~?
魔王が覚醒した幼馴染のミーニャを連れ戻す為にソウマたち姉弟は今日も何処かをさ迷っています。
お姉ちゃんに鍛えられながら果たしてソウマはミーニャを連れ戻せるのか!?
熱い姉弟(師弟)の物語です。
あ、あんなところ絶対にソウマ君には見せられませんわっ!!
ああ、あんな事まで!?
す、すごいですわっ!!(エマージェリア談)
『あたしは男も女もいける口よ!』
リリスさんはそう言ってシェルさんの横に行く。
「期待しているわよ? ちゃんと私たちにも融通してよね?」
『良いわよ、サキュバスの本領を見せてあげるわ!』
オサさんはシェルさんの出した果物や木の実なんかを見て大喜び。
リリスさんもなんか鼻息荒くハーピーの女の子たちを見ている。
「ちょっとソウマ君、こっちに来なさいですわ!」
「はい?」
エマ―ジェリアさんは少し赤い顔をしながら僕を呼ぶ。
そして、びっと指を立てて言い放つ。
「こ、子供は見ちゃだめですの! だからソウマ君は私と一緒にあっちに行きますわよ、良いですわね!?」
「は、はぁ。僕は別にいいですけど‥‥‥」
「ソウマ、お姉ちゃんも一緒に行く! 女の子同士で何て恐ろしい!!」
そう言って僕とエマ―ジェリアさん、姉さんとアイミは洞窟の入り口まで出て行く。
そう言えば姉さんたちどうやってここまで来たのだろう?
洞窟の外に出るとほんのちょと足場が有ってその下は断崖絶壁になっていた。
「姉さんたちよくこんな所登って来たね?」
「それは愛の力よ!」
「実際には緊急事態だったのでセキが竜の姿になってその背中に乗って来たのですわ」
あ~、そう言う事か。
でもセキさんが赤竜になる姿ちょっと見て見たかったな。
地竜とは違って大空を飛べるんだもんね。
それに太古の竜族は特に強靭で見た目もすごく強そうでかっこいいらしいからね。
そんな事を思っているとエマ―ジェリアさんがいきなり僕の目に布で目隠しを始めた。
「うわっ、何なんですかエマージェリアさん!?」
「ソウマ君が万が一にも見えてしまうかもしれない為に予防ですわ。って、始まってしまいましたわ!! ソウマ君は聞いてはだめですわぁっ!!」
そう言ってエマ―ジェリアさんは僕の耳を塞ぎながら引き寄せる。
「駄目ですのぉっ! 子供は見ても聞いても駄目ですのぉっ!! あ、あんな凄いの駄目ですのぉおおぉぉぉぅっッ!!!!」
何故かはわからないけどぎゅうぎゅうと耳を押さえつけられ必死なエマ―ジェリアさんに引きよせられる。
むにゅ
姉さんと違って大きく無いから窒息することは無いけどエマ―ジェリアさんの小さな胸に顔を押して付けられて「駄目ですのぉーっ!!」とか言ってエマ―ジェリアさんは騒いでいる。
「エマ―ジェリアさん! ソウマに何してくれるんですか!! ダメぇーっ! ソウマはお姉ちゃんの胸に顔うずめなきゃだめなのーっ!!!!」
そう言て今度は姉さんが僕を引っ張って思い切り胸に顔を押し付ける。
「ぴぃいぃ~んっ♡」
なんかハーピーの女の子の声が聞こえた。
『ほらほらほらぁ~、ここが良いでしょうぉ~? もっと良くなっちゃって良いのよぉ~』
リリスさんの声も聞こえた瞬間また耳をエマージェリアさんに塞がれ後ろから更に姉さんの胸に顔を押し付けられる。
ちょっ!
これ以上押し付けられたら息が!
「駄目ですのぉっ! ソウマ君は聞いちゃだめですのぉっ!!」
「むぐぐぐぅっ」
姉さんが抱き着いて胸を押し付けるだけじゃなく後ろからエマ―ジェリアさんが僕の耳を塞ぎながら更に押し付けられるから完全に息が出来なくなる。
「むぐぅっ!」
姉さんの腕をぱんぱん叩くけど姉さんは僕に頬ずりしている。
「ああ、お姉ちゃんも早くソウマとああいう事したいぃ~っ! ソウマぁ~!!」
「むぐぅうううぅっ!!」
「駄目ですわ! 姉弟でなんてですわ! 不潔ですわ! ソウマ君お姉さんキラーですわ!! とにかくダメですわぁっ! ソウマ君がそう言う事するのは私が許しませんわぁっ!!」
ぴこぴこぉ~
少し汗ばんできている姉さんは更に僕を強く抱きしめる。
エマ―ジェリアさんは僕の耳を押さえたままだけどなんかものすごく怒っている。
そしてアイミは耳をピコピコさせている様だけど諦めてため息をついたような雰囲気が漂ってきている。
そう僕が思った頃には意識が遠のいていくのだった‥‥‥
* * * * *
「はっ!?」
「ああ、気付きましたわね?」
「ソウマぁ~」
見上げるとまたまたエマージェリアさんの顔が有ってその横から姉さんが覗き込んでいる。
頭の後ろの温かくやわらかい感覚はエマ―ジェリアさんの太もも?
「あっ、ごめんなさい!」
慌てて起き上がる僕だけどエマ―ジェリアさんはもじもじと赤い顔のまま何も言わない。
これって相当怒っているって事かな?
毎回毎回、姉さんの胸で窒息してその都度エマ―ジェリアさんに回復の魔法をかけてもらって気が付くまで膝枕してもらっているもんなぁ。
いい加減あきれ果てて怒り心頭で何も言わないのかな?
「と、とにかくこれでソウマ君はもう大丈夫ですわね? ‥‥‥ソウマ君、ハーピーたちの聞こえましたの?」
「はい? 何がですか? 僕はエマ―ジェリアさんと姉さんの叫び声しか聞こえませんでしたけど?」
そう言うとじっと僕を睨むエマ―ジェリアさん。
「ソウマ、その時はお姉ちゃんも頑張るからね!」
ガシッと僕の手を握る姉さん。
一体何が?
「と、とにかくあちらも終わりましたわ」
そう言ってエマ―ジェリアさんは洞窟の奥を見る。
すると顔の色つやがとても良くなっている、てかてかのリリスさんに何故かハーピーの女の子たちがすりすりとしている。
なんで?
「あら、エマたちこんな所にいたの? 見て見なさい、これが『ハーピーの雫』よ!」
こちらにシェルさんは歩いてきながら小瓶をいくつか抱きかかえていた。
小さな香水入れのようなそれは手のひらに入るくらい小さい。
「シェルさん、そんなに少しなんですか?」
「大丈夫よ、エリリアの話では一滴で十分効果があるらしいわ。鎮痛作用、感覚向上、更には神経に作用して幸福感まで味わえると言う優れ物らしいわ!! あのハーピーのオサってのとも話はついて代償の食物提供で定期的にシーナ商会にも入手できることになったわ!」
シェルさんはそう言ってニコニコしている。
そして小瓶を一つ姉さんに渡す。
「はい、フェンリルの分よ」
「こ、これが『ハーピーの雫』! ソウマ、早速お姉ちゃんと使おう!!」
頬を赤らませて姉さんは小瓶を掴んだまま僕に寄って来る。
「なんだかわからないけど嫌だよ! ものすごく嫌な予感するし、姉さんがそういう時は何時もろくでも無い事が起こるんだから!!」
「もう、ソウマのいけずぅっ!」
膨れる姉さんを放っておいてこれでやっと各国に現れる魔王軍が落ち着くことを僕は切に願うのだった。
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