第63話3-22朝日はやって来た
魔王が覚醒した幼馴染のミーニャを連れ戻す為にソウマたち姉弟は今日も何処かをさ迷っています。
お姉ちゃんに鍛えられながら果たしてソウマはミーニャを連れ戻せるのか!?
熱い姉弟(師弟)の物語です。
ハーピーって相当強いのかな?
姉さんたち大丈夫かな??(ソウマ談)
「う、うぅぅん~」
「あ、姉さん、目が覚めた?」
毛布を掛けてしばらくして朝日が昇って来たのを眺めながら僕はお湯を沸かしていた。
ライカさんたちには悪いけど壊れた家の一部を使わせてもらってお湯を沸かしている。
だってなんだかんだ言ってもここって高い場所にあるから朝方は冷え込む。
屋根も壁もほとんどなくなっちゃったライカさんの家は冷えるもんね。
寝起きにお茶で体を温めてもらいたくて僕はみんなの分もお湯を沸かしていた。
「ソウマごめん、あたし眠っちゃったみたいね?」
「ハーピーの襲撃が凄かったみたいだね? 姉さんがあそこまで疲弊しているのは初めて見たよ」
すると姉さんは変な顔をして僕を見る。
「ハーピーね‥‥‥ まだハーピーの方が可愛いかもしれないわ‥‥‥」
「はい?」
「ふぅわぁぁあああぁぁぁですわぁ~」
「んんぅ~ん」
「ふわっぁ~‥‥‥ ん、寝ちゃったみたいね‥‥‥」
姉さんのつぶやきに首をかしげているとエマ―ジェリアさんやセキさん、そしてシェルさんも目を覚ます。
「うぅぅ‥‥‥ はっ!?」
「ううぅ~ん‥‥‥」
ライカさんもラザさんも気付いたようだ。
「おはようございます。ライカさん、ラザさん。昨晩は凄い襲撃だったみたいですね? あ、もうすぐお茶入りますよ」
完全に日が登り徐々に陽の光で温まり始める。
それでも冷えた体に温かいお茶は助かるので僕はみんなにお茶を入れる。
「あれ? そう言えばリリスさんは??」
『あぁ~、食べた食べた! おっ? ソウマ君無事だったみたいね~? よかったよかった』
リリスさんはにこにこしながらお肌てかてかで満足そうにお腹を撫でてこちらにやって来ていた。
「リリス‥‥‥ あの子らは?」
『ああ、しっかりと抜いてやって落ち着いたみたいよ~。あたしに美味しくいただかれ今頃は布団の上で良い夢見ているはずよ?』
シェルさんは頭を振りながらリリスさんと話しているけど、どう言う事?
あの子らはって??
「と、とにかくソウマ君の貞操は守れましたわ‥‥‥」
「まさか赤竜のあたしがあそこまで苦労するとはね‥‥‥」
「そ、それでもソウマの初めては渡さないわよ!!」
僕の入れたお茶を受け取りながら他の人も訳の分からない事を言っている。
「‥‥‥何ともお恥ずかしい。ご迷惑をおかけしました」
「もうちょっとでソウマ君を‥‥‥ あっ、いやいや、なんでもないです!!」
ライカさんやラザさんにもお茶を配っているとこの二人も様子がおかしい。
そんなにハーピーって凄いのかな??
僕は首をかしげる。
「どちらにせよ、ここに留まるのはハーピー以上に危険だわ。シェルさん、早い所出発しましょう!!」
「その方が良いみたいね。すぐに準備して出発よ」
未だに状況が良く分からない僕だけど対面の岩山にいるハーピーたちを退治しなきゃいけない。
僕はお茶を飲みながらその岩山を眺めるのだった。
* * * * *
「のっひょぉおぉぉぉぉっですわぁっ――!」
アイミにしがみついて空を飛んでいる。
姉さんや僕、そしてアイミに抱きかかえられているエマ―ジェリアさんの三人だったら向こうの山まで運べそうという事で現在、空を飛んで移動中。
三人乗ってもアイミは結構なスピードで空を飛んでいる。
シェルさんは精霊魔法で、セキさんは背中に竜の羽根を生やして、そしてリリスさんも実は蝙蝠のような羽が有ってみんな程早くはないけど空が飛べるらしい。
「んんぅ~ん、最初からこうすればよかったのかも! ソウマ落ちない様にちゃんとお姉ちゃんにしがみついてね、もっと密着して良いんだからね!!」
「これ以上何処にしがみつけばいいってんだよ? むしろ姉さんが抱きしめる力を緩めてくれないと胸が押し付けられて息苦しいよ!!」
「もう、ソウマのいけずぅっ!!」
僕たちはエマ―ジェリアさんの悲鳴を聞いながら岩山に飛んで行くのだった。
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