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第61話3-20ハーピーとは


魔王が覚醒した幼馴染のミーニャを連れ戻す為にソウマたち姉弟は今日も何処かをさ迷っています。

お姉ちゃんに鍛えられながら果たしてソウマはミーニャを連れ戻せるのか!?

熱い姉弟(師弟)の物語です。


ソウマ君、いいわね!!(ラザ談)


 僕たちはエデルの村で今の状況を聞く事となった。



 「大丈夫ですのソウマ君?」


 「はい、おかげさまで何とか」


 気を失いそうになった所を何とか助け出してもらって今は村長さんだと言う人の家でいろいろと話を聞かせてもらっている。



 「そうですか、サスボの村でそんな目に合われましたか。確かにこのエデルはハーピーに対する生贄の村でした。もっとも、当時はそれを望んだ若者が多かったもんですが流石にハーピーと子作りしすぎて今のざまです」


 そう言って村長さんであるライカさんは大きくため息をつく。


 ライカさんの話ではその昔サスボの村に影響が出ない為にこの村が出来たけど、恋人や旦那さんを追って女性陣もここへ移り住む人が出てきてちゃんとした村になったそうだ。


 そして役目としてハーピーの生贄になり戻って来るうちは良かったものの、そのうち戻ってこない男性が続出。

 結果この村には若い男の人がほとんどいなくなってしまった。



 ライカさんの旦那さんも帰ってこなくなりもうあきらめているそうだけど、まさか食べられちゃったわけじゃないだろうね?



 「なんでそんなにハーピーが多くなっちゃったの?」


 「はい、多分一時期大量にさらわれた男たちが原因だと思います。最近は四十を超える男まで狙われるようになりましてほとほと困っていたのです」


 シェルさんのその言葉にライカさんはまたまたため息を吐きながら答える。



 「ところで、そちらのソウマ君はこの村に長居してもらえるのかなぁ?」


 ライカさんの娘と言うラザさんは先ほどからしきりに僕を睨みつけている。

 まるで獲物を襲う時の猛禽類のような眼差しだ。


 

 僕なんか気に障るような事しちゃったのかな?



 「これラザ、いくら男日照りとは言え客人に何を言うんだい?」


 「いや、ほら、ソウマ君て可愛いし、元気そうだし‥‥‥」


 ラザさんがそう答えるとライカさんはまたまた大きくため息をつく。

 そして窓の外を見ると先ほど僕を取り囲んだお姉さんたちも僕を睨みつけている。



 うん、やっぱり嫌われているんだよね?

 一体全体僕って何しちゃったんだろうね?



 『それよりそのハーピーたちってどこにいるのよ? なんならあたしたちがそいつら退治しようか?』


 リリスさんはそう言ってぐっと親指を立てて歯を光らせる。

 するとライカさんは、ぱぁっと明るい表情になり拝み倒すかのようにリリスさんに話しかける。



 「それは本当ですか!? 全て退治とはいかなくても数を減らしていただければ大助かりです。そうすればサスボの村からまた婿を引き入れ、村の復興も出来ます」


 ラザさんはそれを聞くとなんか嫌そうな顔をする。



 「私はそこのソウマ君が良いんだけどなぁ」


 「ラ、ラザさん! ソウマは私のです!! 誰にも渡しません!!」



 ラザさんのつぶやきに姉さんが反応する。

 そしてまたまた僕に抱き着く。



 うん、今度は抱き着かれても顔を胸に押し当てられない様に逃げたから大丈夫。



 そんな様子をラザさんは指をくわえてうらやましそうに見ている。



 「で、ハーピーたちは何処にいるのよ?」

 

 シェルさんに言われライカさんは遠くを見るような目で語りだした。


 

 ハーピーたちはこの山とちょうど対峙するやはり険しい岩山を住みかとしているらしく、過去に戻ってきた男たちの話だと繁殖期が終わると男たちは解放されその山から遠路はるばる帰って来ていたそうだ。


 その昔男と間違えられて連れ去られた事のある女性の話だと岩山の風穴に巣を作っているらしい。


 ハーピーは人間より短命らしく大体二十年から二十五年で死滅する個体が多いらしい。

 本来は繁殖期だけ逃げ回っていれば何とかなっていたのだけど最近は繁殖期以外でも若い男が連れ去られると言う事が有り気が気でないそうだ。



 今村に残っている男はたったの五人。

 その中で若い人と言っても三十歳を過ぎる人が一人だけだそうだ。



 「うーん、じゃあハーピー自体は完全に別の岩山にいるって訳ね?」


 「はい、そうなります」


 シェルさんのその質問にライカさんは頷く。

 そして窓の外に見える遠くの山を指さす。


 「あの山にハーピーたちの巣があります」


 

 なんかわざわざエデルの村に来たのにまたまた下山して反対側の山まで行かなきゃならないなんて面倒だな。


 僕がそう思っていると姉さんたちも同じな様で遠くに見える山を見てため息をつく。

 

 「考えていても仕方ないわね。今日はもう無理だから明日あの山を目指しましょう。悪いけど今晩は泊めてもらえる?」


 「ええ、それは勿論です。たいしたもてなしは出来ませんがどうぞゆっくり休んで行ってください」


 ライカさんがそう言うとラザさんや家の外にいる女の人たちが何故か大喜びする。



 「ソウマ、お姉ちゃんから片時も離れちゃだめよ!」


 「へっ? なんで??」



 首をかしげる僕に姉さんは周りを注意深く見ている。

 目の前のラザさんにも警戒している様だった。



 なんでだろ?



 思わずみんなを見るとエマ―ジェリアさんは顔を赤くしながら言う。



 「ソ、ソウマ君が大人の階段上っちゃうかもしれないからですわっ!!」


 『あー、それは困るわね。魔王様に知られたらあたしがやばいわ』



 リリスさんも腕組みしながらうんうんと頷く。



 僕が階段上る?

 



 どうも意味が分からず首をかしげる僕だった。 

 

 


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