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第5話1-5風の噂

魔王が覚醒した幼馴染のミーニャを連れ戻す為にソウマたち姉弟は今日も何処かをさ迷っています。

お姉ちゃんに鍛えられながら果たしてソウマはミーニャを連れ戻せるのか!?

熱い姉弟(師弟)の物語です。


フェンリルさん‥‥‥ぽっ!(ネミア談)


 「ソウマ、そっちに行った! お願い!!」


 「はいはい、よっと」



 さくっ!



 姉さんに追われて逃げ出したジャイアントグリズリーだけど村の近くにいたやつよりずっと小さい。

 このくらいなら僕でも倒せる。


 僕はショートソードでジャイアントグリズリーの首を切ってこいつを倒す。



 「よし、お仕事終わり! お疲れ様ソウマ!」

 

 姉さんは倒したジャイアントグリズリーをポーチにしまいながらニコニコ顔になっている。


 最近は姉さんへの名指しの仕事の依頼も多い。

 今日もノルウェンの近くにある村でジャイアントグリズリーが出たからってすぐに討伐をして欲しいという依頼が舞い込んできた。


 ジャイアントグリズリーなんて簡単に倒せるのに、どうもこの辺の街の人は面倒がる傾向があるみたい。

 でもお陰で最近は仕事も増えお金もたまって来たので姉さんもホクホク顔になっている。



 「やったぁ、これで晩御飯のお肉追加できるね。それにもしいらないって話ならこの熊のお肉も手に入るし、ねぇねえぇソウマはもしそうなったらどんな料理が好い?」



 晩御飯のお肉追加以外に既に依頼の討伐した熊肉が手に入る前提になってるね、姉さん?



 でもなぜか街の人たちはあまり熊肉とか好まないからよくよくこういった害獣討伐はこちらで処分して良い言って言われるんだよなぁ。


 お肉食べれるのはうれしいけど。



 僕たちは意気揚々と街へ戻る。


 

 * * *



 「流石フェンリルさん! もう討伐完了ですか!」


 「あ、は、はぃ‥‥‥ あ、あのネミアさん、手を放してもらえないかなぁ~っと‥‥‥」



 冒険者ギルドに討伐の報告に戻って姉さん担当のネミアさんにクマの頭を取り出し話をしていると手を握られ喜ばれている。

 何とかその手を振りきって引きついた笑いをしながら成功報酬のお金を受け取る。



 「フェンリルさん、凄いですよ! 一日に複数のクエストこなすなんて!!」


 「い、いやぁ、ほら、ソウマも手伝ってくれるし、熊なんて田舎ではしょっちゅう退治していたから‥‥‥」


 「それでもすごい!」



 ネミアさんは目を輝かせ姉さんを見ている。


 「も、もう良いですよね? そろそろお腹すいて来たので行きたいんですが‥‥‥」


 「ああ、すみません。そうだ、フェンリルさんこの後食事ですよね? 私ももう少しで終わりますから一緒に食事しませんか!?」


 ずいっと出て来るネミアさん。

 そう言えばギルドの職員の人と食事何てした事無いなぁ。



 「え、ええぇとぉ~」


 「あ、そうだネミアさん、熊の体のお方はどうすればいいんですか? まだポーチの中に入ってるんですけど?」


 僕がネミアさんにそう聞くとネミアさんはクマの頭を見る。

 そして眉間にしわを寄せてから言う。


 「そうですね、害獣ですし討伐も終わっているのでフェンリルさんたちで処分してもらえますか? 毛皮とかはそこそこの値で売れるでしょうしね」



 「やった! 熊肉ゲットぉっ! ソウマ、今晩は熊肉パーティーしよう!!」


 「姉さん熊肉も好きだもんなぁ~」



 「え”? た、食べるんですか、これっ!?」



 喜んでいる姉さんと僕に有り得ないものを見るような目で見てくるネミアさん。

 やっぱりノルウェンの人って熊食べないんだろうか?

 ちょっと臭みは有るけど香草でうまく焼けば美味しいのに。 


 ネミアさんは僕たちを見ながら少しひきつる。



 「あ、あの、この熊って確か旅人とか襲って‥‥‥ そ、その、食べちゃったりとかしてるんですけど‥‥‥」


 「ああ、食物連鎖でしょ? 先生も言っていたけど狩るからには命のやり取りだもの、最後まで美味しく感謝していただけって教わったわ!」


 「い、いえ、そう言うのではなく~」


 「ネミアさんは熊肉食べた事無いの?」


 

 僕の質問にネミアさんは脂汗を垂らしながら愛想笑いをしている。



 「熊はちょっとぉ~、あ、そうだ、私用事を思い出しました! フェンリルさん、また今度私がおごりますからちゃんとレストランで食事しましょう!!」



 そう言って書類を持って奥へと行ってしまった。

 忙しいんだろうなぁ~。


 僕と姉さんは顔を見合わせて宿へと戻っていった。



 * * *



 「おい、聞いたか? 北のサボの港町までもう魔王軍に占領されたって!」


 「マジかよ!? ここもやばいんじゃないだろうな!?」


 「いやいや、こっちにはティナの国が有るんだぜ? いくら魔王軍でもあそこは抜けないだろう?」


 「全くだ、戦力だけでいったらあの国はガレントにさえ匹敵するもんなぁ、あんな小国なのに」





 「「ぶっ!!」」





 僕と姉さんは思わず吹いてしまった。


 

 「しまった‥‥‥」


 「どうしよう、姉さん。被害が拡大している‥‥‥」



 冒険者登録して情報収集のはずが簡単なクエストばかりこなして、そしてネミアさんからどんどん仕事を斡旋されてすっかりそっちを忘れてた!!

 

 いや、前も忘れてたけど、今回はもっと忘れてた!!



 ミーニャがどんどんと世界を征服していく‥‥‥



 「ど、どうしよう! 依頼受けるのが面白くて、お金もらえるからついつい明日やればいいやで忘れてた!!」


 「害獣駆除とかするとお肉手に入るし、そっちに夢中になってしまったわ!!」



 僕と姉さんはもう一度頭を抱える。



 「こ、これって早く何とかしないと長老に大目玉喰らうわよね?」


 「う、うん、もしかすると折檻部屋かも‥‥‥」



 姉さんも僕も身震いする。



 「あの折檻は勘弁してっ!!」



 思わず二人で思い出すのも恐ろしい折檻の事を考える。

 と、僕たちのテーブルに一人の女性がやって来た。



 「とうとう見つけたわ!」




 彼女はそう言ってフェンリル姉さんの前に立ったのだった。



面白かったらブックマークや評価、ご意見ご感想をよろしくお願い致します。

誤字脱字等ございましたらご指摘いただけますようお願い致します。


蚤の心臓の私たちですのであまりいじめないでください。

どうぞ、日本海のような広いお心と生暖かい目で見ていただけますと助かります。


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