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第214話9-7裁きの剣である女神

ついに女神エルハイミに会い、姉のフェンリルを返してもらおうとするソウマ。

そんなに簡単に返してもらえる?

ドタバタに拍車がかかりソウマの前途は多難です。

そんな熱い姉弟(師弟)の物語です。


僕、再登場だっ!(アガシタ談)


 大結界を破ってエルハイミねーちゃんが出てくる。

 真赤な目はぎょろりと僕とフェンリル姉さんを見つめている。



 がぱっと口を開き地獄から聞こえてくるような声で言う。




 「てぃあああぁぁなぁぁあああああぁぁぁぁ。 よこせぇ、ティアナぁをぉぉぉぉ」



 

 しかしその前にシェルさんやコクさん、そしてセキさんが立ち塞がる。



 「駄目よエルハイミ! 精霊王よ!!」


 「お母様、いけません!」


 「エルハイミ母さん、目を覚ましてよ!!」



 三人はそう言いながらそれぞれがエルハイミねーちゃんを足止めする為に攻撃をかける。

 しかしそれらは一向に効いていない。



 

 「エルハイミぃっ!!」




 フェンリル姉さんがそうに叫んだ時だった。



 びかっ!!



 「呼ばれて飛び出てばばばばぁ~ん!!」


 

 エスハイミねーちゃんとエムハイミねーちゃんの作り上げた手で囲う輪が光ってそこから小柄な女の子が飛び出す!


 銀色の短髪に見とれるような美しい顔、年の割にやたらと大きな胸なのに着ている服が皮のジャケットに半ズボンと言う男の子っぽい服装。


 何故か片手にどんぶりを持って麺類の様なものをすすっていたらしく、口元にある麺をちゅるんと吸い込む。



 「もごもご、ごっくん! と、何なんだいこの状況は!? うひぃ、あれってエルハイミかい? 暗黒面に落ち始めているじゃないか!? 何が有ったんだよ!?」



 残りの麺をかき込んでからどんぶりと箸を投げ捨ててその人物、天秤の女神アガシタ様は両の手をエルハイミねーちゃんに向けて見えない壁を作ってこちらに来るのを防ぐ。



 「よく来てくれましたわ、アガシタ様!」


 「もう時間がありませんわ、アガシタ様神殺しの剣、いえ、『裁きの剣』をすぐに出してくださいですわ!!」



 「って、お前たちはエスハイミにエムハイミ? どう言う事なんだよ?」




 「「かくかくしかじかですわ!」」



 

 「思い切りはしょったな。まあいい状況は分かった! しかし僕はまだ回復しきっていない。お供え物の代償も無い。無理だ!」



 いきなり拒否られた!?


 

 しかしそこへシェルさんとコクさんが噛みつく。



 「何とかしないさよ、アガシタ! このままじゃ私のエムハイミも本体に取り込まれちゃうし、エルハイミ本体が完全に暗黒面に落ちたら破壊神になっちゃってこの世界自体がなくなっちゃうわよ!?」


 「そうです、アガシタ様。どうにかしてください。このままでは魂の隷属をしている私たちもいずれ暗黒面に取り込まれてしまいます」



 しかしアガシタ様は腕組みしたまま唸っている。



 「うーん、とは言え相手はエルハイミだよ? 『あのお方』のお力を受けた末端なんだから僕ら女神クラスでどうにかなんて……」



 「ですから弱点であるこめかみの上の角だけでも折ってくださいですわ!」

 

 「そうですわ、そこから暗黒電波を吸収しているのですわ、くっ、まずいですわ私たちも魂汚染が進んでいますわ!」



 そう言ったエムハイミねーちゃんとエスハイミねーちゃんの姿が揺らぐ。



 「うわっ、エ、エムハイミぃっ!」


 「エスハイミお母様っ!!」



 シェルさんとコクさんが慌ててエムハイミねーちゃんとエスハイミねーちゃんに駆け寄る。



 「参ったな、エルハイミのあのこめかみの上の角を合計六本か…… 贄は何度も転生してその魂の器を大きくした君たちの魔素を使う。それでいいか?」



 アガシタ様はそう言って僕たちを見る。



 「えーと、ソウマ、ミーニャ、ショーゴ、それとフェンリル。君たちの転生して熟成した魂の一部をもらう。あとは……」



 アガシタ様はそう言いながらエマ―ジェリアさんとタルメシアナちゃんを見る。



 「エマ―ジェリアだっけ、それとタルメシアナ。君たちの魂も貰いたい。君たちは他の連中より魔素が高い。魂の一部をもらっても消滅はしないだろう」



 「わ、私のですの?」


 「ほえ? 私もですか?」




 「アガシタ様、それでエルハイミは助かんるんですか!?」



 姉さんはそう言ってアガシタ様の前に出る。

 するとアガシタ様は大きくため息をつきこう言う。



 「贄は君たちがするとして僕もこの体を六つに分ける。そして神殺しの剣である『裁きの剣』にするからそこへ代償である君たちの魂を送り込んでくれ。最悪僕も消滅するが、この力であればエルハイミの角を折る事くらいできそうだからな。この世界が無くなってしまうのは前神としても何とか阻止しなければだからね」



 やれやれだぜ、と言う感じでアガシタ様は肩をすくめる。

 しかし今はこれしか方法がない。



 「分かりました、やります!」



 僕がそう言うとミーニャもエマ―ジェリアさんも姉さんも頷く。


 「ううぅ、お母さん後で覚えておいてくださいです!」


 タルメシアナちゃんもそう言って前に出てくる。


 「主の為であるからな。この命使わせてもらおう」


 鬼神もそう言って前に歩み出てくる。


 

 「良しっ、それじゃあ始めるぞ! 全員手を出せ。僕はこれより『裁きの剣』へとなる。各員僕を装着の後、魂をぶち込め。そして一人一本あの角を切り落とせ。六段構えだ。すまん、みんなの命をもらう」



 そう言うと体を輝かせ僕たちの手の上にナイフくらいの大きさで六つに分かれてしまう。




 『チャンスは一度きり。みんな一斉攻撃だ!』


 

 「「「「「「はいっ(おうっ)!!」」」」」」




 「頼んだわよ!」


 「お母様を!」


 「みんなっ!」


 「畜生、頼んだぞ!」


 「はぁはぁ、後はお任せしましたぞ」


 『ひわわわわぁ』


 『ミーニャ様、ご武運を』


 ぴこっ!




 僕たちはシェルさんやコクさん、セキさんにリュードさん、フォトマス大司祭様にリリスさんやソーシャさん、アイミの期待を背負って走り出す。


 

 「「みんな、お願いですわっ!!」」


 

 エスハイミねーちゃんとエムハイミねーちゃんの叫び声がこだまする中、いよいよアガシタ様の見えない壁もぶち破るエルハイミねーちゃんへと飛び込むのだった。     


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― 新着の感想 ―
[一言] >弱点であるこめかみの上の角だけでも折ってくださいですわ!  ただの癖っ毛が、いつの間にか角だもんなぁ。  出世したなぁ(しみじみ)
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