表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
21/220

第20話1-20ボヘーミャへ

魔王が覚醒した幼馴染のミーニャを連れ戻す為にソウマたち姉弟は今日も何処かをさ迷っています。

お姉ちゃんに鍛えられながら果たしてソウマはミーニャを連れ戻せるのか!?

熱い姉弟(師弟)の物語です。


強く成れる理由を知ったぁ~♪(フェンリル談)


 ボヘーミャに行くために僕たちはもう一度ブルーゲイルにあるシーナ商会に戻っていた。



 「おっとぉ」


 「大丈夫ソウマ? お姉ちゃんに抱き着いてていいんだよ?」


 まだ魔力がほとんど回復していないのでふらふらする。

 そんな僕を姉さんは心配そうに支えてくれるけど、身長が高い姉さんに支えられるとちょうど顔が姉さんの胸にぶつかってしまう。



 ぼよん



 うん、弾かれてしまうから逆に危ない。

 余計にふらついてしまって僕はエマ―ジェリアさんに倒れ込む。



 「ちょっと! こちらに来ないでですわ!! 私はシェル様以外に興味は無いのですわ!!」



 ぺちんっ!



 見事に頬を平手打ちで叩かれちゃった。

 そうだよね、僕なんかが近寄ったら嫌だもんね。



 「ちょっと! ソウマに何てことするのよ!!」


 「ソウマ君が私を襲おうとするからですわ! 私の操はシェル様以外には許さないのですわ!!」



 ふらついてほっぺたを平手打ちされた僕はまたまたふらふらして姉さんに抱きかかえられる。

 そしてぎゅ~っと抱きしめられうとまたまた息が‥‥‥



 「ほらほら、遊んでないでこっち来なさいって。早い所戻らないと夜になっちゃうわよ? まあ今日は戻ってベイベイで休んで明日ボヘーミャに移動だけど」


 シェルさんはそう言ってあの魔法陣の所まで行く。



 「ミュー、増援の話は私からもデルザに言っておくわ。こちらの状況は常に本部にも伝えてやって」


 「わかりました、シェル様」



 シェルさんはそこまで言ってから僕たちを連れて魔法陣を起動してベイベイの街に戻るのだった。



 * * * * *



 「流石に疲れたなぁ」


 「今日はもう遅いからゆっくりここで休んで明日ボヘーミャに行きましょう」



 戻ってから僕は最上階のソファーに座らせてもらってお茶をもらいながらそうつぶやくとシェルさんが笑いながらそう言う。


 「それは良いけど、シェルおなかすいたわよ! お肉!!」


 「はいはい、準備させるからたくさん食べなさい。ソウマやフェンリルも遠慮なく食べて行きなさいね」


 素直に喜ぶ僕だったけど姉さんがいつもと違う。

 姉さんはシェルさんに向かって聞いた。



 「シェルさん、ボヘーミャで一体何を受け取るというのですか?」



 姉さんにしてはずいぶんと真剣な感じだ。

 思わず僕もシェルさんを見てしまう。


 「そうね、あの子はフェンリルと彼女の言う事じゃないと聞いてくれないのよ。行けば分かるわ」


 「それはあの変体悪魔にも簡単に勝てる力なんですか?」



 「フェンリル?」



 シェルさんだけではなく姉さんの言葉に思わずみんなも注目してしまう。



 「正直今回の事で天狗になっていると思いました。何とか勝てたけどミーニャはあの悪魔より強くなっているって事ですよね? それにソウマをあんな危険な目に合わせてしまった‥‥‥」



 悔しそうに下を向いて膝の上で握った拳をぎゅっと強く握る。



 「井の中の蛙でした。いくら村で一番上手く剣が使えるからって『世界にはまだまだ強い奴は沢山いる』、先生の言葉でした。でも私はそんな事も忘れてしまっていた」



 そっと腰からなぎなたソードを引っ張り出す。

 そしてそれをまたぎゅっと握る。



 「もっと強くならなければいけない!」



 姉さんは真剣なまなざしでシェルさんを見る。

 シェルさんはふっと笑ってからお茶を一口飲んで話を始める。


 「向上心を忘れないのは良い心がけだわ。大丈夫あなたはもっと強くなれるわ。そしてソウマ、あなただってもっと強くなれる。それは私が保証してあげるわ」


 「シェルさん‥‥‥」



 確かにそうだ。

 正直今回僕は何の役にも立っていない。

 姉さんを完全に助けたわけでもない。

 だから僕はもっと強くなって姉さんの足を引っ張らないようにならなきゃいけない。



 「大丈夫だって、ソウマもフェンリルも強くなるよ、あたし知ってるもん」


 「セキ、それ以上は」


 「はいはい、分かってるって。でも鍛錬は欠かしちゃだめだよ? なんならあたしも手を貸すよ?」



 「爆竜のセキ」さんが稽古をつけてくれるって事かぁ。

 厳しそうだけど確かに強くはなれそうだな。


  

 「是非お願いします! セキさんのあの動き、私にも稽古つけてください!!」


 姉さんもセキさんに向かって頭を下げる。

 勿論僕も一緒に頭を下げる。



 「エマ、ソウマたちが怪我たら回復お願いね?」


 「え~? 私も手を貸すのですの?」



 「お・ね・が・い、ちゅっ!」



 シェルさんはそう言いながらエマ―ジェリアさんの頬にキスをする。

 途端にエマ―ジェリアさんはでれぇ~っとして二つ返事で了承する。



 「お任せくださいですわぁっ! シェル様の為なら何だってしちゃいますわぁっ!!」



 それを見ながら姉さんは思い切り青ざめて距離を置く。


 「シェルさんやっぱりそっちの気が有るんですね! 私にはないですからね!! 私はソウマ一筋なんですからねぇっ!!」



 なんで僕一筋なんだろ?

 姉さんもいい加減弟離れしてくれないかなぁ?



 そんな僕らも明日はいよいよボヘーミャに出発する。

 そこで姉さんを強くするモノを受け取るって言うけど、僕もセキさんたちと稽古してもっと強くならなきゃ。




 僕はそう自分自身に言い聞かせるのだった。



面白かったらブックマークや評価、ご意見ご感想をよろしくお願い致します。

誤字脱字等ございましたらご指摘いただけますようお願い致します。


蚤の心臓の私たちですのであまりいじめないでください。

どうぞ、日本海のような広いお心と生暖かい目で見ていただけますと助かります。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ