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第184話8-9セキの教育

女神エルハイミにさらわれた姉のフェンリルを取り戻す為にソウマは立ち上がる。

この世界の女神に背くその行為は果たして姉のフェンリルを取り戻せるのか?

苦難の道のりを今、少年は歩き出す。

そんな熱い姉弟(師弟)の物語です。


またあたしより強いのが‥‥‥

はぁ、魔王の魂と連結できないかなぁ(ミーニャ談)


 僕たちは天界へ行くためにドドス共和国に有るというドワーフたちが作った「鋼の翼」と言う乗り物を借りる為に旅を続けている。


 

 「えへへへ、お兄ちゃん私こう言うお出かけ初めてです」


 「うーん、ユエバの町とかへはどうやって行ってたの?」


 「お母さんが一瞬で転移してくれますね。ああ、迷宮の一番下からでした」



 タルメシアナちゃんはにこにこしながら僕の膝の上にまたがって座っている。

 時折尻尾が僕の顔に触れるけど、なんか絡み付くように動く時が有る。

 ちょっとくすぐったいけどじゃれているのだろうから好きにさせるしかないね? 



 「うううぅ、分かってはいたけど……」


 「た、タルメシアナちゃん、こっち来てお姉さんとお話ししましょうですわ」



 なんか荷台にいるミーニャとエマ―ジェリアさんもさっきからそわそわしている。

 今僕は馭者席にリュードさんと一緒に座っている。

 でもタルメシアナちゃんが外の景色をもっと見たいと言い出し、僕の膝の上に座る。

 ちっちゃいから僕の上にも簡単に座れて腿の上にまたがってちょこんと座っている。



 「そう言えばタルメシアナは自分の意思で竜の姿になれるの?」


 むにゅっ


 セキさんが後ろから大きな胸を押し付けて僕に寄りかかりながら膝の上のタルメシアナちゃんに聞く。

 タルメシアナちゃんは僕越しに上を向いてセキさんに複雑な表情をしながら答える。


 「出来るのは出来ますけど、竜の姿になると途端に意識が薄れてしまうんですよ。それで本能に従って暴れまわってしまうんですが、嫌なのは人の姿に戻るとその記憶はしっかりと有って恥ずかしいんですよ」


 唇を尖らせてタルメシアナちゃんはそう言う。

 するとセキさんはしばし考えこんでから瞳の色を金色にしてタルメシアナちゃんを見る。


 「うーん、純粋な竜では無いから魂の色とかそのつながりとかが複雑ね? どうやら本当にエルハイミ母さんとコクが混ざったようだからあたしたちの分体とはまた訳が違うのね?」


 「あれ? タルメシアナちゃんってエスハイミねーちゃんとコクさんの子供ですよね? そう言えば分体との違いって何なんです?」


 不思議に思い僕はセキさんに聞く。

 するとセキさんは首をかしげて話始める。


 「あたしはやった事無いけど、まずは自分の体を分けてそこへ自分の意識を移し、連結意識を切ると分体になるらしいのよね。時間と共に分体が自我を持ち始め自分とは完全に別物になるらしいわ。でも主導権は本体に残っているから何時でも意識の連結も出来るし、吸収してその分体が持っていた知識と経験を自分のモノにも出来るのよね」


 「それって、今のエルハイミねーちゃんやエスハイミねーちゃんも同じなんですか?」


 なんか便利そうとか思いながらセキさんい聞いてみる。


 「そうね、エルハイミ母さんも最初三人とも同じだったけど、だんだん別々の自我を持ち始めたって言ってたわね。だから今回もエスハイミ母さんはあたしたちに協力的なのよ」


 うーん、と言う事は、エルハイミねーちゃんが三人いるって事か。

 エルハイミねーちゃんみたいなとんでもないのが三人もいたんじゃ大変だな。



 「それで、タルメシアナなんだけど本当に別個体なんだよね。紛れもなくコクの子供だこりゃ」


 「今までそうではないと思っていたのですの?」


 思わずエマ―ジェリアさんも聞いてしまう。

 確かにあのコクさんとタルメシアナちゃんが同一人物とは思えないもんね。


 「話には聞いていたけど、暗黒の女神ディメルモ様との間に生まれた子供は結局はコクの分体だったからね。それが良くも人間たちと交わって子孫を残せたもんだって当時あたしら竜族の間では衝撃だったものよ」


 うーん異種間で子供できるのって珍しいんだ。



 「で、タルメシアナなんだけど今後を考えてあたしが竜の姿になっても自我が保てるように鍛えてあげるわ!」


 「はぇっ!? セ、セキさんそんな無理矢理鍛えてもらわなくてもいいんですよ!?」



 膝の上のタルメシアナちゃんは慌ててそう言うけど、セキさんはエルハイミねーちゃんみたいに指を、びっ! と立てて言う。


 「だめだめ、万が一の時にその力を使えなくてどうするのよ? 竜族の端くれだもの自分の力を十分に使えないのはだめね。しっかりと鍛えてあげるから安心しなさい」



 「ひ、ひぇええええぇぇぇぇ!」



 セキさんにそう言われタルメシアナちゃんはガクガクブルブル震えながら涙目になる。


 「こ、殺さないでくださいよね?」


 「駄目よ、同じ竜なら知っているでしょう? 本能に抗うにはまず力の差を覚えてもらわなきゃね。体に教え込んで服従させ、本能を抑え込まなきゃよ?」


 既に僕にがっしりと抱き着いていて、ぶるぶると震えている。

 それでもセキさんは容赦なくそう言う。



 「セキ、いくら何でもこんな小さな子にそれは酷では無いのですの?」


 「いやいやいや、魔力量、眠っている本当の力全てがこの子は異常よ? 平常時でもこの子はこの中で私の次に強いわよ?」



 え?

 タルメシアナちゃんがこの中でセキさんの次に強いって何!?



 「うーんやっぱりあたしより強いかぁ、そんな気はしていたんだよなぁ。はぁ、魔王の魂との連結さえできればなぁ」


 今までこの話を聞いていたミーニャもそう言ってため息をついている。


 「あ、あの、私がセキさんの次に強いなんてあるんですか?」


 「あるも何も、タルメシアナの本当の魔力量は既にこのあたしを越えているわ。ミーニャの魔王の魂に近いくらいの量が有る。それにその体だってソウマのセブンソードですら切れない程なのよ?」


 僕の持つ伝説のショートソード、女神様の戦士で鬼神と呼ばれていた人が持っていたと言われる七本のうちの一本。

 このショートソードは周りの魔力を吸収してマナを切断する。

 つまり事実上ほとんどのモノが切れてしまう優れ物。



 そんなモノでもタルメシアナちゃんに通じないなんて、凄い!



 「まあ、そう言う訳で休憩時にはしっかりと鍛えてあげるから覚悟しなさいね?」


 「そ、そんなぁ、お兄ちゃんも何とか言ってくださいよぉ」


 「うーん、でもタルメシアナちゃんの為だからなぁ、仕方ないよ。頑張ろうか?」



 「はうううううぅぅぅ」





 こうして旅の途中でもタルメシアナちゃんはセキさんに鍛えられる事となったのだ。



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