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第162話7-17魔獣

女神エルハイミにさらわれた姉のフェンリルを取り戻す為にソウマは立ち上がる。

この世界の女神に背くその行為は果たして姉のフェンリルを取り戻せるのか?

苦難の道のりを今、少年は歩き出す。

そんな熱い姉弟(師弟)の物語です。


うーん、オーク肉まあまあね?(ミーニャ談)


 僕たちはノヘルの港を発って既に二日が過ぎていた。



 「ソウマそっち行った!」


 「はいっ! ガレント流剣技三の型、雪崩!!」



 僕は地面に剣を突き刺し力を溜める。

 そして向かってくる魔獣に一気に地面事剣を振り抜く。

 すると地面から僕の力を溜めた石礫が雪崩の如く弾き飛び魔獣にぶつかる!



 「びぃいいいいいぃぃっ!!」



 びしびしびしっ!!



 鷲の頭を持ち下半身がライオンの化け物、グリフォンの群れに石礫が炸裂する。

 一つ一つは威力が弱いけど、広範囲や数が多い時に仕える技だ。



 「よっし! 喰らえっ、次元断!!」



 ズっ、ズズッ!!



 ミーニャが僕が足止めしたグリフォンたちの空間をずらす。

 途端に足止めを喰らっていたグリフォンたちの首をはねる。

 

 ぴこぴこっ!



 ばきっ!



 エマ―ジェリアさんに向かっていたグリフォンはアイミがぶっ飛ばす。

 そしてセキさんと前に出ていたリュードさんも最後の一匹にとどめを刺す。



 どすっ!



 「うっしぃ! これで終わりだ。ふうぅ、全くよく出て来やがるぜ」


 「うー、流石にグリフォンのお肉はまずいから食べたくないなぁ‥‥‥」


 「え? 食べた事あるんですか!?」


 「セキ、何度言ったら分かるのですの? 拾い食いはだめですわ!」


 「ああ、でもコクちゃんのいる迷宮に住み着いているロックキャタピラは美味しいのよ? ソウマ君、そこ行ったらあたしが料理して食べさせてあげる!」


 『ミーニャ様、食材がダメになる方が早いんじゃ‥‥‥』


 『ああっ! でもそんな頑張って出来ない料理をしているミーニャ様もステキ! 裸エプロンで美味しくミーニャ様もいただきたいですぅ!!』


 ぴこぴこぉ~



 グリフォンは食べても美味しくないらしいので僕たちは馬車に戻りまた街道を行き始める。


 ここイージム大陸は一日に多い時で二回から三回は魔獣や妖魔に襲われる。

 そして襲ってくる相手によってはこちらの食料になるので大変助かっている。



 「とは言え、まさかオークって食べられるとは思わなかった」


 「あらそう? オークって豚肉と同じような味がするから丸焼きも行けるわよ?」


 僕の感想にセキさんはそう言うけど思わず想像してげんなりとなる。


 一応亜人語をしゃべり、人型二足歩行でそれなりに服着たり武器を持っていたけど、セキさんがさばいてくれて何の肉か良く分からない様な形なら何とか食べられるだろう。

 でも流石に人型を丸焼きは食べる気がしないよ?



 「そう言えばセキはその昔人間も食べた事が有るって聞きましたわ‥‥‥」


 「ああ、生贄ね? 再生前はなんか勝手に崇められ生娘の生贄をよこされたけど人間ってそれほど美味しく無いのよ?」



 食べたんだ、やっぱり‥‥‥



 思わず引く僕だったけどセキさんは僕の首に腕を回して引き寄せる。

 そしてぺろりと僕の頬を舐める。


 「今は人間なんて食べる気はしないけど、ソウマだったら食べても良いかな? 別の意味で」



 「ひっ! セ、セキさん僕って美味しくないですよ!!」



 「セ、セキぃっ! 駄目ですわ!! ソウマ君には責任とってもらわなくてはいけないのですのよ!! そ、それにあなただってまだ乙女なのでしょうですわっ!!」


 「何言ってんのよエマはっ! セキちゃんもソウマ君をからかわないの! ソウマ君を食べていいのはあたしだけなんだから!!」


 『あ、ミーニャ様あたしにも少しおすそ分けを‥‥‥』


 「ソ、ソウマをみんなで食べちまうだとぉ!? お、俺もっ!!」



 なんでみんな僕を食べたがるのさ!?

 僕って美味しく無いってば!!

 姉さんを取り戻してもいないのに食べられちゃうなんてまっぴらごめんだよ!



 慌ててセキさんの腕から逃げ出しアイミの後ろに隠れる。


 「あはははは、冗談だってば、何もしないわよソウマ」


 カラカラ笑うセキさんだけど、他のみんなもまだ僕を見る目がなんか猛禽類の様だ。



 「でも、流石に多すぎるのって面倒ね? 適当な所であたしが警告の咆哮でもあげようか?」


 「やめてくれ、お前さんのアレは心が折れるんだから! まったく龍の鳴き声には相手の心を委縮させる力が有るとは言われているが、仲間までそんな効果が有るなんて聞いてねーぞ?」


 「慣れれば大丈夫だって。って、そんな事言っていたらまたかしら?」


 セキさんはそんな事を言って向こうの林を見ている。

 すると林からゴブリンたちが出て来る。

 ゴブリンたちはこちらを見つけると仲間を呼び出し貧相な装備で真っ直ぐに走って来る。


 「面倒ね、雑魚相手には。すぅううぅぅ~」


 セキさんはそう言いながら息を吸い込み向かい来るゴブリンに向かって咆哮を上げる。




 「ぎゃぁおおおおおぉぉぉぉおおぉぉぉぉんッ!」




 びびびくぅっ!!!!


 

 走りくるゴブリンたちはいきなりセキさんのあげた咆哮に驚き転ぶ。

 そして慌てて元いた林に逃げ込もうとする。



 「ふううぅぅ、やっぱり何度聞いても慣れねえぞ! でもなんで馬たちは大丈夫なんだ?」


 「ああ、あたしたちに手を出したらただじゃぁおかないぞっ! て意思を乗せた咆哮だったからね。動物たちはそれを理解しているのよ。だからあんたも慣れなさいよ?」


 「いや、無理だって人間には!」


 セキさんとリュードさんがそんな事を話しているとエマ―ジェリアさんが声を上げる。



 「あそこ! 林の茂みに人が倒れていますわ!! ゴブリンに襲われていたのですわ!!」



 言われそちらを見ると確かに人が倒れている。

 林から出て来ていたゴブリンの一匹はその人の服を引っ張って林の中に引きずり込もうとしている様だ。



 「ちっ! 結局は魔物退治かよ!? ソウマ、馬と馬車頼む!」


 「あたしも行く!!」




 そう言ってリュードさんとセキさんは林へと走って行くのだった。 


面白かったらブックマークや評価、ご意見ご感想をよろしくお願い致します。

誤字脱字等ございましたらご指摘いただけますようお願い致します。


蚤の心臓の私たちですのであまりいじめないでください。

どうぞ、日本海のような広いお心と生暖かい目で見ていただけますと助かります。


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― 新着の感想 ―
[一言] >走りくるゴブリンたちはいきなりセキさんのあげた咆哮に驚き転ぶ。 >あたしたちに手を出したらただじゃぁおかないぞっ! て意思を乗せた咆哮だったからね > 「あそこ! 林の茂みに人が倒れていま…
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