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第146話7-1女神に逆らうと言う事

女神エルハイミにさらわれた姉のフェンリルを取り戻す為にソウマは立ち上がる。

この世界の女神に背くその行為は果たして姉のフェンリルを取り戻せるのか?

苦難の道のりを今、少年は歩き出す。

そんな熱い姉弟(師弟)の物語です。


コクかぁ。

そう言えばあいつの居城には行った事無いな?(セキ談)


 姉さんとエルハイミねーちゃんが消えて、そしてシェルさんまで消えてしまい僕たちはこれからどうするかを話し合う。



 「あたしは行った事が無いけど、エルハイミ母さんたちは『天界』と呼ばれる所にいるはずよ。シェルもそこに住んでいるはずで、たまに下界の様子を見にシーナ商会やあたしのいた神殿に来ていたからね」


 「そうすると誰もその『天界』に行く方法を知らないと言うのですか?」



 エルハイミねーちゃんたちがいると言うその「天界」についてセキさんなら知っていると思ったけど行った事が無いそうな。


 するとミーニャが口をはさんできた。



 「あそこは確かかなりの上空にあるけど、常に世界中の何処かを漂っているから闇雲に探すのは難しいわ。『魔王』の力が有ればあたしがそこへ空間転移させられたけど今のあたしじゃそこまでの力は無いわ」


 「ミーニャ‥‥‥」


 言いながらミーニャは手元に魔力の光の玉を作る。


 「うん、やっぱり無理ね。せいぜい見える範囲の空間転移が関の山か‥‥‥」


 どうやら自分の今の力を試しているみたいだった。

 僕はそれとなく他のみんなを見る。


 リュードさんは勿論、アイミだってずっと封印されていたわけだし、かといってエマ―ジェリアさんは‥‥‥



 「一つ、もしかしたらそこへ行く方法を知っている人がいるかもしれませんわ‥‥‥」



 「えっ? 本当ですかエマ―ジェリアさん!」


 「もしかしてエリリア? いくら彼女でも知っているかな? 『天界』ってエルハイミ母さんが作り上げたものだけど??」


 エマ―ジェリアさんのその言葉に僕もセキさんも反応するけど、あの古い時代の知恵の女神オクマスト様の分身である「知識の塔」管理者のエリリアさんでも知らないかもしれないのかな?



 「エリリア様ではなく、女神様のもう一人の伴侶、黒龍のコク様ですわ」


 「あっ!」



 エマ―ジェリアさんのその言葉を受けセキさんは小さく驚きの声を上げる。

 そして顎に指を当て思い出すかのようにうんうんを頷く。


 「確かにコクはイージム大陸の迷宮に住んでいるって聞いたわね。そしてそこにはエルハイミ母さんの分身であるエスハイミ母さんがいるってのも聞いたもんね」


 「ええ、ですからコク様に会いに行けば『天界』に行く方法は分かると思いますわ‥‥‥」


 言いながらエマ―ジェリアさんはため息をつく。

 そしてセキさんを見る。


 「どう思いますの?」


 「確かにコクなら知っていると思うし、エスハイミ母さんがいるなら可能性はあるかな? でもエスハイミ母さんがそんな事を許すと思う?」


 「女神様に逆らうわけですから、簡単にはいかないですわね。でもそれ以外に思い当たる方法がありませんわ‥‥‥」



 「コクちゃんかぁ‥‥‥ セキちゃんがここまで成長しているのだからコクちゃんも大きくなっているんでしょう?」


 エマ―ジェリアさんの思い付きにセキさんが心配をしているとミーニャが思い出したかのようにそう言って来る。


 そしてセキさんを見ながら言う。



 「コクちゃんってもしかしてお姉さまの女神様状態にまで成長しているの?」



 「うん、あたしと同じでコクの奴人間でいう成体になっているからそうだね。しかもエルハイミ母さんの子供産んだって話だから今はどうなっている事やら」


 「‥‥‥何でコク様が私を見る目がああだったかなんとなくわかりましたわ。てっきり自分に似ているからと思っていましたが別の意味だったのですわね」



 エマ―ジェリアさんはそう言って身震いしている。

 一体どう言う事だろう?



 そんな中、リュードさんはセキさんをちらっと見てから言う。



 「しかしそうなるとその黒龍ってのに会いに行かなきゃかよ? イージム大陸までとはな」


 「ゲートが使えればすぐなんだけどな。シェルさんがいないし、ここからまたウェージムに帰るにも時間もかかるし‥‥‥」



 「だったら直接イージムに行くしかないでしょう? 魔王軍が一時的にイージムまで侵攻したけど、ここからならそっちの方が近いはずよ?」


 

 僕が悩んでいるとミーニャがあっけらかんとそう言って来る。

 そう言えばミーニャってばイージム大陸の皆さんにもご迷惑かけまくっていたんだっけ。


 「イージム大陸か、そうね、ゲートが使えないならそこへ行くには直接東に行って海を渡った方が早いわね。行こうソウマ!」


 そう言ってセキさんは立ち上がり手を僕に差し伸べる。

 僕はその手を取り頷く。


 「はい、必ず姉さんを取り戻します!!」




 僕たちはイージム大陸を目指す事になるのだった。

  

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