第13話1-13ハミルトン嬢
魔王が覚醒した幼馴染のミーニャを連れ戻す為にソウマたち姉弟は今日も何処かをさ迷っています。
お姉ちゃんに鍛えられながら果たしてソウマはミーニャを連れ戻せるのか!?
熱い姉弟(師弟)の物語です。
なんでこの子が此処にいるの?(シェル談)
「シェル様ぁっ! お待ちしておりましたわ!!」
いきなり扉が開き飛び込んできたのは金髪碧眼の可愛らしい女子だった。
僕と同じくらいの歳かな?
いやもうちょっと年上っぽい。
ミーニャと同じくらいかも。
彼女は真っ先にシェルさんに抱き着いて行った。
「こらこら、危ないでしょう、エマージェリア」
「だってぇ、シェル様なかなか来て下さらないのですもの、エマずっとお待ちしていたのですわよ!?」
エマ―ジェリアと呼ばれた女の子はソファーに座っているシェルさんの大きな胸に顔をうずめぐりぐりとしている。
シェルさんはため息をつきながら彼女をは引きはがす。
「はいはい、ここまで。どさくさに紛れて胸揉もうとしたでしょ? だめよ、私にはあの人がいるんだから。いくらあなたが彼女に似ているからと言っても私の愛するのは彼女只一人よ?」
「え~っ!? シェル様になら初めてあげてもいいのにぃ~っですわ!!」
えーと、何を言っているのかさっぱり分からないけど一体あの子は何?
僕は困ってしまって姉さんを見ると青ざめながらひきつっている。
「ま、まさかシェルさんってそっちの気が有るんですか? わ、私はそんな気は全然ないですからねっ!」
そう言って姉さんは自分で自分を抱きしめガクガクブルブルと後ずさり始める。
「貴女にだけは言われたくないけど、思い出してないなら仕方ないわね。安心して、私が好きなのはあの人ただ一人だけだから。他の女には興味ないわ」
「そんなぁ、シェル様ぁ!!」
あー、なんだか良く分からないけど、大事な話しているんだね?
僕はそのエマ―ジェリアさんを見る。
金髪碧眼でなぜかこめかみの横にトゲの様な癖っ毛が一つづつある。
年は僕より少し上かな?
陶器のようなきれいな顔はシェルさんに片手で押さえられて押し退けられている。
相当うれしいのかな?
顔を赤くして犬のように「はっはっぁ」と荒い息をついている。
シェルさんはため息一つ僕たちに向かって言う。
「紹介するわ。彼女は聖地ユーベルトの聖女でハミルトン家息女、エマ―ジェリアよ。ほら、ちゃんと挨拶しなさい」
「う~、シェル様以外どうでもいいのに~。こんにちわですわ、私はエマ―ジェリア=ルド・シーナ・ハミルトンですわ」
そう言ってその子は優雅にお辞儀をしてきた。
「あ、えっとソウマって言います」
「フェンリルよ、よろしく。ところでシェルさん、わざわざここへ来たのは何故ですか?」
姉さんはエマ―ジェリアさんと僕の間に割り込む様に入って来てシェルさんに聞く。
「なんてこと無いわ、ここにはボヘーミャにまで行けるゲートがあるの。それを使えば一瞬でボヘーミャに行けるって訳よ」
「ゲート?」
聞き慣れないその言葉に姉さんは首をかしげる。
ゲートって一体何なんだろうね?
「ゲートって言うのはね、古代魔法王国時代にあった転移魔法の魔法陣よ。固定した間を一瞬で運んでくれるからとても便利なものなの。だからここへ来たのよ」
一瞬でボヘーミャまで運んでくれるの?
それは凄い!
だってここからボヘーミャまで歩いて行ったら少なくとも二か月以上かかるって聞いていたからそのゲートってのはどれだけ凄い事か!
「じゃあ早速ボヘーミャに行くんですね!?」
「そうね、そうしたいのだけどここにエマがいるって事は‥‥‥」
「当然あたしもいるってっ事よ! シェル、とうとう見つけてくれたのね!?」
そう言ってエマ―ジェリアさんが飛び出してきた扉からまた別の女の人が出て来るのだった。
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