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第134話6-4セキ脱落

魔王ミーニャと再会したソウマ、しかし彼女の魔王として力は絶大であった。

それでもソウマはミーニャを連れ戻そうと必死になる。

過去を思い出し魔王としての力を存分に発揮する魔王ミーニャに果たしてソウマは、姉のフェンリルは対抗する手段が有るのだろうか?

更に熱い姉弟(師弟)の物語です。


あー、力押さえられてるから何も出来ないなぁ‥‥‥(アガシタ談)


 シェルさんは灰色に固まったまま椅子に座らせられている。

 そして今はこの野外にも一緒にいるけど、そのシェルさんにミーニャ―は腰かけながらセキさんを見る。



 「それじゃあセキちゃん、位置について。ソウマ君、砂時計を裏返して始めましょう」



 「よぉしぃ、行っくぞぉ!」


 

 セキさんは障害物レースの様なこのコースの前で屈伸運動をしている。

 そして僕に振り向き言う。



 「さあ、ソウマ始めて!」



 言われて僕はもう一度ミーニャを見てからセキさんを見る。

 そして頷いてから砂時計を裏返した。



 だっ!



 セキさんはそれを確認するとすぐに走り出す。

 そして一番最初の壁が連なっているのを飛び越え‥‥‥



 ばごぉん!!



 飛び越えないで破壊した。

 それはそれは盛大に粉砕して。



 「よっしぃ! セキそのまま行っちゃえぇ!!」


 姉さんはセキさんのその様子を見て嬉々として手を振って応援している。


 「そうですわセキ! 絶対にゴールするのですわっ!!」


 エマ―ジェリアさんもセキさんを応援する。

 それもかなり力が入って。


 セキさんはそのまま次の障害物に行くけど、足場の悪い飛び石の上を難なくひょいひょいと渡っていく。

 が、ここで真横からセキさんの体の何倍もある石の塊が飛んでくる!?


 

 ばごっ!



 「あぶっ‥‥‥」


 危ないと言おうと思ったらセキさんはこれも拳で殴ってバラバラに砕く。

 その後何度か飛んで来た岩の塊も同じく。



 「そうですわ! 良いですわよセキ!!」



 エマ―ジェリアさんの応援にさらに熱がこもる。

 うん、セキさん凄いのは分かっていたけどこれじゃあ障害物の意味がない。



 「ふふっ、流石セキちゃん。でも力技で何処まで行けるかしら?」


 ミーニャも楽しそうにそれを見ている。

 そして次なる障害物は足場のない向こう岸まで吊るされたローブが何本もぶる下がった物。


 これってロープ伝えに行くしな無いのかな?


 僕がそう思っているとセキさんも僕の思った通りロープに飛び移り、振り子の原理で体をゆすって次のロープへ飛び移る。

 これを何度もやってどんどん先に進むけど‥‥‥



 ざばぁんっ!



 下の溜池から大きな魚が飛び上がりセキさんに食らいつこうとする。

 どう見ても肉食のその牙はセキさんを捕らえたかと思った瞬間にぶっとばされる!



 ばきっ!



 「よしっ! セキそのまま行けぇ!!」


 姉さんもこぶしを振り上げ応援をするけどここで無理が祟ったのか、セキさんが掴んでいたロープが切れる。



 「あっ! セキですわっ!!」



 エマ―ジェリアさんが驚きの声を上げるけどセキさんはそのまま切れたロープと溜池に!?



 「よっと!」


 しかしセキさんは慌てず尻尾で次のロープを手繰り寄せそれにぶら下がる。



 ばっしゃーん!


 

 殴られた魚と一緒に切れたロープも溜池に落ちる。

 それを楽しそうに見ているミーニャはカラカラと笑う。



 「うん、流石セキちゃん! よくあの状態で次のロープを掴んだわね?」


 「へへぇ~ん、この位であたしの快進撃は止められないわよ? よっと!」



 言いながらセキさんは体を振って次のロープへと飛び移り程無く対岸に着地する。

 そしてまた走り出す。


 この後もせり上がる地面や飛んでくる槍の雨、通路いっぱいに転がって来る大岩を全て粉砕して順調に前に進む。



 「なによ、この程度? これじゃあ余裕でゴールね!」



 既に三分の二まで行っているセキさん。

 そのスピードは緩まる事無く次の壁が通路を塞いで押しつぶしたりする開いたりする障害もきっちり粉砕しながら前に進む。



 「でもセキちゃん、これには弱いのでしょう?」



 棒の上を飛び移りながら前に進むセキさんにミーニャが声を掛ける。


 「へへぇ~んだ、何が来たってあたしは‥‥‥」


 言いかけたセキさんがピタッと止まってすんすんと鼻を動かす。


 砂時計もあと少しで全部落ちる。

 しかしセキさんはその場で目を閉じすんすんと鼻を動かしている。



 「セキ! もう時間がないですわ!!」



 「この臭いは‥‥‥」



 すんすん。



 「ふふっセキちゃんの大好物よ? 好きなだけあげるわ」



 ぽんっ!



 セキさん進道の横に何かが現れた。

 それをセキさんは見ると目を輝かせそちらに飛びつく!?



 「骨付き肉だ! しかもあんなに沢山!!」



 「ちょ、ちょっとセキ、ダメぇっ!!」


 「セキっ! 何をしているのですの!?」



 セキさんはルートの右側に現れた台の上の山盛りの骨付き肉にまっしぐらに飛びつく。


 「なんなんだよあいつは!? 犬かよっ!?」


 リュードさんも思わうそう叫ぶけど時すでに遅し。

 アイミが指さす中骨付き肉に飛びついたセキさんはそれ事床に空いた穴に落ちていく。



 ぴこぴこっ!


 「あ”ーっ! セキぃっ!!」


 「セキですわぁっ!!」



 アイミと姉さんとエマ―ジェリアさんの上げる悲鳴の中落ちた穴の下で水が跳ねる音がした。



 ばっしゃぁーん!!



 「はい、このゲームセキちゃんの負けね♪」



 パチン!



 ミーニャがそう言って指を鳴らすとまた魔王の間にみんなが瞬間移動する。


 

 ごろっ。



 そして口に骨付き肉をかじり片手にお皿ごと骨付き肉を抱え、もう片方の手を上に向けて伸ばしている格好の灰色に固まったセキさんが床に転がる。



 「セキぃ!」


 「セキっ! だからあれ程拾い食いはしてはいけないと言っていたのにですわ!!」


 「こ、これが僕たちを焼き殺したと言うあの赤竜なのか?」


 「あ~、アガシタ様こいつ再生してますから」


 「いや、姉さま根本的に違うでしょ? こいつも駄竜か‥‥‥」



 アガシタ様たちも思わずそんな事言っている。

 真剣な表情で骨付き肉を守っているセキさん。

 本当にエマ―ジェリアさんの言う通り拾い食いしていたのだろうか?




 「なあソウマ、こいつらって馬鹿か?」


 「ええぇとぉ、僕には何とも‥‥‥」





 リュードさんの質問に思わず視線を他に向ける僕だったのだ。


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