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第133話6-3セキとの勝負の前に

魔王ミーニャと再会したソウマ、しかし彼女の魔王として力は絶大であった。

それでもソウマはミーニャを連れ戻そうと必死になる。

過去を思い出し魔王としての力を存分に発揮する魔王ミーニャに果たしてソウマは、姉のフェンリルは対抗する手段が有るのだろうか?

更に熱い姉弟(師弟)の物語です。


うそっ!

ソウマ君の初めてがぁっ!?(ミーニャ談)


 セキさんは姉さんを押し退けずいっと前に出る。



 「フェンリルは下がってて。今度はあたしがやる!」



 「セキちゃん、大きくなったわね? でもちゃんと面影が残っている。そうかぁ、もう千三百年も経つのだっけ?」


 ミーニャがぱちんと指を鳴らすと固まったシェルさんの前に有ったテーブルが消える。

 コツコツとハイヒールの音を鳴らせミーニャは嬉しそうにこちらに来る。


 「セキちゃんには体を動かすゲームがいいわね? こんな風に!」



 パチン!



 指を鳴らすと僕たちを含めここにいたみんなが一斉に別の場所に移された!?

 驚き周りを見るとかなり広い屋外でまるで迷路のような、いや、いろいろと障害物が並んでいる物が目の前にあった。



 「セキちゃんにはこの障害物のゲームをやってもらいましょうか? 体を動かすゲームだからセキちゃんにうってつけでしょう?」


 「へぇ、面白そうじゃない? どうやるの?」


 するとミーニャは向こうにあるひときわ高い場所を指さす。


 「この砂時計が全部落ちるまでにここからスタートして障害物をくぐりながら道筋を進んでもらおうかしら。もし障害物に邪魔され下に落ちたら負け。最後にあそこへたどり着けたらセキちゃんの勝ち。ああ、空は飛ぶのは無しね、どうかしら?」


 「いいのそんなので? 簡単ね!」


 セキさんはそう言いながら腕を回す。


 「それじゃあ決まりね。砂時計はソウマ君に渡すから何時でも始めていいわよ」



 ポン



 ミーニャはそう言って僕に砂時計を渡して来る。



 「ミーニャ、こんな事してないで村に帰ろうよ‥‥‥」


 「だぁ~め。ソウマ君を確実に私のモノにするんだからフェンリルさんたちにも納得してもらわなきゃいけないんだもん。そして結婚しようね、ソウマ君!」


 とびきりの笑顔でそう言うけど、皆さんに迷惑かけてるし貸した宿題もまだ返してもらって無いし、なによりも一年近くも先生の所を無断で休んでたら大目玉喰らうのに。



 「ソウマ君の為にあたし頑張るからね? 結婚したら子供何人欲しい?」


 「ミーニャ、僕たちまだ成人もしていないのに何言ってんだよ?」



 僕がそう言うとミーニャは頬を染めて笑う。



 「もうぅ、照れちゃって。可愛い♡」



 「ま、魔王ミーニャ! あ、あなたなんてセキがこのゲームをクリアーして終わりですわ!!」


 ミーニャが両手を顎の辺に持って来てお尻を振り振ふりしながら僕を凝視しているとエマ―ジェリアさんが声を上げる。



 「ん? お姉さま似のその子、ずいぶんと大きく出るわね?」



 びくっ!



 「シェ、シェル様を解放なさいですわ!!」


 「それはだめね、みんなが納得いく形でソウマ君を私のモノにしたら解放してあげる。ソウマ君は誰にも渡さないわよ。それに‥‥‥」


 ミーニャはエマ―ジェリアさんを見る目をすぅっと細める。



 「あなた、ソウマ君の何?」


 「わ、私は‥‥‥ そ、ソウマ君は手のかかる弟の様なもので‥‥‥」



 ふっ



 ミーニャは小さく笑てフェンリル姉さんを見る。


 「フェンリルさん、いいんですか? ここに姉気取りのがいますよ? おおかたソウマ君の可愛さに惚れた女なのでしょうけど、変な虫付けさせないでくださいよ!」


 「わ、私はソウマ君なんか////!!」


 真赤になるエマ―ジェリアさん。


 うん、そうだよ。

 エマ―ジェリアさんが僕なんか好きになる訳無いじゃないか?

 いっつも迷惑ばかりかけているもんね。




 「ミーニャ、あんたこそソウマの幼馴染だからってソウマを自分のモノにできると思っているの? あたしとソウマはサボの港町で熱い一夜を過ごしているのよ? 私はもうソウマのお嫁さん、妻なのよ!!」



 「なっ!? そんな馬鹿な!? 姉弟なんですよ!?」



 姉さんがまた変な事言い出した。

 サボの港町では確かに姉さんのせいでせっかくの良い部屋だったのに大騒ぎになった。


 だけど姉さんが僕のお嫁さんって何?



 「て、手を出しちゃだめて言ったのに! ソウマ君の初めてはあたしがするって決めてたのに!? ずるいです、フェンリルさん!!」


 「ふふ、もう手遅れよ、あの晩ソウマのお陰でたくさんの、その、ち、血も出ちゃったし//////」




 「!!!?」




 カッ! 


 ビカビカごろごろどがっしゃ~ん!!!!



 ミーニャは背景を真っ暗にして盛大に落雷を落とす。

 そして真っ白になっちゃう。


 なに?

 何が起こっているの!?



 「あ~、フェンリルもう良いかな? ねえ、イオマ‥‥‥じゃなくて、今はミーニャだっけ? そろそろ始めようよ?」


 「な、何言ってるんですか、セキちゃん!! そ、ソウマ君の初めてが! 私がソウマ君の最初で最後の女になるって決めてたのに!!」


 涙目のミーニャはセキさんに噛みつく。

 姉さんは姉さんで何故かミーニャに勝ち誇った顔しているし、エマ―ジェリアさんは顔を真っ赤にして涙目で何かぶつぶつ言っているし…‥‥




 セキさんはため息ついてミーニャに話す。


 「あの晩何も無かったわよ? フェンリルってば興奮しすぎて鼻血出して気を失っただけだから」


 「え?」


 「あーっ! セキ余計な事をっ!!!!」


 そう言えばの時は処理が大変だったよなぁ。

 血を奇麗に拭ってやって着替えさせて、散らかった服片付けて、姉さんの看病してと。



 「じゃ、じゃあソウマ君の初めては?」


 「ああ、ソウマならまだ童貞よ?」


 「セキ余計な事言うんじゃないわよ!!」


  

 にまぁ~。

 途端にミーニャが変な顔する。


 「そうかぁ、良かった。まだだったんだ‥‥‥ これであたしとソウマ君の清い関係での初めてが迎えられるわ!!」


 「くぅううぅ!」


 全く訳が分からない。

 何みんなで言いあっているのだろう?



 ぽんっ



 「ソウマ、お前も大変なんだなぁ‥‥‥」


 ぴこぴこ



 肩に手を置かれ何故かリュードさんとアイミに頷かれながら同情されている。





 頭にクエスチョンマークを浮かベる僕だったのだ。

 

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