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第132話6-3シェル脱落

魔王ミーニャと再会したソウマ、しかし彼女の魔王として力は絶大であった。

それでもソウマはミーニャを連れ戻そうと必死になる。

過去を思い出し魔王としての力を存分に発揮する魔王ミーニャに果たしてソウマは、姉のフェンリルは対抗する手段が有るのだろうか?

更に熱い姉弟(師弟)の物語です。


ぐぬぬぬぬぅ、こうなったらあの手だわ!!(シェル談)


 ミーニャが席から立ち上がり広間に行くといつの間にかテーブルが準備されていた。

 そしてそこには一つの箱が置かれていた。



 「これは?」


 「ユーベルト発祥のカードゲームですよ。知っているでしょう、シェルさん?」


 ミーニャはそう言ってテーブルに行く。

 そして箱を手に取りシェルさんに投げつける。



 ぱしっ!


 

 シェルさんは投げられた箱を手に取る。 


 「いかさまはしてませんよ、確認してください」


 いいながら席に着く。

 そしてコインを十枚ずつ自分の手元とこちら側に置く。


 「ポーカーで勝負ってどうです? 相手のコインを全て奪った方の勝ち」


 「確かに新品のカードの様ね? でも意外なゲームで勝負を仕掛けるのね?」


 シェルさんはカードの箱をミーニャに投げ返すとミーニャはそれをはしっと受け取り封を切り始める。

 そしてシャッフルをしてからシェルさんの前にカードを飛ばす。

 飛ばされたカードはきれいに並んでシェルさんの前で止まる。


 「どうです?」


 「ふっ、いいわそれで!」


 シェルさんはそう言って椅子に座る。


 「お、おい、シェル、お前って‥‥‥」


 リュードさんは慌てて止めに入るけど既にゲームを始めているせいか僕たちはシェルさんに近づけないように見えない壁で遮られている!?

 リュードさんはその見えない壁を叩きながら言う。



 「おいシェル! お前賭け事なんかできんのかよ!? 昔あれだけ大負けしたんだぞ!?」



 「はい?」


 リュードさんがそう叫んだので思わず僕はシェルさんを見てしまう。

 するとシェルさんはこちらを振り返りにっこりと笑う。


 「大丈夫よ! あの時は運が悪かっただけよ! 今回はちゃんとした新品のカードだし、今日は勝てる気がするわ!!」


 ミーニャの前で自信たっぷりに言うからてっきりこう言ったカードゲームに強いのかと思ったのに!?



 「駄目だ、お前そう言うセリフ言った時に勝ったためしがないじゃないか!?」


 「大丈夫、今日は勝つ!」



 リュードさんの心配を他所にシェルさんはやる気満々だった。

 周りを見るとやはり僕と同じ気持ちなのだろう、姉さんは勿論セキさんやエマ―ジェリアさんまで苦笑して視線を外す。

 アガシタ様たちに関しては既にあきらめ顔だ。



 「さあ行くわよ!」



 こうしてミーニャとシェルさんの対決が始まったのだ。



 * * * * *



 「ぐぬぬぬぬぬぅぅうううぅっ!」


 「シェルさんどうします?」


 ミーニャの前には既にシェルさんのコインが九枚並べられている。

 残りはあと一枚。

 シェルさんは配られたカードを睨んでいる。


 「どうします? チェンジしますか?」


 「ちょっと待って! ぐぬぬぬぬぅ」


 ここからだとよく見えないけどあまりいい手ではないみたい。

 ミーニャは余裕の感じで片手でカードを眺めている。


 と、セキさんが小声で言う。


 「あ、シェルのやつミーニャって子の瞳を凝視している?」


 「はい?」


 一体どう言う意味だろう?

 僕が疑問を持ってセキさんに聞こうとするとシェルさんがカードのチェンジを要求した。


 そして配られたカードを見てにんまりとする。



 「よし、これで行くわ!」



 「本当にいいんですね?」


 シェルさんは頷きカードをテーブルに置く。


 「さあ! どうよ!!」


 「残念でした、ロイヤルストレートフラッシュです」


 ミーニャはずっと片手に掲げていたカードをテーブルに置く。

 フルハウスのシェルさんより強いカード。



 「ええぇっ!? なんで!?」



 「シェルさん、あたしの瞳見て映った―カードで勝負に出たでしょ? でも映し出すカードが必ずシェルさんが見ている物と同じとは限らないんですよ? ふふふっ」


 シェルさんはテーブルを叩き叫ぶ。



 「そんなのインチキだわ!」


 

 「あら、あたしの瞳を通してカードを見るのはインチキじゃ無いのかしら?」


 「ぐぬぬぬぬぬぅぅうううぅっ!」



 どう言う事?



 「シェルのやつ目がいいから相手の瞳に映ったカードを盗み見て勝負に出たみたいだけど、映し出す映像を他の物にしていた魔王の方が一枚上手だったって事ね」


 僕の疑問にセキさんが答える。

 なるほど、そう言う事か。


 

 「さて、シェルさんの負けと言う事で大人しくしてもらいますね」


 「え?」



 パチン!



 ミーニャが指を鳴らすと途端にシェルさんが固まった。

 椅子に座ったまま灰色に固まってまるで石像の様に動かなくなった。



 「シェル!」


 「シェル様!!」


 「なにしたのミーニャ!?」


 「ミーニャ!!」



 セキさんもエマ―ジェリアさんも姉さんもそして僕も声を上げる。


 「心配しないで、シェルさんの空間を固定しただけだから。死んだわけでは無いわ。勝負に負けたんだからしばらく大人しくしてもらうわ」


 そう言ってミーニャはにっこりと笑う。

 そして姉さんを見ながら言う。



 「さあ、次の相手は誰かしら?」



 言われて姉さんが声を上げようとしたらセキさんがそれを押さえる。



 「次はあたしよ!」



 

 セキさんは姉さんを退け前に出るのだった。


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