第131話6-2ゲーム
魔王ミーニャと再会したソウマ、しかし彼女の魔王として力は絶大であった。
それでもソウマはミーニャを連れ戻そうと必死になる。
過去を思い出し魔王としての力を存分に発揮する魔王ミーニャに果たしてソウマは、姉のフェンリルは対抗する手段が有るのだろうか?
更に熱い姉弟(師弟)の物語です。
おいこらライム、なに出された酒カパカパ呑んでいやがる(# ゜Д゜)(アガシタ談)
ミーニャに勧められシェルさんは用心深く椅子に座る。
「シェル‥‥‥」
姉さんは未だに警戒している。
でもシェルさんは椅子に座って目の前に出される杯を手に取る。
「魔王、あなた一体何考えているの?」
「シェルさん、なんて事は無いですよ。今の私が今の私がしたいようにしているだけです」
「もうあの人への執着は無いの?」
シェルさんがそう言うとミーニャはぴくっとしてから指をパチンと鳴らす。
すると給仕のリリスさんと同じ格好をしたお姉さんがシェルさんにお酒を注ぐ。
ミーニャにも何か注いでいるけど、まさかお酒じゃないだろうね?
「ないと言えば嘘になりますが、それは先代魔王イオマの話。勿論お姉さまの事は好きですよ? でも今はソウマ君が欲しい。そう言う事です」
くい。
そう言ってからミーニャは飲み物をあおる。
それを見てからシェルさんもお酒に口をつける。
「あら? 結構おいしいじゃない?」
「ミードの上物です。甘くて飲みやすいでしょう?」
ミーニャはそう言って顎でシェルさんにまたお酒と注ぐように指示する。
そして僕たちを見て席に座るよう勧める。
「そんな所に突っ立っていないで座ってくださいよ。ソウマ君とのせっかくの再開なんですから。歓迎しますよ」
姉さんや僕は一瞬顔を見合わせるけどシェルさんがすでに席に着いているから大人しくミーニャの言う事を聞いて席に着く。
セキさんやエマ―ジェリアさん、リュードさんにアガシタ様まで大人しく席に着いた。
あ、アイミだけは座れないので姉さん後ろに立っているけどね。
「懐かしいですね、よくこうやってお姉さまを含めみんなで食事をしたものです」
パチン
ミーニャが指を鳴らすと先ほどのお姉さんたちが出て来て飲み物と前菜を出し始める。
ミーニャはそれが行き渡るとにこやかに杯をかかげこう言う。
「あたしとソウマ君の輝かしい未来へ乾杯!」
そして周りの様子など気にもしないでその杯を飲み干す。
みんな配られた杯に手は伸ばしているけど誰も飲もうとはしない。
「大丈夫ですよ、毒なんて入ってませんから。それにもうシェルさんが飲んで毒見は終わっているでしょう?」
くすくす。
何がおかしいのかミーニャは笑う。
すると姉さんはその杯を手に取り一気にあおる。
くいっ!
とん
「ミーニャ、大人しく村へ帰りましょう」
「嫌です」
姉さんの静かな口調にミーニャも合わせるけどきっぱりと断る。
そして自分の前に出された前菜に手を付け始める。
「ミーニャ‥‥‥」
「ソウマ君、君の好きな物を取り揃えているんだよ? 食べてみて」
ミーニャは手元を動かしながらそう言う。
見れば美味しそうなサラダにチーズがまぶされたものだった。
僕はフォークを手にそれを口に運んでみる。
「美味しい‥‥‥」
「でしょ? この国近隣からとびきりの食材を集めさせたの。まだまだあるからたくさん食べてね」
そう言って次々とお皿を出し始める。
みんなも黙ったままそれを食するけどいよいよデザートになる。
ミーニャは満足そうな顔をしてナプキンで口を拭いてからデザートに手を伸ばす。
そしてそれを食べながら話始める。
「とても有意義な時間だったわ。さてと、せっかくアガシタ様まで来てくれたんだしゲームをしましょう。今のあたしにみんなが力で敵うとは思えないからチャンスをあげます。もしみんなのうち誰か一人でもゲームに勝ったら大人しく世界征服を諦め村に戻る。全員がゲームに負けたらソウマ君は私のもの。そのままここで結婚式を挙げるわ」
「なっ!?」
がたっ!
ミーニャの言葉に姉さんは思わず席を立つ。
しかしミーニャは冷静なまま姉さんに言う。
「フェンリルさん、今の私はアガシタ様でさえ押さえる力が有るんですよ? それにソウマ君と結婚したらあなたは私の義理の姉になる。昔のよしみです、大人しくしてくれれば家族として一緒に住んでも良いですよ?」
「ミーニャ、あんた‥‥‥」
姉さんはぎりっと奥歯をかみしめる。
しかしそんな姉さんをシェルさんはそっと手を出し押さえる。
「いいわ、そのゲーム受けて立とうじゃ無いの? でも約束通り私たちが勝ったらあなたの魂にも枷をかけ魔王の能力は封じさせてもらうわよ?」
「良いですよ、シェルさん。それじゃぁ決まりでゲームを始めましょう」
ミーニャはそう言って立ち上がるのだった。
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