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第125話5-26玄武

ソウマたちに立ちふさがる魔王の手下たち。

いよいよ魔王ミーニャとの対決も間近、立ち塞がる強敵を蹴散らし果たしてソウマはミーニャを連れ戻せるのか?

姉のフェンリルもソウマ好きに拍車がかかり大奮闘!

そんな熱い姉弟(師弟)の物語です。


膝カックンって効くのよねぇ~(セキ談)


 『ふははははははっ! 四大悪魔が一人、この玄武が遊んでやろう! さあどこからでもかかって来るがいい!!』



 ずもももっ!



 仁王立ちの玄武は想定以上に大きかった。


 これってアイミより大きい!


 アイミだってなんだかんだ言いながら三メートル近くあるはず。

 それをゆうに超えるなんてまるで「鋼鉄の鎧騎士」みたいだ!



 「大きければいいってもんじゃないわ! 精霊王よ!!」


 シェルさんは仁王立ちの玄武に対して炎の精霊王を呼び出す。

 そして炎の竜巻で玄武を包む!



 『なかなかだがこの程度ではこの我は倒せんぞ!』



 ぼんっ!



 何と玄武はあの炎の竜巻を弾き飛ばした。


 

 「ならこれはどうだ!? はぁっ!」


 

 ガキーンっ!



 「ちっ!」



 ざざざっ



 リュードさんは剣に魔力を載せて切り掛かるも簡単に弾かれる。

 弾かれたリュードさんはそのまま飛び退き床を擦りながら着地する。


 あの技って魔力を込めただけ切れ味が上がるやつじゃ無かったっけ?

 村でも腕の立つ人しか使えなかった技だ。



 「ならこれはどう!? 【赤光土石流拳】!!」


 セキさんがまるで土石流の様に燃え盛る拳を大量に放つ。

 それは床を吹き飛ばしながら玄武に迫る。



 ドガガガガガガガガぁっ!!



 「どうだ!?」


 『ふっ! 軽いわっ!!』


 「セキの【赤光土石流拳】に耐えたのですの!? 悪魔将軍を一瞬に葬った技をですわ!!!?」



 無数の拳の土石流を受けきった玄武は傷一つ無かった。

 それにはエマ―ジェリアさんでなくても驚く。

 あの技を受けて何ともないなんて。



 「だったら! アイミ同調よ!!」


 ぴこっ!


 姉さんがアイミにそう言うとアイミは姉さんに背中を向ける。

 そして姉さんはアイミの背中に手をつき瞳を金色にする。



 「同調! 行くわよアイミ!!」


 ぴこっ!



 姉さんと同調をしたアイミは姉さんの意のままに動き玄武に迫る。



 「いけぇっ! 三十六式が一つバトルアックス!!」



 ばっ!

 クルっ!!


 どがぁっ!!!!



 アイミは飛び上がり体を前転に回転させたと思ったらその遠心力をそのままにかかと落しを玄武に食らわせる。


 あれだけの重量とミスリル合金の硬いボディーから繰り出されるかかと落しはまるでバトルアックスを振り下ろしたかのように強力な打撃を与えたはずだ。



 『まだまだ軽いわぁ!!』



 しかしアイミのバトルアックスは玄武にダメージを与える事無く来るっと宙で一回転して着地する。



 「なら三十六式が一つ、ランス!!」



 着地したアイミはそのまま腰に両手を溜めて爆発的な突進をしながら全体重を乗せて腰に溜めた両手を突き出す。

 全ての物理的威力を両の手に載せて一気に突き出すそれはまるでランスで突っ込むかのようだ。



 どがぁぁあああぁぁぁんッ!!



 「嘘っ!?」


 しかしアイミの渾身の突撃は玄武のお腹に当たった物のその動きを止めた。



 そんな、あり得ない!!


 あれだけの威力を真正面から受け微動だにしないなんて!

 あのパワー、あの威力だったら「鋼鉄の鎧騎士」だって簡単によろける程なのに!! 


 

 『なかなかだがまだだ! この程度では我を一歩も動かす事は出来んぞ!!』



 「なんつー硬さだ!! おい主、シェル何とかならねーのかよ!?」


 「あれだけの技を受けてびくともしないだなんて!」


 「シェル! こうなったらあたしのドラゴンブレスで!」


 「セキ、こんな狭い所でブレスを吐いたら私たちまで巻き込まれてしまいますわ!!」


  

 この玄武って今まで戦ってきた中で一番強いんじゃないだろうか?



 「くっ、こうなったら『赤の騎士』に!」


 「姉さん! それはだめだ!! 何か、何か別の方法を‥‥‥」


 姉さんがあの「赤の騎士」に変身するのだけはやめさせないと体に負担がかかっていずれは姉さんの命も危なくなる。


 玄武は僕たちの攻撃をことごとく受け止め、全くダメージを受けていないようだ。

 助かっているのがあれだけ強いのにいまだに僕たちに攻撃をかけて来ていないと言う事だろうか。



 ん?

 攻撃をしてきていない??

 

 

 それは確信が有った訳では無かった。

 でもなんとなくそんな気がしていた。



 「姉さん下がって!」


 「あ、ちょっと、ソウマ!! 駄目っ!!」


 姉さんがアイミを操作していて動けないその横を僕は操魔剣を使って玄武に飛び込む。



 「ソウマ君! 駄目ですわ!!」


 「ちょっと、ソウマっ!!」


 「ソウマっ!」


 「おい坊主っ!」


 

 「いやぁっ! ソウマ駄目ぇっ!!!!」



 姉さんの叫び声を聞きながら僕はさらに加速する。

 



 『諦めたか少年?』



 そう言って手を伸ばして来る玄武のそれをするりと抜け後ろに行く。

 そして仁王立ちの玄武の膝裏を思い切り蹴飛ばす。



 かっくんっ!



 『なっ!? うぉっ!!!?』


 玄武は硬く重い甲羅を背負っている状態でやや前かがみだったのが後ろから膝カックンされればバランスを崩し仰向けに倒れ始める。

 


 ずだぁーんっ!!

   


 「よしっ!」


 『ぐおぉおおおおおぉぉぉぉっ! しまったぁっ!!』



 「「「「へっ?」」」」



 玄武は僕の足カックンでものの見事に仰向けに転んだ。

 そして短い手足をバタバタと始める。



 『うぉおおおおぉぉぉっ! 起こせぇっ! 起こさんかぁっ!!』



 「ふう、やっぱりそうだ。亀だから仰向けに転べば起き上がれなくなるんだ」


 『くそぉっ! 我眷属を使い過ぎて当分呼び出せない!! 我は自分では起き上がれないんだぁ!! 起こせぇ! 起こしてくれぇっ!!』


 玄武は情けなく呻きながら更に手足をバタバタする。

 甲羅のトゲのせいで手足が距離のある床に全く届かず空しくばたつかせるだけだった。



 「なにこれ‥‥‥」


 「どんな攻撃も受け付けない甲羅でもこっちに攻撃してこなかったからもしかしたらと思ったんだ。そして亀だからこうして仰向けにすれば自分で起き上がれないんだよ!」


 姉さんが思い切り脱力している所へぼくは思った事を言う。

 そしてそれがどうやら正解で攻撃を防ぐのには凄くてもこちらに攻撃する手段が無い玄武はひたすら守りの戦法だった。


 唯一攻撃できる眷属のちび亀は僕たちがもう倒したから当分使えないらしい。



 「えーと、ソウマよくこいつの弱点を見つけたわね?」


 「相手は亀でしたからね。もしかしてと思って」



 シェルさんに聞かれ僕はにこにこと答える。

 なんかみんな複雑な顔しているけど肩の力が抜けて誰と言うわけでもなく剣を鞘にしまい始める。

 そしてさらに上の階に行く階段を見つけると何も言わずみんなぞろぞろとそこへ向かう。



 『おいこらちょっと待てぇ! 貴様らこの我を起こしさんかぁ! ちょっ! お、おい無視するなぁッ!!!!』




 バタバタやってもやっぱり床に手足がつかない玄武を無視して僕たちは上の階に向かうのだった。



面白かったらブックマークや評価、ご意見ご感想をよろしくお願い致します。

誤字脱字等ございましたらご指摘いただけますようお願い致します。


蚤の心臓の私たちですのであまりいじめないでください。

どうぞ、日本海のような広いお心と生暖かい目で見ていただけますと助かります。


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― 新着の感想 ―
[一言] 追記失礼します。  読み直したら、玄武は直立の二足歩行状態でしたね。  亀らしく四足のままだと勘違いしてました~。 ごめんなさいorz  ってことで、補足を希望。  トゲ付き甲羅は重心が背…
[一言] >玄武は僕の足カックンでものの見事に仰向けに転んだ。  そうはならんやろ。  四足の動物が立っているその足を崩した所で、うつぶせにヘタりこんでも仰向け(ヘソ天)にはね。  背中がトゲトゲし…
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