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第122話5-23激戦

ソウマたちに立ちふさがる魔王の手下たち。

いよいよ魔王ミーニャとの対決も間近、立ち塞がる強敵を蹴散らし果たしてソウマはミーニャを連れ戻せるのか?

姉のフェンリルもソウマ好きに拍車がかかり大奮闘!

そんな熱い姉弟(師弟)の物語です。


なんか暑いですわ!!(エマージェリア談)


 朱雀と名乗ったその悪魔は槍を構え姉さんの次なる技を迎え撃つ。




 「はぁっ! ガレント流剣技六の型、逆さ滝!」



 姉さんは下段から一気に剣を上になぎ上げ朱雀を捕らえようとする。

 しかし朱雀はその剣を槍で受け流し大きく飛びさがる。



 『なかなかだが甘い! はっ!!』



 槍を回してから切っ先をピタッと姉さんに向けて高速の突きを放つ。

 逆さ滝の技を放った直後のその刹那を狙われた!?



 「くっ!」



 「おい主っ!!」


 姉さんは跳ね上げた剣と同時に宙に飛び上がってしまい身動きが出来ない。

 慌ててリュードさんが同調をして魔力を剣に載せ衝撃波を朱雀に放つ。



 『ふん、邪魔するな!』



 朱雀はリュードさんの衝撃波を槍で切り裂く。

 しかしこの間に姉さんは体勢を立て直す。



 「ガレント流剣技一の型、牙突!!」



 着地と同時に一の型、牙突を放つ。

 狙いを定めて繰り出すその突きは岩をも穿つ一撃。

 狙い通りその切っ先は朱雀の胸へと吸い込まれる。



 どすっ!



 「えっ!?」


 『見事だが、この程度では俺は倒せん!』



 ぶわっ!

  

 

 姉さんの技が決まったそのその切り口から炎が燃え出した。

 姉さんは慌てて剣を引き抜き下がると朱雀は胸の傷を炎で焼き払いその後には何もなかったような元のままになっていた。



 『俺は朱雀、この炎が有る限り何度でも再生して蘇る。生半可な攻撃できは効かんぞ?』


 「ならそれ以上の攻撃をするまで! 喰らえ、ガレント流剣技九の型、九頭閃光!!」



 カッ!


 

 姉さんは力を溜め一気にそれを解き放つ。

 それはガレント流剣技最強の技、魔人でさえ一撃で滅ぼす。


 光り輝く九つの斬撃は八方と突きの全方向からの攻撃。

 それが全て朱雀に襲いかかる。



 「決まった!」


 「いや、あれを見ろソウマ!!」



 姉さんの技が朱雀に吸い込まれ完全に決まったと思ったらリュードさんが声を上げた。

 そしてよくよく見れば姉さんの放った技は確かに朱雀に届いていたが切り付けたり突いたその切っ先は全てあの炎に包まれていた。



 ざざっ!



 「なっ、私の九頭閃光が!?」


 大きく飛び退き朱雀から間合いを取った姉さんは信じられないものを見るかのように目を見開く。

 それもそのはず、斬られたり突かれたりしたはずの傷口がみるみる元に戻ってゆく。



 『ふはははははッ! そんなモノか、女っ!』



 ぶんっ!



 朱雀は槍を振り体を癒していた炎を消し去る。

 そしてそこにはまたしても何も無かったかのように元のままになっている。



 「フェンリル、普通の攻撃じゃ駄目よ!」


 「主、こうなったら同時に!」


 「姉さん!!」



 シェルさんもリュードさんも僕も姉さんに加勢しようとする。

 しかし姉さんは手を横に出しそれを止める。



 「まだよ、私はまだ負けていない!!」


 「姉さん今はそんな事言っている場合じゃ!」



 ドンっ!!



 僕がそう言いかけると姉さんの魔力が一気に膨れ上がる。

 見れば瞳の色を金色の輝かせ「同調」を始めた姉さん。

 


 『ほう、隠し玉を持っていたか? これなら少しは楽しめそうだな?』


 「言ってなさい! そちらが炎の治癒を使うならそれ以上の炎で焼いてあげる!! 【紅蓮業火】!」


 

 どんっ!


 ぼあっ!!



 姉さんは【紅蓮業火】を発動させ炎の柱に包まれる。

 姉さん最大の魔法。

 どんな攻撃も跳ね返し、この炎の柱に触れた者は高熱で焼き払われてしまう。


 その業火をまとい姉さんは朱雀に切り込む。



 「はぁっ! ガレント流剣技二の型、二重の刃!!」



 ばごっ!



 城門前の石畳の床をその踏み込みでへこませて姉さんが朱雀に飛び込む。

 そしてなぎなたソードにも【紅蓮業火】の炎をまとわせたまま高速の斬撃を振り下ろす。



 『ぬっ!?』



 流石に何かを感じたのか朱雀は槍でその斬撃を受けようとしたが姉さんの技の方が早い。

 一度に二回の斬撃を右肩から袈裟切りに受けてしまう朱雀。



 『ぐおぉぉおおおおおぉぉぉぉっ!!!?』



 「やった! 今度こそ決まった!!」


 思わず拳を握って僕は歓声を上げた。

 二重の刃は完全に朱雀を捕らえ、その切り口は朱雀の炎で回復することは無く、姉さんの炎がその傷口を焼き払う。



 「トドメよ!」


 姉さんは更に朱雀に剣を振り上げようとした時だった。



 『まだだっ! こちらも奥の手を使わせてもらうぞ!!』




 言いながら朱雀も姉さん同様に炎の柱に覆われるのだった!!

 


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