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第119話5-20魔族の町

魔王が覚醒した幼馴染のミーニャを連れ戻す為にソウマたち姉弟は今日も何処かをさ迷っています。

お姉ちゃんに鍛えられながら果たしてソウマはミーニャを連れ戻せるのか!?

熱い姉弟(師弟)の物語です。


ソ、ソウマ君が本当の弟だったら‥‥‥

にへへへへぇ~(エマージェリア談)

 

 元ルド王国。


 その昔各国が戦争を繰り広げていた時代に禁断の魔人召喚をしてその戦争に勝利しようとした国だった。


 しかし魔人の暴走で国は壊滅、召喚の魔法陣から次々に悪魔たちがやって来てルド王国どころか全人類を滅亡に導こうとした。

 だがそれは英雄たちの働きによってのちに「魔人戦争」と呼ばれる騒動は人間たちの勝利に終わった。


 それから約百年後今度はこの地に「狂気の巨人」が現れティアナ姫率いる連合軍の働きによってそれも撃退した土地。


 元ルド王国とはそう言った負の連鎖が重なる土地に有った国だった。



 「私が魔族たちの様子と魔王軍に支配された状況を見て来いと言うのか?」


 「ええ、ダークエルフのあなたなら怪しまれずに済むでしょう?」



 キシャラさんはシェルさんを睨んでいる。

 しかしシェルさんはどこ吹く風かのように涼やかな顔をしている。



 「‥‥‥分かった。見て来よう」


 しばしシェルさんを睨んでいたけどふいにキシャラさんはそう言ってフードをかぶりすっと姿を消す。


 

 「消えた!?」



 「精霊魔法よ。ダークエルフが得意とするやつね」


 驚いた僕にシェルさんはそのタネを明かす。

 そしてどうやらキシャラさんが行ったそちらを目で追う。


 同調をすると魂の色も見えるらしく、瞳の色を金色にしたシェルさんはそれを見ているのだろう。



 「シェル、ダークエルフに任せて大丈夫なの?」


 「あの子は静かに暮らしたいと言ってたわ。大丈夫でしょう、あの人との約束もあるからね」



 姉さんが心配そうに壁の方を見ながらシェルさんに聞く。


 でもシェルさんは落ち着いた感じでポーチからお酒の入った瓶を取り出しグラスも出してそれを飲み始める。



 「しばらくかかるでしょうから私たちも良く休んでおきましょう。場合によっては一気に魔王城に攻め入らなきゃだからね」



 シェルさんのその言葉に僕たちは休憩の準備を始めた。



 * * * * *



 「ソウマ君は魔王を捕まえた後は村に戻るのですの?」



 エマ―ジェリアさんは簡単な食事の後片付けをして僕の近くにまで来てそう聞く。



 「ミーニャを連れ戻すのが僕たちの目的ですからね。なんだかんだ言ってもうすぐ一年になっちゃいますもん」



 僕と姉さんが村を出てもう十カ月近く経っていた。

 こっちの北の大地も秋になりこれから寒くなって来るだろう。


 「そうですわね、シェル様も魔王を捕まえて大人しくさせたらまた天界にお帰りになってしまいますわね。そうしたら私も神殿に戻らなくてはですわね‥‥‥」


 「エマ―ジェリアさん?」


 エマ―ジェリアさんは少し寂しそうにしている。


 「私はシェル様に命を救われ、そしてセキと共にいる事によって生き永らえられますわ。でも生きていくには神殿にいないといけない。小さな頃から実家にもほとんど帰っていないから周りには同じ年くらいの子はほとんどいませんでしたわ」


 言いながら僕を見るエマ―ジェリアさん。


 「勿論年下の男の子なんてお参りに来るくらいの子しか見た事ありませんでしたわ」


 そして優しく笑う。


 「ソウマ君とこの旅が出来て良かったと思っていますわ。もし私にも弟がいたらこんな感じなのでしょうかしら?」



 「ははは、エマ―ジェリアさんが僕の姉さんだったらよかったですね。うちの姉さんは過保護すぎて」

  


 エマ―ジェリアさんが姉さんだったらうちの姉さんみたいに引っ付いてくることは無いだろう。

 そう思うと思わず本音が出てしまった。



 「ソ、ソウマ君たら! そう言う所が恐ろしいのですわ、全くお姉さんキラーなのだからですわ!」



 顔を赤くしてプイっと向こうを見てしまうエマ―ジェリアさん。


 なんか悪い事言ったかな?





 「戻って来たわね」


 シェルさんはそう言って壁の方を見ると何も無い空間からすっとフードをかぶった人物が現れる。

 そしてそのフードを降ろすと銀髪で小麦色の肌色をした耳の長い奇麗なお姉さんの顔が有った。



 「シェルよ、大問題だ」




 キシャラさんは開口一番そう言うのだった。

  

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[一言] >「ははは、エマ―ジェリアさんが僕の姉さんだったらよかったですね。うちの姉さんは過保護すぎて」 フェンリルΣ(゜Д゜) フェンリル「そっちの方が良かったかも!? そうすれば血縁なんて面倒無…
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