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96話 テレーズ達との出会い 1


「テレーズさん、来ちゃいました! お久しぶり……でもないですけど」


「アイラ! ようこそ、いらっしゃいました!」


 私はその日、新たな国家錬金術士たちの集いの場……調合室へと来ていた。クリフト様との食事デートの翌日であり、クリフト様に連れて来てもらった。勝手知ったる我が家みたいなものだけれど、働いている人々は一新されているのよね。


 テレーズさんを始めとした3人の国家錬金術士とシスマに関してはまあ、それほど目新しいわけでもないけど。


「シスマもこんにちは」


「ええ、こんにちは、アイラ」


 彼女は相変わらず美しかった。そして、幻想的な雪女の風貌にはより磨きが掛かっているように見える。シスマは現在でも偶に、私の店を訪れてくれる友人だし、よく会っている方だと思う。今はエリクサーを作っているみたいで、私との挨拶は軽く済ませた感じだ。


 成功確率がどの程度になっているのかは分からないけれど、やはり作成難度が高いアイテムだし、シスマでも集中力を切らし過ぎると、材料の無駄遣いになってしまう。まあ、本日はテレーズさんに会いに来たようなものだし、私は彼女の方向に目を向けることにした。


「いきなり来ちゃって、申し訳なかったです」


「いえ、私もアイラとはお話しをしたいと思っていましたので、気になさらないでください」


「そう言って貰えると、助かります」


「はいっ」


 この謙虚な態度……態度というか、物腰が本当に柔らかい。クリフト王子殿下と同じく、彼女のような貴族が民の上に立って統制してくれれば、この国はもっと良くなるんだろうと確信が持てるわね。別に他の貴族を貶めているわけじゃないけど、これほど庶民的……いえ、貴族教育はしっかりと受けていても、謙虚さや国民のことは忘れない貴族というのは、本当に珍しいと思うし。


「クリフト様から、私への話がある? みたいなことは聞いてたんですけど、何か特別なご用件がありましたか?」


 そう言いながら私は、隣に立っているクリフト様に視線を向けた。彼は急に明後日の方向を向く。どういうこと……? 確かに、食事の時にはクリフト様はテレーズさんが私に会いたがっていたと言ってたと思うけど……。ちょっとだけ、嫌な予感がした。


「ふふふ、クリフト王子殿下も人が悪いですわ……確かに、私もアイラには会いたかったですけど」


「??? どういうことですか?」


 話の先端……答えが見えて来ない。私はそれをもどかしく思っていた。クリフト様も明後日の方向を向いたままで、答えてくれそうにないし……と、そんなことを思っていると、奥の部屋から数名の人間が姿を現した。あれ……あの人たちって。


「あ、アイラ・ステイトじゃないか!」


「うわ、本物だ! こうして間近に見るのは久しぶりっす! 感激っす!」


「あのキース姉弟を打ち負かした、伝説の錬金術士……前に会った時には、そんなこと考えもしなかったけれど……」


 この人達は、以前に出会った新しい国家錬金術士の面々だ。何か月振りかの再会になるかな? そっか……シスマとの錬金勝負の直後以来の出会いだから、相当前よね。


 久しぶりの再会は良いんだけれど……なんだか、彼らの私を見る瞳が尊敬の眼差しになっているのが怖かった。もしかして、真に私に会いたがっていたのはこの人達なんじゃ……クリフト様が明後日の方向を向いた理由が今、はっきりと分かった。もう……クリフト様もはっきりと言ってくれればいいのに……。

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