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94話 限界点 2


「ああ、聞いているよ。シグルド殿がグリフォン掃討作戦に参加してくれることは」


「そうなんですね」


 私はシグルドさんが帰った後、素材を持ってきてくれたクリフト様と話していた。未亡人のアミーナさんが遠くから笑っているけど、気にしないでおく。ていうかアミーナさん……旦那さんを亡くしてから日が経つから欲求不満とかになってるんじゃ……? まだ、若いもんね。


「大部隊を率いての大森林の掃討作戦は効果的だが、被害が多発する可能性も大きい。シグルド殿が参加してくれれば、それだけで大きな戦力になるからな」


「そうですね、それだけ被害が抑えられるわけですし」


「ああ、その通りだ」


 シグルドさんの参加の理由は、別に人助けって言うわけじゃない。それが全くないわけじゃないだろうけど、一番の目的は自分の為のはず。限界点がまだまだ分からない、か。


「お互いに違う分野とはいえ、己の限界知らない者同士か。やはりなにか、惹かれ合うものがあるのかもしれないな」


「えっ、クリフト様?」


 クリフト様はなんだか、おかしなことを言っている気がする。惹かれ合う? 私とシグルドさんが?


「そうだな、私の出来ることは……」


「あの~~、クリフト様?」


 私の呼びかけに反応している様子がない。何かを真剣に考えているみたいだけれど。


「王子としての責務を全うすることだな」


 至極真っ当な意見が返って来た。うん、それをしているだけでクリフト様は十分に魅力的だと思うし、変に気負う必要なんか全くないと思う。


「では早速、王子としての責務を全うするとしよう」


「今からですか……?」


「ああ。アイラ、今夜は一緒に食事でもどうだ? ごちそうさせてほしい」



 いきなりの食事の誘いに私は驚いた。クリフト様と一緒に食事をするのは初めてじゃないけど、まさかそれが、王子としての責務に入っているとは思っていなかったから。私は軽くため息を吐く。


「食事のお誘いは嬉しいんですけど、それって責務の1つなんですか? ちょっと残念です……」


「ははは、これは参ったな。じゃあ、デートの誘いということでいいかな? もちろん個人的な、ね」


 すごい……クリフト様以外の人が言ったら、笑われてもおかしくない名文句なのに、彼が言うと格好よく聞こえる! と、その辺りにしておいて、私はすぐに頷いた。


「もちろんです、喜んで」


「はは、良かったよ。それじゃあ、仕事が終わる頃にまた来るとしよう。アイラ、頑張ってな」


「はい、ありがとうございます」


 クリフト様とは以前と比べると、はるかに気さくに話が出来るようになったと思う。周囲から見れば、私達は恋人関係みたいに見えているのかな? とりあえず、従業員のルルは私が第一王子殿下と普通に話していたことに、とても驚いていた。


 シグルドさんの爆買いでの驚きといい……彼女にとっては、衝撃的な1日だったでしょうね。


 その後、閉店時間までで、新しい調味料は売り切れになるほどのペースで売れていった。これも驚きの一つだわ……新しく取り入れたアイテム類は今後も売れ筋の商品になりそうだ。

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