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85話 冒険への同行 1


「つまりは……冒険者ランキング4位と5位の君たちが、我々と同行してくれる……ということか?」


「ま、そういうことね。アルデバラン、ヘビーメタルのメンバー全員で行ってもいいんだけど、人件費が高くなるし、私とサイフォスの二人だけの方が安上がりでいいでしょう」


「人件費の方はともかく、ここまでの高ランクの者達に付いて来てもらえるのは光栄だな」


 私のお店「エンゲージ」の前は、クリフト様も加わり、いつの間にか盛り上がりを見せていた。要約すると、魔物の調査に行くクリフト様とその部下の為に、私が回復アイテムを供給することになったんだけど……そこへ、カミーユとサイフォスさんの二人が加わるといった感じ。


 サイフォスさんは、カミーユに無理矢理加えさせられた感じだけど……。私は可哀想な彼の姿を目で追っていた。向こうもその視線に気付いたみたい。


「あの……クリフト王子殿下、発言をしてもよろしいですか?」


 その時、サイフォスさんがクリフト様に話しかけた。


「ああ、構わないよ」


「彼女……アイラ・ステイトさんもご一緒に来てもらうべきかと思います……」


「アイラを? しかしそれは……」


「今回の敵は目撃情報から推測するに、グリフォンである可能性が高い。メビウスダンジョンに生息しているカイザーホーンという一角獣にも匹敵する凶悪魔獣です。彼女の力が役立つ可能性が高いかと……」


 グリフォン……凶悪な魔獣っていうことは私でも知ってる。お伽話とかにも出て来る、有名な魔物だけどやっぱり危険な存在なんだ。と、いうよりも、サイフォスさんはとんでもないことを言っている気がする……私がその大森林へ付いて行くの? いやいやいや、無理でしょ!? 私は何をするんですか!?


「いや、私が行っても足を引っ張るだけですし……」


 クリフト様のお役に立ちたいっていう気持ちはあるけど、現地だと何も出来ない気がするし。


「だからアイテム士って嫌いなのよね。自分は安全圏に居てアイテム調合していれば、それで仕事したと思ってるんでしょ? 冒険者舐めるんじゃないわよ!」


「え……」


 ……何か昔、嫌な事でもあったのかしら? というより、私は最初から一般的な錬金術士で冒険者の人達と関わりを持ったのは最近だし。なんだか、話が変な方向に行っている気がする。


「これ、使いなさいよ」


「えっ、これって……?」


「携帯用の錬金セットよ」


「携帯用……錬金セット……」


「それ使えば、エリクサー級のアイテムを調合出来る奴なら、最低限の仕事はこなせるでしょ?」


 登山用品を詰め込んだ、登山セットの錬金術バージョンってところかしら? すごい……折り畳みの錬金窯まで付いてるし。これなら確かに、クリフト様達に同行しても役には立てるかもしれない。五芒星二人の護衛もあるしね。


 でも、なんでカミーユはこんな錬金セットなんて持っているのかしら? なんだか不思議だわ。今、質問しても逆鱗に触れるだけだろうから何も言わないでおく。


「クリフト様、私も連れて行っていただけませんか?」


「あ、アイラ……君は」


 カミーユの言葉は完全に濡れ衣だけど、素材調達という現場を確認しておきたいとは、以前から思っていた。やっぱり、現地に向かって素材を直接見ることで生まれることや、関係性っていうのもあるだろうし。


 それにほら、カミーユやサイフォスさんの前で役に立つところ見せておけば、それが元になって、私の店に還元されるかもしれないし。別に売り上げが全てではないけど。


 従業員を増やすタイミングでもあったし、冒険者の素材調達を見る為にお店を抜けてもいい機会かもしれない。まあ、今回は魔物の調査と討伐がメインにはなるだろうけど。私はクリフト様になんとか頼み込んで、付いて行くことを了承してもらった。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] うわぁ~なぜ携帯用錬金セットなんて持ってるんだー! 凄い気になる~ 普通に考えれば無駄な荷物にしかならないのに
[一言] なーんか違和感あると思ったら、カミーユってアイラのこと冒険者だと思ってるんすかね? 薬屋と冒険者(あるいはその組織のアイテム士?)は全くの別物でしょうに。
[一言] ここで死んだら誰がどれだけの責任を負うつもりで連れていくんですかね…。
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