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83話 訪問 2


 私は冒険者パーティ「アルデバラン」のリーダーである、サイフォスさんを桜庭亭へ通し、そのまま私のお店「エンゲージ」の前へと連れて行った。ちなみに、五芒星の二人は再びインビジブルローブを身に纏い、透明化しながらついて来ている。


 多分……どういう距離を保っているのか、私も見えないので良く分かってないけど。


「なるほど、桜庭亭という宿屋内の一画でお店を開いているんですね」


「はい、そうなります」


 線の細いイメージと少し頼りなさを感じる点が、女の子受けしそうにも見える。これは、サイフォスさんの持ち味なんだろうけど……そういえば、冒険者会議でもやけにカミーユに絡まれてたっけ? まあ、カミーユの絡みは回復魔法要員が欲しかった絡みだったけど。


「おや、そちらの方は……?」


「あ、ライハットさん。冒険者ギルドに従業員募集の結果を聞きに行った時に、知り合った人でして……」


 ライハットさんも知らなさそうな印象だった。ということは、サイフォスさんも他国での活動が中心の人なんだろうか? まあ確かに、この数か月で1度も見たことがないしね。



「は、初めまして。冒険者パーティ、アルデバランのリーダーをしています、サイフォス・マッケンローと言います。よろしくお願いいたします」


「これは、ご丁寧にありがとうございます。エンゲージで従業員をしています、ライハット・クレスタと申します。以後、お見知りおきを」


 二人とも、丁寧な挨拶を交わして知り合いになった証としていた。


「それから、アイラさんは……」


「アイラ、でいいですよ、サイフォスさん」


「えっ、でも……」


「大丈夫ですって! 私、17歳ですし。どうぞ話し方も普通に話してください」


「……いいの?」


「はいっ!」


 サイフォスさんは悪い人には見えないし、そもそも、歳上の人に丁寧に話されるのはどうかと思うしね。あ、ライハットさんは別だけど。


「じゃあ……アイラ、僕はこうして話させてもらってもいいかな?」


「はい、よろしくです! サイフォスさん!」


「うん」


 私はサイフォスさんに飛び切りの笑顔で返した。顧客になってほしいかな、っていう邪? な考えもないわけじゃないけど、単純に知り合いが増えるのは楽しいしね。


 それから、サイフォスさんに私の店の品揃えを見せることにした。




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「これは……!」


「ど、どうでしょうか……?」


 ランキング5位の「アルデバラン」を纏めるチームリーダーに品定めをされているかと思うと、緊張してしまう。シグルドさんはぶっきら棒に褒めてくれていたから、いまいち参考に出来なかったし。


「す、すごいよ! 3大秘薬が揃っているだけでも、驚きだけれど……エリクサーの全体化であるエリキシル剤に加え、ダークポーション等の各種状態異常付与系アイテム。それから、上級回復薬や超上級回復薬……さらには風邪薬や目薬まで揃っているなんて! なにもかもが、想像以上だよ……!」


「ほ、本当ですか? あ、ありがとうございます!」


「うん、とてもすごいよ……!」


 こうやって褒められると、やっぱり薬屋を開業して良かったと思えてくる。しかも、冒険者ランキング5位の人にここまで言ってもらえることは、そうないはずだし余計に嬉しい。私の心の中は非常に昂っていた。



「是非……欲しいね」


「えっ? 何をですか?」


「……」


 一瞬、何を言われたのか分からなかった。欲しい? どのアイテムのことだろう? いえ、そもそも、先にどのアイテムが~っていう言葉が入らないと変な言葉になってしまう。


 少しだけ怖い空気が流れた気がした……と、その時。


「あ~~~、ここがアイラ・ステイトのお店? 予想通り、湿気ているわね!」


 聞きたくない声だった。多分……いえ、間違いなく視線を合わせなくても、その人物の特定が出来てしまったから。


 冒険者ランキング4位……カミーユ・シェイドのパーティが、桜庭亭に入って来ていた。何時か来るとは思っていたけれど、まさか本日中に来るなんてね……。

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